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はじめてのだんじょんせつめい

「さてざっとだが、これでアミューズメント層に出てくるモンスターを説明したわけだが質問はあるか?」

「はい!」

「はい、千紗さん」

「なんで一層も二層も六種類しか新規モンスターがいないの?」

「一応ボス部屋で出てくるモンスターの種類と同期していると言われている。ボス部屋で出てくるモンスターはその層で出てくる新規モンスターで、それ以外が出てくることはない。少なくとも今のところはね。

 都市伝説として七種類目が出るけど、それが出たら必ずパーティーは全滅するため、知られることはない、なんて話があるけど、知られるはずがないのに知ってる奴がいたらおかしいだろうとのツッコミは定番だ。

 そんな眉唾話を除けば、ボス部屋で六種類しか出てこないからその階層でも六種類しか新規に出てこないのか、一階層で新規モンスターは六種類しか出ないからボス部屋でも出ないかわからない。

 数秘術とか神秘派かなにかだと六という数字に意味があるという人もいるね。獣の数字で有名な666を意味しているとか言っている人もいるけど、本当かどうかはダンジョンを作った造物主にでも訊いてみないとわからないな。しかしいま六種しか出てこないからと言って今後も六種しか出ないとはいえないことだけは覚えておいてくれ。モンスター溢れの時は下層のモンスターが出るときもあるし、モンスター溢れ以外の異常事態が起こる可能性がないとは誰にも言えないんだ。何か異常があったら即時探索を中止し、ダンジョン管理局に通報するのは冒険者の義務にもなっている。これを怠ると、法的罰則もあり得るから、十分注意するように」

「わかった!」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「まあ、このへんはモンスターの話というより、ダンジョンの話や法的義務の話になるな。モンスターについて他に疑問がないのなら、次はダンジョンについて話をしていくぞ」

「だいじょうぶー」

「問題ありません」


 これ以上質問はなさそうなので次に行く。


「ダンジョンの話と言ってもまあ、そんなに大して話すことはない。さっき最も重要な件を話しちゃったからな。後話しておかないといけないのは、アミューズメント層の特徴はダンジョンの入口の違いエリアの違い基本属性の違いでだいぶ攻略法や必要な装備が違うから要注意だ。まずはこれらについて説明していくぞ」


 僕はスライドを差し替え、ダンジョンの主な基本属性についての図を出す。


「まずこの東京エリアだとすべてが春型固定属性にあたる。東京には三つのエリアがあり、新宿や東京などの山の手周辺が東京中央エリア、墨田区や江東区より東側が東東京エリア。西東京エリアは三鷹市調布市辺りから西になる。このへんだと西東京エリアの端っこだね」


 ちなみに東京の北側は埼玉エリアや北関東エリア、南側は神奈川エリアや横浜エリアなんて呼ばれる。


「通常同じエリアに属する入り口から潜れば、基本属性はおなじになる。またご近所のエリアは大体似通った属性になり、距離が離れるほど変化率が大きい傾向があるな。北海道や東北だと雪原や雪山フィールドが有ったり、沖縄なんかだと亜熱帯気候のフィールドが多い。山が多い地方では山フィールドが多く海が近いところだと海岸フィールドが多いなど、周りの地形にけっこう影響を受けているようだ。

 また、場合によっては四季があったりもするが、アミューズメント層だと稀だね。下層に行けば結構あるんだけど。日本だと二つのエリアだけだ。関東に一個、関西に一個だね。この二つのダンジョンエリアは特殊だから試験に出るかもしれない。他は同じ季節で固定だから、季節によって対応が違ってくるなんてこともないしね」


 ダンジョンはご近所同士はつながっていることが多く、つながってさえいれば気候などの属性、出てくる魔物やなんかは同じになる。

 入り口によって周辺の地形や気象状況――気温や湿度天気等――などは結構違ってくるのだが。

 基本的にダンジョンの入口ごとにボス部屋と言われる特殊な領域が有り、エリアというのは複数のダンジョンがシームレスにつながっているだけと考えられている。

 で、ダンジョン内の特定の地形や気候によって、草原フィールドとか荒野フィールドなんて呼ばれ方もする。

 またつながっていなくてもご近所のエリアなら似通った属性になることが多い。

 そのためこの二箇所はかなり稀な例と言えるだろう。


 ざっとまとめると、ダンジョンが複数つながったものをエリア。個別のダンジョンを仙川ダンジョンのように地名などをつけて呼ぶ。そして地形や気候ごとの違いで、草原フィールド、荒野フィールドなどと呼ぶ。

 他の分け方といえばアミューズメント層のように境界がないように見える自然の地形はオープンフィールド。

 壁や部屋がある迷宮タイプのフィールドをダンジョンフィールドなどと呼んでいる。


 そういったことを説明していく。


「ダンジョン関係についてはこの特殊な例と一般的な例を覚えておけば、まず問題ないだろう。後は最初に話した一層あたり六種しか新規モンスターは出ないこと。ダンジョン関係でなぜそうなっているのかは不明な点は多いが、現在はこうなっているという事はできる。試験については全国共通だから東京限定とか地方限定の問題は出ないはずだ。どこでも共通の事項や特殊な事例が出されると考えていい」


