第23話:初代国王サウル、背が高すぎて選ばれる。〜見た目は満点、中身は……〜
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
「王様が欲しい!」と駄駄をこねた民のために、ついに神様が用意した初代国王サウルくん。
今回は、彼がどれほど輝かしく登場し、そしてなぜ自滅していったのか、その経緯をたっぷりとお話しします。
それでは、第23話「初代国王サウル、背が高すぎて選ばれる。」本編いってみましょう。
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圧倒的なルックスと、消えたロバ
サウルくんは、ベニヤミン族という小さな一族の出身でしたが、とにかく目立っていました。
ある日、彼はお父さんの逃げ出したロバを探して、召使いと一緒にあちこちを歩き回っていました。数日間探し回っても見つからず、「お父さんがロバより僕たちのことを心配しちゃうよ」と諦めかけたとき、召使いに勧められて、近くに住んでいた預言者サムエルさんに相談しに行きます。
実はこれ、神様による壮大な「仕込み」でした。
サムエルさんは神様から「明日、一人の男が来るから、そいつを王として任命しろ」と予言されていたんです。
現れたサウルくんを見たサムエルさんは確信しました。
誰よりも背が高く、肩から上が飛び出しているほどの超長身。そして気品のある顔立ち。
「この男だ!」
サムエルさんはサウルを食事に招き、頭に油を注いで「あなたがイスラエルの王です」と告げました。サウルくんは「えっ、僕なんかが? うちの一族は一番小さいし……」と、この時はまだ、ものすごく謙虚で純粋な若者だったんです。
荷物の陰に隠れた国王
いよいよ、全イスラエルの民の前で王様をお披露目する日が来ました。
くじ引きで「王を選ぶ」というパフォーマンスが行われ、案の定、サウルくんが選ばれます。ところが、いざ名前を呼ばれても本人がどこにもいません。
みんなで必死に探すと、なんと彼はあまりのプレッシャーと恥ずかしさで、山積みにされた荷物の陰に隠れて震えていました。
この「隠れていた」というのが、彼の本質をよく表しています。
背は誰よりも高いのに、心は誰よりも繊細で、人の目を極端に怖がっていたんです。
でも、引っ張り出された彼が民の前に立つと、その圧倒的な見た目にみんな熱狂しました。「王様万歳!」の大合唱です。
さらに、最初の戦争で見事な逆転勝利を収めると、批判していた人たちすら「サウル様こそ真の王だ!」と手のひらを返しました。サウルくんのスタートは、まさに完璧だったんです。
7日目の焦りと、切れた信頼の糸
王座に座って数年。サウルくんを最初の、そして最大の試練が襲います。
強敵ペリシテ軍が、戦車3万、騎兵6千という絶望的な大軍で攻めてきました。対するイスラエル軍は怯えきって、洞窟や岩場に隠れる始末。サウルくんのもとに残った兵士たちも、ガタガタと震えています。
ここで神様との約束がありました。「開戦前の儀式は、預言者サムエルが来るまで待て。彼は7日後に来る」
サウルくんは待ちました。1日、2日……。でも、一向にサムエルさんは現れません。
7日目の期限が来ても、サムエルさんの影は見えず、部下たちは一人、また一人と逃げ出していきます。
「もうダメだ! このままじゃ儀式をする前に敵に襲われるし、部下もいなくなる!」
パニックになったサウルくんは、ついに禁じ手を使います。祭司にしか許されていない儀式を、自分が王としての権限で勝手に行ってしまったんです。
「形だけでも整えて、神様のバックアップをもらえば、みんなも安心するはずだ」
それは神様への信頼ではなく、ただ「人の目」をなだめるためのパフォーマンスでした。
儀式が終わった直後、まるで計ったようなタイミングでサムエルさんが現れます。
「あなたは何ということをしたんですか!」
問い詰められたサウルくんは、苦しい言い訳を並べました。
「いや、あなたが来ないし、民は離れていくし、敵はすぐそこだし……仕方なかったんです」
この時、神様はサウルくんを見限りました。
「あなたは神様の言葉を捨てた。だから、神様もあなたを王座から捨てた。神様は、自分の心にかなう別の人間をすでに選んでいる」
補正の結末:光を失った巨人の孤独
王としての地位は守りましたが、内側は空っぽになりました。
「いつか自分は取って代わられる」
その恐怖がサウルくんを蝕み、かつて荷物の陰に隠れていた謙虚な若者は、次第に疑い深く、荒々しい性格へと変わっていきました。
神様が共にいてくださるという確信を失った巨人は、ただ暗い広間を一人でうろつく孤独な存在になってしまったんです。
そんな彼の心を癒やすために、竪琴を持って呼ばれたのが、一人の羊飼いの少年、ダビデくんでした。
さて。
神様に「心にかなう人」として選ばれた少年ダビデ。
彼は、サウルくんがどれほど重装備で戦っても勝てなかった巨人を前にして、とんでもない方法で立ち向かいます。
次回、第24話。
「ダビデ、石つぶてで巨人を倒す。〜見た目最強への下克上〜」
お楽しみに。……次は、鎧も剣も持たない少年が、たった一つの石で歴史を動かす、伝説のジャイアント・キリングのお話です。




