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うわさのせいじょそうび

 今日も無事に? ダンジョンからの帰還を果たし、いつもの部室へ。

 装備のクリーニングと点検等をしてロッカーへ。

 千紗やリザが教えながらやったので純華ちゃんも問題なくクリーニングと点検を終わらせることができた。


「片付けが終わったから今日の反省と明日の予定を確認するぞ」

「はーい!」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「わかりました」


 三人がこっちに来て椅子に座る。


「まあ、反省しなきゃいけないというほどのことはなかったけどね。まだ、スライムの発見に時間がかかったり、近距離でないと見つけられないようだけど、これもそのうち慣れていくだろう。とりあえずぴんくのやつさえ見逃さなければ問題は少ないからね」

「スライムハンターへの道は厳しいんだよね!」

「……まあ、そういうことだな」


 それ名誉な称号じゃないからね、千紗くん。


「あとはリザは気合が入りすぎると、魔法の威力が上がりがちだから、あまり気合の入らない呪文も考えておくといい。今後も他の魔法を覚える可能性があるからね」

「了解しました、導師。カッコイイ呪文をマスターしておきます」

「うん、ガンバッテー」


 ホントは呪文なんかいらないらしいけど、人間何もなしでいきなりイメージするのは難しいようだ。

 火球であればファイヤーボールとか言葉にした時に出るように練習すれば、条件反射的に出るようになるらしい。

 パブロフの犬とか梅干しを見るとつばが出るとかと同じ現象だとか。


「純華ちゃんは初めてで戸惑うことも多かったと思うけど、今後は自分で考えて行動するように心がけようね。ダンジョンで万が一ひとりになったときとか、言われなきゃ動けないようだと、ひとりでピンチを乗り切れないからね」

「は、はい。がんばります」

「千紗は、水スラ遊びではしゃぎ過ぎだね。最後は遊びすぎて疲れ果ててたろう」

「えへ、反省」

「まあ、今日の反省会はこんなもんかな。明日はボズ部屋に挑んで二階層に入る」

「いよいよ、むふもふに会えますよ」

「楽しみです」

「時間については今日と同じでいいね?」

「いいよー」

「問題ありません」

「大丈夫です」

「おそらく今日の様子からして最大最強最悪のぴんくが鎮座ましているはずだ。それはリザの魔法でさっくり倒す。もし二層のボス戦までやるならここも最大最強最悪の毛玉がいるはずだ」

「モフり倒せばよろしいのですね」

「ん、まあ他の冒険者が来るまではね。誰か来たら一旦出るか、倒しちゃうから」

「仕方ありませんが、了解しました」

「リザちゃんが写真送ってくれましたけど、本当にあんな大きな毛玉がいるんですか?」

「いるよー! 千紗とリザちゃんが全部埋まってもまだ余裕があったから、次は三人で埋まろうね!」

「はい!」


 うん、いい笑顔だ。


「でも一応ボスだからできればレベル五までは上げたい。一日で三レベル上げるのは難しかもしれないけど」


 純華は今はレベル二だから、いくら僕のスキルがあったとして一日三レベルアップは難しいかもしれない。

 レベルアップする方法もよくわからないし。

 まあ、見守ったり愛でたりする機会が沢山あれば不可能じゃないだろうけど。


「えっとあの、言う機会なかったんですけど、すでにレベル三になっています」


 なにぃいいいいいいいいいいいいいい。

 とか思ったけどそれも納得。

 水スラ遊びを愛でていたら、僕もレベルが一上がり九に、めでるがよんになっていた。

 少女たちを愛でるのに忙しくて、ステータスボードを消してそのまま忘れてたけど。


「千紗もいっこ上がってたー」

「妾もです」


 さすがめでるさん。

 水浴びブルマ、そんなに愛でれましたか。


「じゃあ、純華ちゃんはレベル三で、千紗が八、リザがなんと九ってことか」

「あれ、リザちゃん、いつの間に千紗を超したの?」

「魔法の練習の時に上がりました」

「そっかー。その時千紗、見回りくらいしかしていなかったからね」

「わたしはけっこうスライムを倒したと思うんですけど、その時は上がりませんでしたね。レベル二まではすぐに上がったんで次もすぐかなっとか思ってたんですけど」

「まあ、本来レベル三だとスライム百匹単位で倒さないと上がらないっていうから、そうそう上がらないよ」

「でも、その後水スラで遊んでいた時はすぐに上がりました。二、三匹しか倒していないはずなのに」

「最初に話したと思うけど、おそらく僕の職業かスキルの特殊効果だね。僕が君たちのそばにいると経験値の取得量が大幅に上がると思われる。まだ条件やどの程度の経験値を得られているのかははっきりしないため、もう少しデータを集めと分析する必要があるとか思うけど」

「やっぱりそうなんですね。ダンジョンのことはあまり詳しくないですけど、一日でレベル三は異常、ですよね?」

「まあ、異常といえば異常だろうね。最初のレベル一ならスライム十匹くらいだけど、その後スライムだけでレベルをあげようと思うと、レベル二で二十体から四十体。レベル三だと百から二百体くらいって言われている。しかもよりレア度の高い職業だとさらに上がりにくいなんても言われているね。レア職自体が少ないので検証はあまり進んでいないみたいだけど」