 現在で言うところの一種試験なんかもおんなじ傾向だった。

 仙川ダンジョンの特徴を答えろなんて問題じゃ地元の人有利になっちゃうしね。


「なので、アミューズメント層に関しては季節固定型と変動型がある、全てがフィールドタイプで迷宮タイプはない。ご近所がつながっていて、同じ空間を共有しているが地形や気象状況については場所によって変化がある。空間の大きさは不定だがその距離は地上の距離と同期している。なので例えば新宿ダンジョンから渋谷ダンジョンまで、地上での直線距離とダンジョン内の直線距離は同じになる。地形や道が違うので、歩いたりする時間は違ってくるけどね。

 また大きさは不定だけど端はない、ように見える。端まで行くと百八十度クルッと回って元の位置に戻る。その先は見えるんだけどね。

 これを利用して一人キャッチボールなんかで遊ぶこともできる。ダンジョン定番の遊びだね。

 なにもないはずのところに石を投げると、そのままもどってくるという不思議現象が見られる。

 仙川ダンジョンは西東京エリアの端っこだから比較的その境界は近い。機会があったら行ってみようと思っている。烏山駅くらいまで歩く必要があるけどな!

 自転速度は地球の自転と同期しているので、昼夜はそのダンジョンの入口と同じになる。とは言え見かけ上の天体は同一ではない。太陽の形や数が違ったり星座が違ったりしている。

 完全に別の惑星か超高性能なコンピュータでシミュレーションしている仮想空間じゃないかというやつもいる。これも証明はされていないけどね。

 人口が十万人に満たない離島にダンジョンの入口はない。基本的に十万人あたり一つのダンジョンが生えるらしいので、それに満たないところは周辺地域と合わせて十万人になるような地点にダンジョンの入り口が生えるようだ。

 ダンジョンは階層ボスと言われる個体を倒さないと下の階層へはいけない。守護者と言われる十層ごとのボスを倒さないと下への階段は現れない。ダンジョンのボス部屋と言われるフィールドに入れるのは通常六人まで。五十層でレイド部屋と言われる特殊な部屋が現れる。ここに入れる人数はダンジョンごとに違うらしいが、二種の試験では範囲外なので出ることはないはず。五十層より先は未知の空間なのでそこで終わりか次があるかわかっていない。

 ダンジョンの中では地上と同じ強度で電波が通じる」


 ここまではダンジョンそのものの性質や特徴だね。

 次はダンジョン内だけで起こる不思議現象について説明していく。


「ダンジョンの中では特殊な能力が使えるのは知ってのとおりだ。

 ダンジョン内に連続三時間以上潜ると職業が与えられる他、ステータスボードが開けるようになる。ステータスボードには現在のスキルや各能力補正値が表示されるが、人やレベルによって表示される内容は違う。またレベルを上げるとスキルが生えることがある。職業やスキルは全部でいくつあるかはわかっていない。職業やスキルの中には条件付きのものがある。

 ダンジョン内のオブジェクトはドロップアイテム以外そのままの形では持ち出すことができない。持ち出そうとすれば光となって消える。

 だがダンジョン内の物質と地上の物質が何らの化学反応を起こしたものは持ち帰れる。

 僕たちが呼吸に使った酸素が持ち帰れるのはそのせいだね。

 なので、ダンジョンの有用な物資を見つけ大量に持ち帰れないかという研究が進められたりしている。まあ、大きな施設を建ててもスライムに食われちゃうんで、まずはその問題が解決しないと無理だろうけど」


 とまあこんな感じだけど上げてみると結構あるな。


「この辺は理解するというより単なる暗記の問題なので、粛々と暗記すればいい」


 理解が必要なのはモンスターの知識だろう。

 こいつは知識とともに経験を積む必要がある。とっさの判断が必要になってくるからな。

 ダンジョン関係で経験を積む必要があるのはダンジョン内での過ごし方くらいだが、これはダンジョンごとに違ってくるので、試験では出ないだろうと思われる。

 出てもせいぜい特殊なダンジョン下での行動についてくらいか?

 実際通常の冒険者は自分の拠点をあちこち変えてはしごするなんてことはそれほど無いから、他のダンジョンのことを覚える必要はまずないんだけどね。

 自分にこのダンジョンは合っていない、あまり美味しくない、特定のモンスターを狩りたいとかでもない限り、変えることはないし変えるにしても割と最初の方だけで、その後は固定ダンジョンで過ごすのが一般的だ。

 そのため不人気ダンジョンにはとことん人が集まらない。

 国が対処するにも美味しくないから、手間ばかりかかって実入りが少ないってことになる。

 モンスター溢れが起こったのはそういう不人気ダンジョンだ。

 おいしい美味しくないの外、交通の便とかもあるし、人が集まりすぎてもエンカウントが遅くなって効率が悪いから、それを含んでの効率でダンジョン選択になるんだけどね。

 命をかけて潜るのだからできれば効率よく稼ぎたいのが人情と言えるだろう。


「ちょっと端折ったけど資料はいつものところに入れておくから、後で見ておいてね」

「はーい」

命令受諾(オーダー アクセプト)

「資料見てわからないことがあればいつでも質問して。チャットでもいいし、課外活動の時でも大丈夫だ。ちょうど時間なので次の課外活動の時間に救急処置、法律、施設利用なんかについて説明していくぞ」


 僕はそう言って必須クラブの講義を終了した。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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script?guid=on異世界のジョブズに、僕はなる ~定年SEの異世界転生業務報告書~
もよろしくお願い致します。こちらは異世界ファンタジーになります。
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