はじめてのもんすたーせつめい
ちょっと寄り道しちゃったけど、続いてモンスターの説明に入る。
「装備の説明のところでも軽く説明したけど、今日は試験に出そうなところを中心に説明していく。まずはプロジェクターを見てくれ」
僕はタブレットPCを操作し、スライムの一覧を表示する。
「一番ポピュラーなのがこの透明なやつ。公式名称はクリアスライムだ。通称クリスラ。数は多いが見つけづらいので、それほど討伐数は多くないようだ。特に特徴はないし、アミューズメント層のは消化液のようなものも飛ばしてこないから、見つけたら対処しやすいんだが、見つけるのが非常に困難だ」
「うん、ゼリーみたいだね!」
「まあ、スライムはみんなゼリーっぽいけどね! さて次は公式名称:ウィンドスライムだ。通称神風スラ。風魔法を使うからこういわれているが、見た目からグリーンスライムなんて呼ばれ方もする。まあ、アミューズメント層ならせいぜいつむじ風程度なので、何か飛びやすいものでも周りに置かなければたいして脅威ではない。砂埃が目に入るくらいだな。職業を得る前だとけっこう痛いからゴーグルをしたほうがいいな。こいつは主に草原にいるからこれまた見つけづらい。荒れ地なんかだと比較的見つけやすいんだが、自分の特性がわかっているのかまずそんなところで見かけることはない」
「スライムのくせに魔法使いとか生意気です」
リザが対抗意識むき出しにしている。
一応先輩? だからね。
風魔法の使い方については学ぶといいよ。
「で、こいつが、女の子の敵ナンバーワン。男の子にも敵だけど、公式名称:ピンクスライム。通称エロスラだ。スライムの中でダントツに溶解力が強く、一滴服についただけで周囲十センチは溶けると思った方がいい。全身に浴びたら全裸間違い無しの危険なやつだ。武器防具などの装備も対策していないと容赦なく溶かされる。こうなるとほぼ全損扱いだから、買い替えが必要になる、冒険者泣かせのスライムだ。職業を得ていても稀に人間の防御力を突き破ってくるほど攻撃力が高い。職業がなければ骨まで溶けるから絶対に近寄らないこと」
「うはぁ! やばいやつだ」
「命令受諾」
「どこにでも出てくるし数も多いが、目立つので討伐される数も多い。見逃すってことはないと思うが十分注意する必要がある」
こいつだけは油断がならない。
他はまあアミューズメント層なら危険は少ない。
まったくないというわけでは無いけど。
「時間もないしどんどんいくぞ。次は公式名称:アクアスライム。通称水スラ。水魔法を使ってくる。アミューズメント層で水辺以外ならせいぜい水鉄砲程度の威力だから大した脅威ではない。フィールドが寒冷地だったりするとものすごく寒い思いをするけどな。下層になれば氷魔法なんかも使ってくる。残りは公式名称:ファイヤースライム。通称レッドスライムや火スラと呼ばれている。文字通り火を吹くが、低層だと結構しょぼい。ライター代わりや竈の焚付に使ったりする。こいつの体液は燃えるので、そのまま薪と一緒に燃やしたりと、ほとんど着火剤付きの炭のような扱いだ。最後は公式名称:アーススライム。通称土スラ。土魔法を使うが低層だとせいぜい砂粒を飛ばしてくるだけだ。なので砂かけばばぁなんて呼んでいるやつもいる。スライムに雄雌があるかは判明していないけどな。対応としてはウィンドと同じくゴーグルをしていれば問題ない」
最後まで一気に説明して、とりあえず一息つく。
「アミューズメント層で確認されているのはモンスター溢れを除き、この六種類だけだ。四大属性魔法を使うやつと、消化特化のピンクスライム、そしてベースのクリアスライムだな。おそらくスライムがらみの出題はこの六種に絞られるだろう」
試験範囲はアミューズメント層限定とのアナウンスが有ったからね。
これ以外が出てきたら抗議続出だろう。
「ここまで全部第一層の新規モンスターだ。これ以外を見かけたらモンスター溢れが起こっているということなので、速やかに撤退すること」