「とするとわたしの【聖女】はURだから、普通ならもっとスライムを倒さないとレベル一にするのも難しかったかもしれないってことですか?」

「その可能性はある。僕以外の保護責任者と行ってみれば対照実験ができるんだろうけど、今回の試みは君たちのレベルを上げるとともに、今後行うであろう授業のカリキュラムづくりのためだ。効率よくレベルを上げるより安全で確実なレベル上げが求められるので、僕の特殊能力については考慮に入れない。入れたとしても僕は一年でいなくなるんだから、その後が続かないからね。君たちも僕の能力に頼ることなく、地道なスキルアップに取り組んでくれ」

「わかったー」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「はい、それはもちろんです」

「うん。僕の能力は僕自身も発動条件、発動能力がよくわかっていない。実は全く関係なくて君たち自身の隠れスキルの影響かもしれない。小学生の女の子がダンジョンに入るという事例は日本初だから、何が起こるか誰もわかっていないんだ。こうだろうとは決めつけず、レベルアップに頼ることなく君たち自身の技量を高めていってくれると嬉しい」

「うん、千紗がんばるよ」

「導師、よろしくご指導を」

「これからもよろしくお願いします」


 三人が三人とも真剣な顔で応えてくれる。

 ならば僕も真剣に向き合わなければならないだろう。


「さて、これからはちょっと、話がややこしくなってきたんだが、今現在僕らは三枚のURアイテムを持っている」

「……はい?」

「もちろんゲームのアイテムじゃない。ダンジョン産のURアイテムで、売ればおそらく安くても数百万円。高く売れれば十億円単位の価値があるものと思われる」

「はいぃ!」


 億とか言われたらちょっとびっくりするよね。

 普通の人は年末ジャンボだのキャリーオーバーだのでしか縁のない金額だ。


「巨大ピンクと巨大もふもふ倒したら出てきたんだ!」

「まあ本来なら、その時君はここには所属していなかったので、権利はないんだが、この中のアイテムのひとつが君の職業にぴったりなアイテムでね。このまま売るには惜しいけど、使わせるにも難があるという難しいアイテムがあるんだ」

「おにいちゃん。あれって十八禁! って言ってなかった? 純華ちゃんが装備できるの?」

「できるといえばできるが、うっかりすると僕がたいーほされる」

「?」

「【聖女のドレス】というアイテムなんだが、これがとてつもなくスケスケで、ほとんど裸ん坊と変わらないドレスだぞ。千紗は着れるかこれ?」

「ええっ、おにいちゃんと二人っきりならー」


 なぜそこで恥ずかしながらくねくねしますかね、千紗さんや。


「アイテムが効力を発揮するのはダンジョンの中。つまりお外だぞ。しかもこれ以外の防具や装備は着用不可という制限付きだ。この着用不可というのはどこまでを指すのか未検証だが、おそらくこの絵と説明文からしてからだを隠すものは完全に駄目だろう。アクセサリー類やヘルメット、手袋、靴あたりはならだいじょうぶかもしれない。もし使うのであればこの辺は要検証だが、おそらく胴体にはこのドレス以外を着用するとドレスの効果が失われるか、装備すらできないものと思われる。そんな際どい服を小学生女児に着せたら間違いなく逮捕だね、僕が。まあそんな感じのドレスがあるんだが、万が一必要になったときのために取っておくか、やっぱり換金するか、意味たちの忌憚なき意見を聞きたい。もし使うことになるようなら僕は逮捕される覚悟で使わせるのでそれも考慮に入れてね」

「その前に質問いいですか?」

「どうぞ」

「それはどの程度役に立つアイテムなんですか」

「まだ君には説明していなかったね。カードに一応どういうアイテムかの説明が書いているんだが、それによると、【聖属性魔法にプラス五十パーセントのMAT補正。職業が【聖女】の時、全ステータス二十パーセント上昇。聖属性魔法のMAT補正と重複する。自動修復付き。全体の八十パーセントを失っても修復する』らしい」

「えっとそれはすごいんですか?」

「すごい、とも言えるし、すごくないとも言える」

「はい?」

「千紗たちには前に説明したんだけど、表記がパーセントなので、ステータスが低いうちはあまり役に立たないアイテムではある。二十パーセントステータス上昇と言っても、ステータスが十しかなければ、二しか上がらないことになる。これがステータス百だったりすると二十も上がる。聖属性魔法にプラス五十パーセントのMAT補正だとこれがもっと顕著になる。元のMATが十なら十五だけど百なら百五十。アイテムの底上げだけで五十も上がるわけだから、絶対値表記のアイテムに比べると大器晩成型のアイテムなので実際のところ今すぐ使う必要性は薄い。聖属性魔法も覚えていないしね。

