表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つむぎ訳・旧約聖書 神様と人類のやらかし記録  作者: 五平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/40

第16話:紅海、真っ二つに割れる。〜自由への一本道〜

えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。


前回、エジプト中の長男の命が失われるという、あまりにも重い「第10の災い」を経て、イスラエルの民はようやく奴隷生活から解放されました。

430年ぶりの自由。背中には荷物を、腕には子供を抱え、彼らは夜明け前のエジプトを堂々と脱出したわけですが……。


本当の試練は、ここからでした。

目の前には巨大な海、後ろには怒り狂う最強軍団。

海は、過去と未来を分ける境界線だった。

それでは、第16話「紅海、真っ二つに割れる。」いってみましょう。


---


絶体絶命の行き止まり


エジプトを出たイスラエルの民でしたが、すぐに絶望的な状況に追い込まれます。

目の前に現れたのは、深く、冷たい「紅海」という海。そして後ろからは、一度は行かせたものの、すぐに後悔した王様が、最強の戦車600台と軍勢を率いて猛スピードで迫ってきました。


民はパニックになります。

「おいモーセ! エジプトには墓がないから、俺たちをここで死なせるために連れてきたのか!? 奴隷のままの方がまだマシだったよ!」

さっきまで自由を喜んでいた人たちが、恐怖で一瞬にして「奴隷の心」に戻ってしまいました。


でも、モーセさんは動じませんでした。

「恐れてはいけません。じっとして、今日、神様があなたがたを救うために行われることを見なさい」


杖を上げろ、海を裂け


その時、神様がモーセさんに言いました。

「なぜ、私に向かって叫ぶのか。人々に『出発せよ』と言いなさい。お前は杖を高く上げ、手を海の上に差し伸べて、海を分けなさい」


モーセさんが、あの羊飼いの杖を海に向かって高く掲げました。

その瞬間。

一晩中、激しい東風が吹き荒れ、なんと海が真っ二つに割れたんです。

右と左に、巨大な「水の壁」ができあがり、その間には乾いた道が現れました。


それは、単なる逃げ道ではありません。戻るための道でもありません。

かつて奴隷だった民が、二度と過去に縛られない自由へと進むために開かれた、たった一人の「一本道」でした。

大勢の民が、息を呑みながら、その海の底にできた道を歩いて渡り始めました。


追撃の終焉と、本当の決別


イスラエルの民が全員渡り切ろうとする頃、後ろから追ってきたエジプト軍も、その「海の道」に突っ込んできました。

「あいつらが渡れるなら、俺たちも渡れるはずだ!」


ところが、民が向こう岸にたどり着いた時、神様がモーセさんに再び言いました。

「手を海の上に差し伸べなさい。水が元に戻るように」


モーセさんが手を伸ばすと、天高くそびえ立っていた水の壁が、一気に崩れ落ちました。最強を誇ったエジプトの軍勢は、逃げる間もなく巨大な渦の中に飲み込まれていきました。

さっきまで自分たちを縛り付けていた「また奴隷に戻されるかもしれない」という過去の恐怖が、物理的にも精神的にも、跡形もなく消え去った瞬間です。


補正の結末:海を渡り、新しい自分たちへ


海を渡りきり、静かになった対岸に立ったとき、民は初めて自分たちが「本当に自由になった」ことを実感しました。モーセさんのお姉さん、ミリアムたちは楽器を手に取り、踊り、神様を讃える歌を歌いました。


この「海を渡る」という出来事は、彼らにとって、古い奴隷としての自分たちを洗い流し、新しい「一つの民」として歩み出すための、大きな境界線になったわけです。


さて。

こうして最強の敵を振り切った彼らですが、自由の先にあるのは、見渡す限りの「荒野」でした。

飲み水はない。食べ物もない。

自由の喜びは、すぐにお腹の空き具合にかき消されてしまいます。


次回、第17話。

「空からパンが降ってくる。〜マナとウズラの奇跡〜」


お楽しみに。……次は、毎朝地面に落ちている謎の食べ物と、文句ばかり言う民をなだめるモーセさんの苦労話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