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つむぎ訳・旧約聖書 神様と人類のやらかし記録  作者: 五平


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21/40

第21話:エリコの城壁、叫んだだけで崩れる。〜戦わずに勝つ不思議な作戦〜

えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。


前回、40年という果てしない「心のリハビリ」を経て、ついに世代交代を果たしたイスラエルの民。偉大なリーダー・モーセさんは亡くなりましたが、その意志は若きリーダー、ヨシュアくんに引き継がれました。


彼らがヨルダン川を渡り、約束の地に入って最初にぶつかったのが、超巨大な城塞都市「エリコ」です。

ここは当時、難攻不落と言われた鉄壁の守りを誇る町。荒野上がりの若者たちが正面から挑んでも、返り討ちにあうのは目に見えていました。

そこで神様が授けたのは、人類の戦術史を根底からひっくり返すような、あまりにも奇妙な作戦だったんです。


それでは、第21話「エリコの城壁、叫んだだけで崩れる。」いってみましょう。


---


ただ黙って、町の周りを歩け


神様がヨシュアくんに告げた作戦は、次のようなものでした。

「すべての兵士は、町の周りを1日1回まわりなさい。それを6日間続けなさい。その間、一言も喋ってはならないよ」


……え、それだけ? って思いますよね。

武器を構えるわけでも、ハシゴをかけるわけでもなく、ただ黙々と、巨大な城壁の周りを行列を作って歩くんです。

エリコの城の上にいる敵兵たちは、それを見て「あいつら、何やってんだ……? 暑さで頭がやられたのか?」と笑っていたかもしれません。


でも、これこそが神様の狙いでした。

自分たちの力や知恵で戦うのではなく、「神様の言葉を信じて、淡々と従う」。

40年の荒野生活で、彼らが毎朝のマナや、数々の失敗から学んできたことの、いわば「卒業試験」が始まったわけです。


7日目の朝、沈黙が破られる


そして運命の7日目。

この日は、なんと町の周りを「7回」まわることになっていました。

足の裏は痛いし、喉もカラカラ。それでも民たちは、神様との約束を守って一言も発さず、ただ砂埃を上げて歩き続けます。

「本当にこんなことで壁が壊れるの?」という疑いに打ち勝ち、沈黙を守り通す。それ自体が、彼らにとっての戦いでした。


そして7周目が終わった瞬間。

祭司たちが一斉に角笛を吹き鳴らし、ヨシュアくんが叫びました。

「叫べ! 神様がこの町をあなたがたに与えられた!」


その合図とともに、民全員が地響きのような大歓声を上げました。

すると、どうでしょう。

人の力ではびくともしないはずのエリコの巨大な壁が、神様の合図と民の叫びに合わせて、まるでその役目を終えたかのように、内側からボロボロと崩れ落ちたんです。


「信頼」が壁を打ち砕く


地震が起きたわけでも、大砲を撃ったわけでもありません。

神様を信頼する人々の「声」が、目に見える巨大な壁を文字通り消し去ってしまった。

エリコの町の人々は、自分たちが誇りにしていた壁が目の前で崩壊するのを見て、戦う意欲を完全に失ってしまいました。


こうしてイスラエルの民は、自分たちの剣の力ではなく、神様の力によって、約束の地における最初の勝利を手に入れたんです。

「目に見える強固な壁」よりも、「目に見えない神様との約束」の方がはるかに強い。それを、彼らは身をもって証明しました。


補正の結末:自由と慢心の落とし穴


圧倒的な勝利で幕を開けた、約束の地での新生活。

けれど、勝利のあとには、すぐに慢心が忍び寄ります。

約束の地に入ったからといって、人間の「やらかし癖」が消えたわけではありませんでした。


神様という絶対的なリーダーがいれば勝てる。でも、その神様を忘れて自分勝手に振る舞い始めたとき、彼らはまた、どん底に突き落とされることになります。


さて。

ついに土地を手に入れたイスラエルの民ですが、ここから先、彼らは「王様のいない自由すぎる時代」に突入します。


次回、第22話。

「士師記、みんな自由すぎて何回もやらかし。〜負のループが止まらない〜」


お楽しみに。……次は、勝っては忘れ、負けては泣きつく、反省の色が見えない民たちの「無限ループ」のお話です。

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