第74話 天空の島へ
世界樹のツルが、完全に伸び切った。これなら、天空にあるという島まで、たどり着けるだろう。
出発の前に、チェスナと話す。
「行ってきます、チェスナ。お留守番よろしく」
「はい。コーキさま。いってらっしゃい」
続いて、ダンディ・リオンとギンコさんにも声を掛ける。
「売れそうな素材があったら、真っ先に俺のところに。高く買い取ってやるからな。頼むぜコーキ」
「行っておいで、コーキ。骨は拾ってやる」
みんな、ありがたい。
「行きますね」
向かうメンバーは、ボクとパロンクコの三人に加えて、ナビ役に、古代文字がわかるピオナを。
ヴェリシモさんとナップルも、ついてくる。
「オイラもついていきますぜ」と、スプルスさんが申し出た。
「護衛役がほしいところだが、仕方がない。ここの所在がクトーニアンに知られた以上、守護するものが必要だ」
「わかりました。
アザレアとガルバも、ボクらと同行するといい出した。
「守れないかも知れないよ。それでもいい?」
「構わないさ。オレたちだって、伊達に冒険者をやってねえんだ。コーキにだけ危険なマネをさせられん」
ガルバの言葉に、アザレアもうなずく。
「ふたりとも、コーキとしばらく冒険していなかったから、いっしょに旅がしたいみたい」
パロンが、ボクに耳打ちしてきた。
危ないだけだし、ボクと同行なんてそんなに楽しくないと思うけど。
「コーキなら、なんだかんだ言って助けられるからのう」
クコが、ボクの身体からブドウを取って食べる。
「そうかな? 今回ばかりはボクも、自信がないよ」
「お主は強い。自覚がないだけなんじゃ。ステータス表を見てみい」
ボクは、ステータスを確認する
「コーキ、どれだけ、ステータスアップの種を食べたんだい?」
「定期的にもらうから、もう忘れちゃった。
まだまだ食べていない種も、結構ある。
この際、すべて食べてもいいかも。
― ■ *** ステータス表 *** ■ ―
名前 コーキ
レベル 四〇
各ステータス
【体力】
一〇二
【魔力】
二五四
【素早さ】
九〇
残りステータスポイント
〇
― ■ ************** ■ ―
「強い」
「もはや神レベルだろ、こんなの」
アザレアとガルバが、唖然となっていた。
まだ、スキルポイントの種もあるんだよなあ。
― ■ *** スキル表 ***** ■ ―
●戦闘用スキル
【ソーンバインド】
一二〇
【召喚】
一〇九
【ロックスロー】
三九
【アタックトーテム】
四七
【セイントファイア】
六〇
【クリエイト・ポーション】
二〇
●生産用スキル
【クラフト】
一〇〇
【探知】
四六
【魔物使い】
六八
残りスキルポイント
〇
― ■ ************** ■ ―
「ひとまず、今あるスキルを伸ばしてみたよ」
「それでいいと思う。じゃあ、出発しよう」
ボクたちは、世界樹のツタを掴んだ。
大きな葉っぱが、ツタから生えてくる。
みんなで、葉っぱの上に乗った。
ツタがひとりでに動いて、エレベーターのように空へと向かう。
葉っぱのエレベーターを使って、果てしない旅へ。
本当に、『ジャックと豆の木』みたいだなと思いつつ。
「どうしたの、コーキ? 笑っているみたいだけど?」
「いやね、ボクいた世界にある絵本に、こんな状況と近いお話があるんだ」
「以前に話していた、絵本のことかい?たしかに、珍しいよね。本に乗っていても、おかしくない話かも」
パロンが、うんうんとうなずく。
まあ、ツタが勝手に移動してくれはしなかったけど。
「うえええ。こんな上空まで登るのかよ」
ナップルが、ツタにしがみついていた。
「どうした、ナップル? 高いところが怖いか」
「ヴェリシモは、よく平気だよな! あたしらは地下がホームグラウンドだ。高いトコに体勢はねえんだよ!」
まあ、葉っぱには強度もある。よほどのことがない限り、落ちはしないだろう。
「見てください、コーキさん! 別の世界樹ですよ!」
遠くの方角を、アザレアが指差す。
こちらに負けないくらいの大樹が、複雑に渦を巻いている。他の木と融合しているのか。
「ホントだ。峡谷にいたトレントだよね?」
クトーニアンという邪教集団のせいで、峡谷のダム貯水池に閉じ込められていた。人為的に天候を操る装置の素体にされて。
ボクたちが、脱走を手伝ってあげた。
もう、あんなにも大きくなっていたのか。随分と、立派になって。
すさまじい魔力を感じる。
あれくらいの規模になれば、もうクトーニアンの嫌がらせを受けないだろう。
周囲も自然に囲まれ、森と化していた。川まで流れている。
パロンたちの住んでいた、シドの森と同規模なのでは?
「うむ。世界樹が命を分け与え、鳥も動物も戻っておるようじゃ」
パロンの肩に乗っているクコが、アゴに手を当てた。
トレントが枝を伸ばし、手を振ってくる。こちらに気づいたようだ。
ボクたちも、手を振り返す。
雲の中に入ると、天候が変わってきた。
「いよいよじゃ。天空の島は近いぞな」
クコが、警戒をする。
「でもさ、座標的に合ってるのかな?」
もし別の場所に島があったら、無駄骨だけど。
「ご心配なく。島はたいそう巨大なので、多少座標がズレていても上陸はできますよ」
メタルスライムのピオナが、ボクの肩に乗ってそう教えてくれた。ちなみに、ピオナの本体は村でお留守番だ。このツタのコントロールをしてくれている。
「見えてきました」
雲がバッと晴れると、大陸が見えてきた。




