第33話:ヒゼキヤ王の奇跡。〜一晩で18万5千人が消える〜
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
前回、北イスラエル王国が最強帝国アッスリアに飲み込まれ、歴史から姿を消してしまいました。
さて、残された南ユダ王国にも、当然アッスリアの魔の手が伸びてきます。
次にターゲットにされたのは、聖なる都エルサレム。
囲んだのは、北を滅ぼしたのと同じ、地平線を埋め尽くすようなアッスリアの大軍勢です。
それでは、第33話「ヒゼキヤ王の奇跡。」いってみましょう。
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最強のパワハラ外交
アッスリアの王様は、エルサレムを包囲すると、部下を送って凄まじい「口撃」を仕掛けてきました。
「おい、ユダの連中! ヒゼキヤ王の言うことなんて信じるなよ。『神様が助けてくれる』だって? 笑わせるな。北の神様も、周辺の国の神様も、俺たちの前には無力だった。お前たちの神様だけが特別だとでも思うのか?」
この挑発は、わざと現地の言葉(ヘブライ語)で行われました。壁の上で聞いている一般市民を不安にさせ、内側から崩壊させるためです。
実際、市民も兵士も震え上がりました。だって、相手はそれまで負け知らずの、残酷で最強な軍団ですから。
王様の「泣き落とし」と預言者イザヤ
これを聞いたヒゼキヤ王、パニックになって自分の服を引き裂いて泣きました。
でも、彼はサウル王のように勝手な行動はしませんでしたし、北の王のように二股外交もしませんでした。
彼はアッスリアからの脅迫状を持って、神殿に駆け込み、それを神様の前に広げて祈りました。
「神様、見てください! あいつら、あなたを馬鹿にしてますよ! 確かにアッスリアは強いです。でも、彼らが倒してきたのは人間が作ったただの木や石の像です。あなたが本物の神様であることを、どうか今こそ示してください!」
そこに、ベテラン預言者のイザヤくんからメッセージが届きます。
「王様、安心してください。神様はこう言っています。『アッスリアはこの都に一筋の矢も放たせない。彼らは来た道を引き返すことになるだろう』」
静かすぎる朝
その夜、エルサレムの街は死んだような静けさに包まれていました。
壁の外には、アッスリア兵が松明を焚き、明日にも総攻撃を仕掛けようと手ぐすね引いています。
ところが、翌朝、エルサレムの兵士が恐る恐る壁の外を覗き込むと……。
そこには、物音ひとつしない光景が広がっていました。
18万5千人のアッスリア兵が、全員、息絶えていたんです。
一晩のうちに、神様の使いが敵陣を打ち、戦わずして最強の軍団が消滅してしまいました。
アッスリアの王様は命からがら自分の国へ逃げ帰りましたが、のちに自分の息子たちに暗殺されてしまいます。
エルサレムは、一筋の矢も放たれることなく、ただ「祈り」と「信頼」によって守られたんです。
補正の結末:奇跡のあとの「ちょっとした慢心」
神様への信頼が国を救う。これほど素晴らしい証明はありません。
でも、人間は救われたあとに、なぜか少しだけ自分が偉くなったような気持ちになってしまうんですよね。
病気から奇跡的に回復したヒゼキヤ王のもとに、遠くの「バビロニア」という新興国からお見舞いの使者がやってきました。
ヒゼキヤ王は嬉しくなって、つい自慢したくなっちゃったんですね。
「見てくれ、わが国の宝物庫はこんなにすごいんだぞ!」と、国の財産を全部見せてしまいました。
それを見たイザヤくんは、冷ややかに予言します。
「王様、あなたが今日見せたものは、いつかすべてバビロニアに持ち去られる日が来ますよ。あなたの子供たちも連れ去られるでしょう」
さて。
アッスリアの危機は去りましたが、ヒゼキヤ王が「自慢」してしまったバビロニアが、やがて南ユダ王国にとっての最大の脅威となります。
次回、第34話。
「ヨシヤ王の宗教改革。〜埃をかぶった聖書を見つける〜」
お楽しみに。……次は、ボロボロになった神殿を掃除していたら、とんでもない「忘れ物」を見つけてしまった王様のお話です。




