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つむぎ訳・旧約聖書 神様と人類のやらかし記録  作者: 五平


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第17話:空からパンが降ってくる。〜マナとウズラの奇跡〜

えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。


前回、モーセさんが杖を掲げて紅海を真っ二つに割り、追ってくるエジプト軍を退けて、イスラエルの民はついに奇跡の脱出を成し遂げました。

「やったー! 自由だ! これからはパラダイスだぜ!」

……なんて盛り上がっていたのも束の間。彼らの前に広がっていたのは、見渡す限りの乾いた荒野でした。


自由を手に入れた瞬間に彼らを襲ったのは、空腹と喉の渇きという、あまりにも生々しい現実です。

マナは、毎朝届く信頼の練習だった。

それでは、第17話「空からパンが降ってくる。」いってみましょう。


---


「エジプトの方がマシだった」という禁句


エジプトを出てから一ヶ月。持ってきた食糧は底をつき、お腹はペコペコ。

すると、ついさっきまで神様の奇跡に感動して歌っていた民たちが、手のひらを返したようにモーセさんに詰め寄ります。


「おいモーセ! 俺たちをこの荒野で餓死させるつもりか! エジプトにいた頃は、鍋の横に座って、パンをお腹いっぱい食べられたのに。奴隷だったけど、あっちの方がまだマシだったよ!」


これ、モーセさんからしたら一番ショックな言葉ですよね。命がけで助け出したのに、「前のブラック企業の方が飯は出た」って言われてるようなものですから。

でも、人間ってお腹が空きすぎると、過去の辛い記憶を書き換えて、食べ物があった思い出だけを美化しちゃうんです。彼らの心は、まだ「誰かに管理され、与えられるのを待つだけの奴隷」のままだったんですね。


朝には露、夕には鳥


モーセさんが困り果てて神様に相談すると、神様はこう答えました。

「いいだろう。私は天から、あなたがたのためにパンを降らせよう。夕暮れには肉を食べ、朝にはパンで満たされるようにする」


するとその日の夕方。どこからともなく、大量の「ウズラ」の群れが飛んできて、キャンプ地を埋め尽くしました。民は久しぶりの肉料理にありつきます。


そして翌朝。霧が晴れた後の地面を見ると、霜のような、小さくて白い、薄い鱗のようなものが一面に落ちていました。

民はそれを見て、口々にこう言いました。

「マナ?(これは何だ?)」


これが、有名な「マナ」という食べ物の名前の由来です。

食べてみると、蜜を入れたおせんべいのような、ほんのり甘い味がしました。


「今日という日」を信じる練習


神様はこの不思議な食べ物「マナ」を配るにあたって、一つだけルールを決めました。

「毎日、その日の分だけを拾いなさい。明日の分まで溜め込んではいけないよ」


でも、不安な人たちはつい、明日の分までこっそり隠して溜め込んじゃうんです。すると不思議なことに、翌朝にはそのマナに虫がわいて、ひどい臭いがして食べられなくなっていました。


これ、神様が民に「毎日、ちゃんと食べ物を与えてくれる私を信じなさい」という練習をさせているんです。

「将来が不安だから溜め込む」のではなく、「今日、必要なものは与えられている」という安心感。

この長い荒野の時間は、決して無駄な足止めではありませんでした。エジプトの奴隷根性を捨て、神様を信頼しながら、自分たちの足で歩く「新しい民」へと生まれ変わるための、大切なリハビリ期間だったんです。


補正の結末:40年の長いお弁当


この不思議なパン「マナ」は、それからなんと40年間、彼らが目的地に着くまで毎日降り続けたと言われています。

毎日、毎日、同じメニュー。

文句を言いながらも、彼らはこの「天からの配給」によって、荒野という過酷な環境を生き延びていきました。


空腹は満たされました。でも、次に彼らを待っていたのは、自分たちがどう生きるべきかという「道しるべ」の欠如です。

自由になったはいいけれど、何が正しくて、何がいけないのか。


神様はモーセさんを、険しい山の頂上へと呼び出します。

そこで、神様と民との暮らしを支える、超重要な「十戒」が手渡されることになります。


次回、第18話。

「モーセ、山にこもって石板をもらってくる。〜十戒〜」


お楽しみに。……次は、カミナリが鳴り響く山の上で、神様が直筆で刻んだ「生き方のルール」のお話です。

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