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つむぎ訳・旧約聖書 神様と人類のやらかし記録  作者: 五平


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20/40

第20話:荒野で40年、文句と奇跡の長期旅。〜なぜ最短ルートで行けないのか〜

えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。


前回、黄金の子牛を拝むという大やらかしをして、神様との契約を危うく粉々にしそうになったイスラエルの民。モーセさんの必死の仲裁でなんとか絶滅は免れ、新しい石板をもらって再出発することになりました。


目的地である「約束の地」カナンまでは、地図で見ればすぐそこ。普通に歩けば、数週間から数ヶ月もあればたどり着ける距離です。

……なのに、彼らはそこからなんと「40年」も荒野をさまようことになります。

これ、今の感覚で言ったら、東京から大阪に行くのに一生かかっているようなもの。一体なぜ、そんなことになったんでしょうか。


それでは、第20話「荒野で40年、文句と奇跡の長期旅。」いってみましょう。


---


「やっぱり戻りたい」という心の鎖


エジプトを出たイスラエルの民の体は、もう自由でした。でも、彼らの「心」は、まだエジプトの奴隷だった頃の習慣に強く縛られたままでした。

ちょっと水が足りなくなれば「モーセ! 喉が渇いて死ぬ! エジプトにはナイル川があったのに!」

ちょっと食べ物のメニューが同じだと「マナばっかりで飽きた! エジプトには肉も玉ねぎもニンニクもあったのに!」


自由っていうのは、自分の足で立ち、何があっても自分の責任で進むということです。

でも、彼らは困難にぶつかるたびに「誰かに管理されて、ご飯だけは保証されていた奴隷時代」を美化して、後ろを振り向いてしまう。

神様からすれば、「そんな奴隷根性のまま約束の地に入っても、すぐにまた誰かの支配下に下るだけだ」と、その心の脆さを心配していたわけです。


12人のスパイと、分かれた視点


ついに目的地のすぐ近くまでたどり着いた時、モーセさんは12人の偵察隊スパイを送り込みました。

戻ってきた彼らの報告は、真っ二つに割れます。

2人の偵察隊ヨシュアとカレブは「あそこは素晴らしい土地だ! 神様がついているから大丈夫!」と希望を語りました。しかし、残りの10人は真っ青な顔でこう言いました。

「あそこに住んでいる奴らは巨人だ! 俺たちは彼らから見れば、ただの『イナゴ』みたいなもんだ。絶対に勝てない。エジプトに帰ろう!」


同じ景色を見ても、信頼している人には「行ける場所」に見え、不安に支配された人には「絶対に無理な場所」に見えてしまうんです。

結局、民はまたパニックになり、「殺されるために連れてこられたのか!」と泣き叫びました。神様の数々の奇跡を目の当たりにしてきたはずなのに、最後の最後で、神様よりも「目の前の恐怖」を信じてしまったんですね。


補正の結末:世代交代という名の「やり直し」


これには、ついに神様の堪忍袋の緒が切れました。

「わかった。お前たちがそんなに怖がって『エジプトの方が良かった』と言うなら、その通りにしてやろう。今この場にいる大人の世代は、一人も約束の地には入れない。お前たちがこの荒野で寿命を迎えるまで、40年間ここで過ごしなさい」


残酷に聞こえるかもしれません。でもこれは、神様による究極の「世代交代」でした。

奴隷の記憶を持ち、すぐに後ろを振り返る大人たちが去り、荒野で神様の奇跡だけを見て育った「新しい世代」が自立するのを待つための40年。

奴隷だった体はエジプトを出ましたが、奴隷だった心を荒野で完全に作り替えるために、この膨大な時間が必要だったんです。


旅の終わりと、新しいリーダー


そして40年後。

かつて泣き叫んでいた大人たちは皆去り、荒野で鍛え上げられた強靭な若者たちが残りました。

ずっと民を導いてきたモーセさん自身も、途中で民の不満に耐えきれず、神様への信頼を示しきれなかった出来事があり、旅の重さを背負ってその地に入ることは許されませんでした。彼は約束の地を遠くから見つめ、静かにその生涯を閉じます。


バトンは、次のリーダー、若きジョシュア(ヨシュア)くんに引き継がれます。

いよいよ、伝説の旅は最終局面。目の前には、巨大な城壁を持つ町「エリコ」が立ちはだかっていました。


次回、第21話。

「エリコの城壁、叫んだだけで崩れる。〜戦わずに勝つ不思議な作戦〜」


お楽しみに。……次は、重装備の敵に対して「みんなで大声を出す」という、前代未聞の戦術で挑むお話です。

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