「はーい!」
「命令受諾」
「スライムは他にも何種類かいるけど、アミューズメント層には出ないから割愛だ。そうそう、たまに偶然、あるいは冒険者がいたずらして複数のスライムを混ぜてキメラスライムを作ることがあるので、見極めが大切だ。基本的にそういうやつは核が複数あるからよく見ればわかる」
「そんな事ができるのね」
「ああ、スライムを使った割とポピュラーな遊びだね」
スライムは核を潰さない限り死ぬことはないし、たまに他のスライムなんかを取り込むことも有ったりするのでこういう遊びができる。
「続いて二層に行ってみようか。二層で出るのはうさぎ系とネズミ系だ。うさぎ系は公式名称:レッサーホーンラビット、通称もふもふうさぎ。公式名称:エレクトラビット、通称ピーターラビット。公式名称:パンダラビット。通称バニーガール。の三種類。ネズミ系は公式名称:ライトマウス、通称レーザーマウス。公式名称:ビッグマウス、通称ホラ吹きマウス。公式名称:モップマウス、通称毛玉マウスの三種類。全部で六種類のモンスターが確認されている。これはどこのアミューズメント層に行っても固定だからね。アミューズメント層には草原フィールドの他雪山や砂漠、荒れ地フィールドなど結構地形や気候に違いが有ったりするんだが不思議なことにモンスターは固定だ。この他に一層のスライムなんかも出る」
僕はスライドを差し替えて説明していく。
「たしかに不思議だね」
「創造主の深遠なる意図によるものでしょうか、それとも神の気まぐれ?」
「それはわからんが、試験を受ける方としては簡単でありがたい話だ。どこまで試験で出るかわからないから、詳細な資料はいつものチャットグループのファイルのところににアップしておく。あとで見ておいてくれ」
「ほーい」
「命令受諾」
「じゃあ、二層の魔物について、もう少し詳しく説明していくぞ。最初はうさぎ系。代表的なのがこのレッサーホーンラビットだ。通称もふもふうさぎと言われているくらいもふもふだぞ」
「ううっ、かわいい。撫でくりまわしたい」
「同意します。家で飼えないものでしょうか?」
エリザーべーとは飼育委員もしている優しい女の子だったな!
ちょうど学校で飼っているのもうさぎとハムスターだとか。
「基本的にモンスターはダンジョンの外へは連れ出せないんだ。例外はモンスター溢れのときだけだね。その時ばかりは地上もダンジョンと同じ扱いになるようだ」
「ということは意図的にモンスター溢れを起こせば……」
「こらこら、自分たちはモンスター溢れを防止するのと、モンスター溢れのときに怪我しないための活動をしているんだぞ。意図的に溢れさせたらだめだろう。仮にそれができたとしてもね」
まあ、やるにしてもその場所を専有する必要があるから、国家とかテロ組織とかで大規模にやらないとだめだろうけど。
テロ国家ならやりそう?
「仕方ありません。一刻も早く二層に到達するよう頑張りましょう」
「うん! 千紗も協力するよ」
「ありがとう千紗」
少女たちの友情を育む姿は尊いよね!
いつまでも見ていたいがそうも言っていられないので、残念ながら打ち切らせてもらう。
「えー、レッサーホーンラビットと名前がついているように、こいつには角がある。とはいえこの角は毛が固まったものなので、硬くないというより柔らかい。クッションのようにふわふわだ。こいつの攻撃は基本的に突進による頭突きで、頭突きしたときに頭を保護するためにこうなっていると言われている」
サイなんかと同じ構造であるがサイの角はもっと硬く、毛というより爪なんかに近いらしいけど。
「頭の角はもとより、毛もふわふわなので、突進してきたところを足かなんかで受け止めて素早くつかめばモフり放題だ。力もあまり強くないしね」
「絶対に捕まえます」
「うん存分にやってくれ。でも最後は倒すからな?」
「がーん。この子達を倒すなんて妾にできるでしょうか?」
もうすでにこの子になっちゃってるよ。
だいじょうぶか?