 だが将来万が一の時に備え純華ちゃんに持たせておくか、売ってしまって千紗やリザの装備を揃えたり、おやつ代になったほうがいいのか。一応僕ら三人の財産だし、それを譲渡するにも三人の同意と、あと保護者の同意が必要だね。君たちだけの意見だと僕が舌先三寸で騙したみたいに言われるだろうから。

 それからこれのベストマッチ職業を得た純華ちゃんの意見も必要だろう。実際にこのスケスケの恥ずかしい衣装を着るのは絶対に嫌だというのであればそれまでだ。また、レベルを適当に上げたらそれで冒険者を止めるつもりであれば、このアイテムは必要ないだろう。なにせURのカード型アイテムは一度使ってしまえば、その人以外には使えないものになってしまうから、必要な時に絶対に使うという強い意志がないようならこれは渡せない。少なくとも僕はそう思う。何しろ僕の逮捕がかかっているからね」

「……」

「まあ、これもすぐに答えを出せと言っているわけじゃない。すぐに使うものでもないし、換金だって急いでいるわけでもない。使ったほうがいいのか、あくまで現金化するのがいいのか、保護者とよく話し合って決めてほしい。要望があれば僕が説明しにいってもいいし」

「……わかりました。よく考えてみます」

「千紗たちもいいね」

「うん、千紗もよく考えておくね」

「導師、妾は使えるカードなら使ってもいいのではないかと思うのですが」

「そのこころは?」

「URカードなら、山のように出そうな気がするのですが、妾の気のせいでしょうか?」


 うぐっ!

 痛いところを突いてきたね。


「どういうことですか? リザちゃん」

「こういうURカード、妾たちは各1枚ずつ持っている。これまで最大最強最悪のボスを三体倒してきましたがその全てでURカードが出ました。明日も出ると思ってはいけませんでしょうか?」

「……出るか出ないかで言えば、僕も出そうな気がする。もし出なくても、ボス部屋いくつか回れば何個かは出るかもしれない」

「なら、使えるものは使って、使えないものは売ってしまわれてはいかがでしょう?」

「それも一つの手だね。まあ、明日出なかったらその意見はなんの意味もないけどね」

「導師は、出ない方に賭けると?」

「いや、多分出そうな気がする」


 なにせ百発百中。

 宝くじもびっくり。くじとして成り立っていない確率が三連続だからね。

 しかもスキルレベルが爆上がりだ。

 LUK値も更に上昇している可能性は否定できない。


「なら、明日。ボス部屋でURアイテムが出たら、純華にもアイテム取得の権利ができます。それの権利とこちらのもつ【聖女のドレス】とトレードという手もあるのではないですか?」

「それに見合う価値のあるものが出たらね。これまで三回とも、わりかし微妙なカードだったろ? 性能はいいけど制限事項がきつかったり。URアイテムはそういうクセの強いのが多いんだ。職業もレアになるほど扱いにくくなるのと同様に、アイテムもレアなほど扱いにくい傾向にある。扱いにくいということは特定の人以外琴線に触れる人がいないということで、そういう人がオークションなどに参加してくる可能性は極端に低くなるため、売買価格もものすごくばらつくんだ。そういうばらつきの多いアイテムとの交換だと割に合わないぞ」

「まあ、そこは足りなければもう一個出せばいいのです。URカードを」

「リザさん、ムチャイイマスネー」

「ムチャとは思っていませんよね、導師?」

「これまでの経験からして出る可能性は高い。今後クラブ活動を続けていけばURアイテムがどんどん溜まっていく可能性もある。まあ、ある程度溜まったら、要らないものは売る。使えそうなものは取っておく。でもいいかもしれない。それを合わせてみんな考えておいてね」

「わかったー」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「はい。なんか常識がどんどん壊れていきそうな感じですけど」

「この程度、導師にかかればまだ序の口。新しいスキルも生えたし、スキルレベルも上がっている。今後さらにファンタジーな現象が起こる可能性は少なくない。導師自身がモンスターと同じファンタジー生物だと思った方がいい」


 おい。

 さすがにモンスターなんかと同じくくりにするのはやめてほしい。


「……そう、ですね」


 納得しないで純華ちゃん!


「おにいちゃんはファンタジー生物じゃないよ!」


 わかってくれるのは千紗、お前だけだ!


「おにいちゃんは英雄さんなんだよ! 奇跡を起こすのは当然なんだよ!!」


 お前もか、千紗!


 英雄は奇跡を起こすというより奇跡を起こしたから英雄足りうるんだぜ。

 なら奇跡を起こしまくってる僕って英雄?

 ちゃうちゃう。

 なんか理論が破綻している気がする。

 とにかくこのファンタジーならぬカオス空間は消滅させねばならん。


「まあ、というわけで、みんなよく考えておくように。では解散!」


 強引に話し合いを終わらせ、皆を帰宅させる。

 純華ちゃんだけは初日ということも有って一応家まで送っていき、本日の冒険について立ち話でざっと説明し、明日もよろしくとだけ言って辞する。


 明日のことは明日考えればいいさと現実逃避しながら家路についたのであった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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