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はじめてのほうとるーるせつめい

「ステータスについてはまあこんなもんでいいだろう。次は関連する法律やルールについて説明するぞ」

「うーん、これも難しそう」

「同意」

「例題を見る限りはそうたいしたことはなさそうだぞ。安心しろ」

「やったー!」

「まあ、これも暗記項目だから、覚えるのはちょっと退屈かもしれん」

「がくー」


 千紗は感情の起伏が激しいな。

 ダンジョンだと気分が乗ったりハマれば強いんだが、気分が乗らないとかリズムに乗れないと、力を発揮できないタイプだな。

 こういう子はご褒美で釣るに限る。


「今日はこれで終わりだからどこかで甘いものでも食べていくか?」

「えっ? いいの!?」


 あんまり個人的な付き合いはするなとは言われているがたまにはいいだろう。

 課外活動の担当教諭も時々部員に差し入れしたり、しているみたいだし。

 それに千紗と僕はいとこ同士で、リザはそのお友達だ。

 一緒に行動するなという方が無理がある。

 

「この講義が終わったら好きなところ選んでいいぞ。もちろんリザもだ」

「やったー!」

「……ありがとう」


 素直に喜ぶ千紗に対し、クールに振る舞おうとして完全に失敗しているエリザベート。

 うん、女の子は甘いもの好きだからね。


「どこいくかは講義が終わってから相談しろよー」

「「はーい!」」


 ここはきっちろ声が揃うんだなw


「さて、あまりおまたせしても気がそぞろになるだろうからちゃっちゃと説明していくぞ。まず試験に出そうなのが冒険者一種免許と二種免許の違い、あるいは二種免許の限定範囲だな」


 冒険者二種免許では十層制限が一応あるが、達成条件はあってなきが如し。

 だが法律はあるので、試験に出るとしたらこの十層制限や未成年や高齢者の保護責任者同伴とその可能とする人数階層なんかだろう。


「なので僕やその他の保護責任者の同伴がないといくら免許が有っても君らはダンジョンに入れないからね」

「わかったー!」

「委細承知」

「次に出そうなのは銃刀法違反関係だね。ダンジョンで銃が使われることはまずないので、刀や剣などの刃物を持ち込むときのルールだ。おそらくここは出る。君らはまだ法に触れるようなものを持っていないがよく覚えておくこと」


 今持っていなくても将来持つことになるかもしれないからだ。

 いざ持ってみて法律を知らなかったでは済まないからね。


「それからライブカメラ装着の義務だね。基本的にこの映像を確認するのはAIだけだが、緊急事態には人間のオペレータが過去に辿って確認する場合がある。免許取得にはそのことの同意書も書かされるが、同意しないと免許が発行されないとか法には明記されていない運用上の細かいルールが有るから要注意だ」


 法律自体にライブカメラ必須とは書いていないんだが、行動を監視する装置の装着を義務付けることができる、のような条文は有ったりする。

 何をどのようにつけるかは運用側に任しているというわけだ。


「その他冒険者免許に武器の登録証保存機能があるので、武器を預ける、持ち込む、持ち出す時は冒険者免許があれば一括で対応できる。複数の武器でもみな一緒だ」

「ランスは武器に入りますか!?」


 なんだそのバナナはおやつに入りますかみたいな質問は。


「ランスは立派な武器です。持ち運ぶ時は許可証が必要です。また持ち運びには鍵のかかるケースに入れ、指定機関や指定業者による封印処理が必要になるんだ。これを怠ったり、勝手に封印を破ると罰せられる」


「封印など妾の邪眼にかかればあっという間に解除可能であろう」

「いやいや、普通に手で破れるから。緊急時以外破れば捕まりますからねー。ここ多分試験に出ます」


 武器の取り扱いのところは冒険者にとって必須だからね。出ないわけがない。


「勉強会の最初でも軽く説明したけど、ダンジョン内の土地専有にも許可がいるからな。勝手に建物を立てたり、特定の場所を占拠したり移動命令や撤去命令に従わないと逮捕されることになる。特にダンジョンの階層入口あたりは厳しいぞ。その付近に十分も立ち止まっていると管理局から警告が入るし、それでも立ち退かないと即逮捕だ」

「なんでそんなに厳しいの?」

「基本的に冒険者とそのパーティーは他の冒険者やそのパーティーには、緊急事態を除き一定以上近づいてはいけないという規定があるんだよ。なので入口付近でたむろされると他の冒険者が出入りできないだろ? あとはボス部屋前とかな」

「なるほどー」

「それ以外ならよっぽど邪魔にならない限り撤去命令なんかは出ないけどね。出るとしたら美味しい狩り場を超時間占拠したりとかだね。ボス部屋以外はどこにモンスターが湧くかはダンジョンの意思次第なんだけど、湧きやすいポイントや狩りやすい地形なんかはダンジョンごとにいくつか有ったりするんだ。

 たとえばウィンドスライムなんかは草原にしか湧かない。荒野とか緑のないところにはまず出て来ない。出てきても僅かにある緑が茂った場所になる。その場所を張っていればウィンドスライムを独り占めできることになる」

「ほう、そんな手があったとは」

「やるなよ? これはフリじゃないからな」

「やだなぁ。わかってるってば。場所じゃなければいいんでしょ? たとえばおにいちゃんを専有するとか?」

「それも禁止です」

「えー」


 僕を専有してどうすんだよ。お得感がないぞ。

 千紗を専有したら楽しそうだけど、ってそれは犯罪です!


