第36話:ダニエルと獅子の穴。〜バビロンで自分の信念を貫く方法〜
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
前回、南ユダ王国が滅亡し、人々は鎖に繋がれて大帝国バビロニアへと連行されてしまいました。
さて、連れて行かれたのは農民や職人だけではありません。王族や貴族のイケメンで頭の良い若者たちも、バビロニアの「エリート養成教育」を受けさせるためにピックアップされたんです。
その中の一人が、今回の主人公、ダニエルくんです。
それでは、第36話「ダニエルと獅子の穴。」いってみましょう。
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「王様のメシは食えません」
バビロニアの王様、ネブカドネザルは「ユダの若者をバビロニア風に染め上げて、俺に仕えさせよう」と考えました。彼らには最高の教育と、王様が食べる豪華な食事が与えられました。
ところがダニエルくんと3人の仲間たちは、こう言ったんです。
「王様の食事には、神様が禁止しているものや、よその神様に捧げられたものが含まれています。だから、僕たちは野菜と水だけでいいです」
お世話係は真っ青です。「そんなもん食って、お前らの顔色が悪くなったら俺が王様に殺されるんだよ!」
そこでダニエルくんは提案しました。「10日間だけ試してください」。
結果、肉と酒を飲み食いしている他の若者たちより、野菜と水だけの彼らの方が、肌はツヤツヤ、頭はキレキレになっていたんです。
「自分たちのアイデンティティは、環境ではなく心が決める」。ダニエルくんたちは、最初のテストを見事にクリアしました。
火の燃える炉と、見知らぬ「4人目」
ダニエルくんの仲間たちにも、命がけの試練が訪れます。
王様が「巨大な黄金の像」を作り、「これにひれ伏さない奴は火の燃える炉に投げ込むぞ!」と命令しました。
3人の仲間(シャデラク、メシャク、アベド・ネゴ)は、断固として拒否しました。
「王様、僕たちが信じる神様は、僕たちを火の中から救い出せます。たとえ救われなかったとしても、あなたの像は拝みません」
これにブチギレた王様は、炉の温度をいつもの7倍に上げさせ、彼らを投げ込みました。あまりの熱さに、彼らを投げ込んだ兵士が焼け死ぬほどでした。
ところが、炉の中を覗いた王様は腰を抜かしました。
「おい、投げ込んだのは3人だろ? なぜか縄が解けて4人で散歩してるぞ! しかも4人目は、神の使いのような姿をしている!」
彼らが炉から出てくると、服も焼けておらず、焦げた臭いすらしていませんでした。
ライオンの檻と、静かな祈り
そして、ダニエルくん最大のピンチが訪れます。
時代はバビロニアからペルシア帝国へと変わっていましたが、ダニエルくんは相変わらず有能で、王様に信頼されていました。それを妬んだ同僚たちが、罠を仕掛けます。
「今日から30日間、王様以外の誰かに祈った奴は、ライオンの穴に投げ込みましょう」という法律を作らせたんです。
ダニエルくんは、これが自分を狙った罠だと知っていました。でも、彼は逃げませんでした。いつものようにエルサレムの方を向き、窓を開けて、一日に三回、堂々と祈り続けました。
捕まったダニエルくんは、腹ペコのライオンがうごめく穴に投げ込まれます。
翌朝、王様が心配して穴を覗くと……。
「王様、おはようございます。神様がライオンの口を塞いでくれたので、僕は無傷ですよ」
ダニエルくんは、ライオンをモフモフしながら(?)ケロッとしていたんです。
補正の結末:異国の地で咲いた「不屈の魂」
ダニエルくんたちの物語は、捕虜として連れて行かれたユダの人々に、強烈な勇気を与えました。
「国がなくても、神殿がなくても、私たちが祈るのをやめない限り、神様は私たちと共にいてくださるんだ」。
彼らが異国の宮廷でトップに上り詰め、知恵を振るったのは、単に「要領が良かった」からではありません。どんなに周りが変わっても、自分の芯にある「一番大切なもの」を決して譲らなかったからです。
さて。
ダニエルくんたちがバビロンで奮闘している頃、故郷エルサレムは依然として廃墟のままでした。
でも、神様がエレミヤを通じて約束した「70年」が、刻一刻と近づいていました。
ついに、捕らわれていた人々が故郷へ帰る、「奇跡の帰還」の時がやってきます。
次回、第37話。
「エルサレムへ帰ろう!〜ゼロからの再建と、涙の神殿〜」
お楽しみに。……次は、何十年も離れていた故郷に戻り、瓦礫の中から再び国を立ち上げようとする、熱いおっさんたちの再建物語です。




