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ウッドゴーレムに転生しました。世界樹と直結して、荒れ地を緑あふれる大地に変えていきます  作者: 椎名 富比路
第四章 クレキシュ大渓谷と、魔王の元配下アルラウネ

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第45話 アルラウネ

 バラの魔物の巨大モンスターは、自らをアルラウネと名乗った。 


「魔王様復活のために、トレントの命を吸っていたのよ! 邪魔をしないでくれる?」


 アルラウネは魔王のために、自分の肉体を捧げていたらしい。トレントを食って、自分に取り込もうとしていたという。


 こいつが、トレントを弱らせていたのか。


 アイアンゴーレムが、アルラウネに照準を合わせる。

 

「忌々しいスライム共ね。もう一度、支配してやるわ!」


 アルラウネが目を光らせた。


 しかし、ゴーレムたちになんの変化もない。雷撃を放出する。


「痛い痛いいぃ! 支配権が、ソイツに変わったのね?」


 どうやら、アルラウネがこのスライムたちを操っていたようだ。

 

 トレントの近くにいた個体だけが、支配を逃れていたのだろう。


 そういえば、スライムはどこだろう?


「あのスライムは……ここにいたのか」


 スライムは、トレントの上に乗っていた。ピョンとはねて、ボクの頭に乗っかる。なにか、伝えたいことでもあるのかな?


「……ああーっ。なるほどねえ」


 スライムの思考が、ボクにわかるように映像化された。


 なるほど。そういうことがあったのか。


「どうしたの、コーキ?」


「この施設は、潰されて当然だったんだ」


「言っている意味が、よくわからないんだけど」


「世界樹やスライムは、ここで育ったんじゃない。この施設に連れてこられたんだ」


 ここは、悪い奴らの基地だったのだ。


「コーキ、話の筋が見えないよ?」

 

「本人に直接、聞いたほうがいいかな。スライムに触ってあげて。テレパシーで伝わるから」


 パロンやクコが、スライムに触れた。


 この施設は、大昔の宗教組織が、天候を世界樹にコントロールさせるために建てたものだった。幽閉されて、天気をコントロールさせられ続けていたのだ。スライムと一緒に。


 団体は天気を操ることによって、人々を導いていたらしい。作物だけではなく、魔法に変わるエネルギーも作り出していたとか。


 スライムは反乱を起こして、天気を狂わせて教団を全滅させた。


 だが、共倒れに終わる。宗教団体は全滅したが、管理する人たちもいなくなってしまった。地下水でどうにか生命を保っていたが、それも何万年とは続かなかったのである。とうとう、世界樹は干上がってしまう。


「うわあ、ひどい組織だったんだね」


 パロンが、憤った。


「まあ、壊滅したのも自業自得だよね」


 この雨も、今まで支配し続けていた天候が荒れに荒れた結果だという。


 ボクたちを襲ったのも、「水分を狙っている」と思ったからなんだって。


 世界樹はその後、わずかな水分を頼りに生きていた。


 しかし、今度は魔王に狙われることに。


 魔王は滅びたけど、魔王の配下であるアルラウネと、ずっと戦ってきたらしい。


 いよいよ水も枯れそうになったときに、ボクが水を大量に溜め込んでやってきたと。

 

「そこのアンタ! スライムがいうことを聞かなくなったのは、アンタのせいね?」


 アルラウネが。ボクを指さした。


「見たところシャーマンのようだけど、アタシの目はごまかせない。これは僥倖だわ。世界樹がもう一本、現れてくれるなんて! 魔王様もきっとお喜びになるわよ!」


 どうもアルラウネの興味が、ボクに向けられている。


「魔王のエサになるつもりは、ありませんっ」

 

「でも、アタシのエサにはなってくれたわ。アンタのおかげで、アタシは全盛期……いや、それ以上の力を得たのよ! これでもう、ダムに残っていたわずかな水をトレントと奪い合わなくて済むわ!」


 それまでアルラウネは、ほとんど小さい花同然で、ずっと生きてきたらしい。


 小さいながらもあれだけの嵐を起こして、王都を孤立させていたわけか。


「それは、トレントだって同じでしょう」


 ボクはトレントを助けるために、水を提供したんだ。


 魔王の手先なんかを、助けるためじゃない。

 

「アンタの意見なんて、聞いてない! これからはアタシが、魔王様の遺志をついで世界を征服してくれる!」


 トゲだらけのツタを伸ばし、アルラウネがボクを縛り上げようとした。


 トレントが身代わりになって、バラのツタを引き受ける。

 

 うわ、まさに怪獣大戦争だ。


「威勢がいいわね。だけど、アンタの命もこれまでよ!」


 アルラウネが、トレントをダムの壁に叩きつける。


 バラのツタを引きちぎって、トレントがアルラウネの横っ面を殴り飛ばす。


「ごはあ!」


 アルラウネが、ダムの壁を破壊しながら吹っ飛んだ。


「この美しい顔に、傷を! 許さなぁい!」


 今度はアルラウネが、大量のトゲを放つ。


 トレントのガードした腕にも、トゲが突き刺さった。


「コーキよ、このままではトレント殿が負けてしまうぞい」

 

「よし。ボクがパワーを送るよ」


 ボクは、トレントの肩に乗った。ツタを伸ばして、神経や血管のようにトレントの体内へ隅々まで行き渡らせる。


「ボクが水を送り込むから、吸っていいよ」


 ツタや根を介して、ボクはため池の水をトレントに送り込み続けた。

 

 世界樹はどんどんと大きくなり、ダムより大きくなっていく。


 ドームはすっかり、水の中に沈んだ。


 ダムに水を溜めるどころではなく、鉄の壁を壊して外へ溢れ出した。それこそ滝のように。


「ま、待ちなさいよ」


 あまりに巨大化していくトレントに対して、アルラウネが恐れおののいている。

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