「抜け道としては複数の合同パーティーが交代で専有するとか、特別許可を申請したりという方法はありますね。まあこれも他の冒険者が抗議すれば、それぞれの専有時間を加味して各パーティーに専有許可を振り分けたり等、管理局で調整してくれます。まあ昼なら特別な申請がない場合四時間、夜なら八時間以上専有していると後から来たパーティーに譲るよう勧告が出ます」

「特別な申請とはどのような申請でしょう?」

「倒すのにものすごく時間のかかるやつの討伐に行くときとか、今現在そんな敵と戦っているとかだな。いくら長時間その場所を専有しているからって戦闘中に明け渡すことはできないからね。当然一区切りついたところで引き渡すことになる。途中で割り込むのはルール違反だ。助けを求められたりしない限り他のパーティーが戦っている獲物を横取りしてはいけない。むやみに接近しないようにしているのもこの横取りや逆にモンスターのなすりつけ行為があるからなんだ。横取りもなすりつけも逮捕案件だから、自分たちでモンスターを処理しきれないと感じたらすぐに救助要請を出すこと。救助要請を出さなかったり応じてもいない冒険者に近づくと殺人未遂に問われたり、もしその冒険者が死んだり怪我をしたら殺人罪や傷害罪に問われる可能性がある」

「わかったー」

命令受諾(オーダー アクセプト)


 法律関係はちゃんと知っておかないとちょっとした不注意で犯罪に問われることがある。

 特に地上とは違う法や運用が適用されているダンジョンでは。

 知らないことが即、罪なのだ。


「命のやり取りをしている現場だけに法の適用はものすごく厳格だ。ライブカメラですべて記録が残るから、まず言い訳はきかない。知らないイコール即犯罪に問われる可能性が常に付きまとう。試験が終わったからって忘れていいというものではない。試験が終わってからも法律や法令、ルールについては常におさらいしておいてほしい」

「わかったよ、おにいちゃん!」

命令受諾(オーダー アクセプト)。弛まぬ努力を続けましょう」

「一人が法を破ってもパーティー全体の責任になることもあるからね。まあ場合によっては保護責任者だけが罪に問われるとか状況次第で様々な法やルールが適用されるから、細かいところまで把握するのは困難だと思う。僕だって関連法案全部は覚えていないからね。そんな時はライブカメラでオペレータを呼び出せばどうすればいいか教えてくれる。法律がどうこう言うのはだいたい緊急事態とか困っているときだ。例えば強敵に有って逃げるときにどっちへ向かえばいいかとか聞けば、救助要請に応じてくれた冒険者や救急隊員のいる方角を教えてくれたりする。冒険者同士のトラブルも相談が可能だ。さっき言った専有の問題や、なすりつけられたとかだね。わからない時記憶が怪しいときなどは仲間に訊いたりオペレータに確認したりして、とにかく一人で悩まない判断しない行動しないことが大切なんだ」

「ほうれんそう、だね!」

「そういうことだね。法やルール関係で覚えておくべきこと知っておくべきことは多いが二種ならまあここまで覚えておけば問題ないだろう」


 僕はプロジェクターを止め、接続コードを引っこ抜く。


「次はお待ちかねの甘いものツアーだ。僕が片付けているうちにいく店相談しとけよー」

「わーい!」

「千紗、甘みに異存はないとしてどこがいいですか?」

「あと夕飯が入らなくならない程度のボリュームにしろよ」

「うっ、ならパフェ系は全滅だね」

「妾なら平気」


 以外に大食いか、エリザベート。ちっこ細いくせに。


「目覚めよ、我が内に封じた【暴食】よ!」


 駄目かもしれん。


「夕飯お残ししなかったか後でお家の人に確認するからな。もしお残ししたら二度とおごりはないぞ」


 一応脅しておく。

 JSを脅すとか、ちょっと犯罪臭がするけど。


「仕方ありません。万が一の安全策を取るべきでしょう」

「うん、そうだね! じゃあね、こっちのちっちゃいケーキがあるお店はどうかな?」


 千紗がスマホで検索して画像を見せる。


「いいですね。この大きさなら問題ないでしょう。種類もたくさんあるようですし、半分ずつ分けてもいいかもしれません。ケーキなら分けやすいですから」

「おう、決まったか」


 僕はすでにタブレットPCもビデオカメラも片付け終了していた。

 まあ、思ったより早く決まったけど。


「うん、ばっちり。学校からも近いしイートインもちゃんとあるよ」

「万事抜かりはないと報告します」


「じゃあ、玄関前で待っていてくれ。僕はタブレットPCを職員室においてくるよ」

「はーい」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「おにいちゃんもはやくきてねー」


 僕が鍵をかけるまもなく駆けていく二人。

 おーい、そんなに急いでも、僕がいかなきゃケーキ食えんぞ。

 こりゃあ、遅くなったら文句タラタラコースだな。


 僕はそんな事態を避けるため足早に職員室へ向かった。

 オゴって文句言われるとか割に合わないにもほどがあるからね。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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