「無理なら他のでもいいけど、二層はもふもふばかりだぞ?」
「うぐぅ。頑張ります」
何もそんな悲壮な顔しなくても。
「だいじょうぶだ。モンスターは倒しても倒しても湧いてくる。新しいモフりとの出会いがあるぞ。柄とか大きさとかモフり心地とか結構差があるみたいだし」
「なんと! それは理想のモフりが見つけられるということですか?」
「そうだな。モンスターを倒せばその分新しいモフりとの出会いの機会も多くなる。倒さないとすでにモフったやつを再度モフることになるな」
「何度もモフるか、新たな出会いを求めるか。難しい問題です」
「その辺は後でじっくり悩んでくれ。次行くぞ。次の新たなモフりは公式名称:エレクトラビット。通称ピーターラビット。二足歩行するうさぎだ」
「これまた可愛いです。お洋服を着せたい」
「実際着せて動画サイトとかにアップしているやつとかいるみたいだぞ?」
「なんと。これは早く妾の遠視能力を取り戻さねばならないようですね」
頑張って両親を説得してくれ。
僕ではチャイルドロックを外してあげられないからね。
「さてうさぎ系最後はパンダラビット。見た目がパンダ柄っぽいからこの名前なんだが、どちらかというとバニーガールのほうが近いという勢力も多く通称バニーちゃんとか呼ばれる」
「これも可愛いです」
「こいつはもう、普通のうさぎとほぼ変わらない。まあ体長が世界最大級のうさぎよりでかいのがいたりするから下手をするとリザよりでかいぞ。今なら全身でモフれるな」
「ほわー。そこは楽園か天国か? 一刻も早くモフりに行くべき」
「免許とってレベルが上ったらな。でかい分けっこう力が強いからちゃんとレベル上げないと押しつぶされたり逃げられたりする」
「わかった。レベル上げ頑張る。うさぎ仲間のお友達にもこの話していい?」
「いいとも。どんどん布教してくれ」
「命令受諾。頑張ります」
うむ、頑張ってうさぎ好きを沼に引きずりこんでくれw
「さて次はネズミ系だ」
「ねずみぃ?」
千紗はなんか嫌そうだ。
まあドブネズミのようなものを想像する人は多いだろう。
ミッキーなんとかが一番に来るのはなんとかランドのファンだけだ(偏見!)。
僕ならピカっとくるやつか?
男の子だもんw
「ここのネズミは結構可愛らしいぞ。まずは公式名称:ライトマウス。通称レーザーマウス。カピバラ型の大型ネズミだ。行動もカピバラそっくりで温厚だが、怒ると目が光る。アミューズメント層なら大したことはないが下層でまともにこいつの目からビームを食らうと、失明しかねんから要注意だ。光はDEFとか関係ないからね。尻尾の付け根が弱点で、とんとんしてやるとゴロンとして無抵抗になる。後はモフり放題だな」
「おお、ネズミも捨てがたいわ」
「カビバラは可愛いよね! 前に見に行ったことある!」
「次が公式名称:ビッグマウス。通称ホラ吹きマウスと言われている。でっかいハムスターだが擬態がうまく、見つけるのは困難だ。見つけさえすれば後は弱っちいのでモフり放題だな。うさぎより大きくはないがそれでも結構な大きさだから、上半身くらいなら埋まれる」
「これもかわいいです」
「うんうん。わかる!」
「さて最後は公式名称:モップマウス、通称毛玉マウス。毛玉のような毛がもこもこのこのマウス。毛がフワッフワで羊なんて眼じゃ無いくらいモコモコだぞ」
「なんともモフりがいがありそうな毛玉です」
「ほんとにふわふわだね!」
「全体の大きさはビッグマウスくらいあるんだが、実際の体の大きさはライトマウスより小さい。手に持つと腕が肘まで中に埋まるぞ。あまりのもふもふ具合になまじっかな攻撃は通らないから意外に倒すのが難しい」
「ぜひ堪能したいです」
「ぜひそうしてくれ。ネズミ好きのお友達もいたら、誘うといい。ファイルの中にはたっぷり資料映像を入れておいたから、後でお友達とじっくり堪能してファンを増やしてくれ」
これでいく気になるお友達が増えるといいな。
その前に親も説得しないといけないんだが、肝心の子供にやる気が無いんじゃ無理強いもできないしね。
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