第15話:エジプト、10の災いで崩壊寸前。
えー、みなさんこんにちは。春日部つむぎです。
前回、80歳の羊飼いだったモーセさんは、神様から「エジプトの奴隷を救い出せ」という無茶振りを受け、お兄さんのアロンさんと一緒に王様の前に立ちました。
でも、交渉は一瞬で決裂。「そんな神様は知らない!」と突っぱねた王様は、逆に奴隷たちの仕事をさらに過酷にしました。
言葉での説得は、もう通じない。
ここからは、エジプトという国そのものを揺るがす、神様による圧倒的な実力行使が始まります。
災いは、エジプトの誇りを一つずつ折っていった。
それでは、第15話「エジプト、10の災いで崩壊寸前。」いってみましょう。
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自然の恵みが、牙を剥く
神様がエジプトに対して行ったのは、彼らが「豊かさの象徴」として信じていた自然界を、根底からひっくり返すことでした。
1. 血のナイル川:命の源である川が真っ赤な血に変わり、魚は全滅し、悪臭が漂って水は飲めなくなりました。
2. カエル、ブヨ、アブの異常発生:川からカエルが無限に湧き出し、王様の寝室まで埋め尽くします。さらに虫の大群が人間も家畜も襲い、平穏を奪いました。
3. 疫病と腫物:エジプト人の家畜がバタバタと倒れ、人々の体にはひどい腫れ物ができて、誰もが痛みで動けなくなりました。
4. 火の混じった雹とイナゴ:空から氷と火が同時に降り注ぎ、奇跡的に生き残った農作物を、今度はイナゴの群れがすべて食い尽くしました。
これ、面白いのは、イスラエルの民が住んでいるエリアだけは、いつも「無傷」だったことです。エジプト中が暗闇に包まれても、彼らの家には光がある。「神様が誰の味方か」が、残酷なほどはっきりと示されたわけです。
王様一人の意地が、国を壊していく
これだけ国がボロボロになっても、王様は首を縦に振りません。
災いが来ると「わかった、止めてくれ! 行かせてやるから!」と言うのですが、神様が災いを止めてあげると、すぐに「……やっぱり無しだ」と前言を撤回します。
王様一人のプライドが、国全体を巻き込んでいく。
本当は、途中で止まれる瞬間は何度もありました。でも彼は、そのたびに「負けを認めるくらいなら、もう少し耐える」を選んでしまう。その強情さが、エジプトの川を、畑を、家畜を、そして人々の生活を、少しずつ、でも確実に壊していったんです。
第10の災いと、過ぎ越しの夜
そしてついに、最後にして最も恐ろしい災いが予告されます。
「エジプト中の、すべての家の長男(最初の子)の命を奪う」
これは、エジプトの未来そのものを奪う宣告です。でも、神様はイスラエルの民にだけ、救われるための印を教えました。
「子羊の血を、家の門の柱に塗りなさい。私がエジプトを撃つとき、その血の印がある家だけは、災いが過ぎ越していく」
これが、今も大切にされている「過ぎ越しの祭り」の始まりです。
その夜、エジプト中の家から、大切な子供を失った親たちの泣き叫ぶ声が上がりました。しかし、血の印があったイスラエルの家だけは、静かな夜に守られていました。
補正の結末:夜明け前の、本当の旅立ち
ついに、王様の心も折れました。
深夜にモーセを呼び出し、「今すぐ、ここから出て行け! 何もかも持って、私の前から消え失せろ!」と叫びます。
エジプトの人々も「早く行ってくれ、そうしないとみんな死んでしまう!」と、自分たちの金銀や宝物を手渡してまで、彼らを追い出すようにして送り出しました。
430年間にわたる、長い長い奴隷生活。
何世代もの間、朝から晩まで命令される側だった人たちが、初めて自分の意思で歩き出しました。
背中には荷物。腕には子ども。手には急いで焼いたパン。
泣き声と怒号が響くエジプトの夜を、イスラエルの民は、もう奴隷としてではなく、「旅立つ民」として通り抜けていったんです。
でも、これで終わりではありません。一度は行かせたものの、すぐに後悔した王様は、最強の戦車軍団を率いて背後から追いかけてきます。
目の前には、深い海。
後ろには、怒り狂うエジプト軍。
絶体絶命のピンチで、モーセさんは再びあの杖を掲げることになります。
次回、第16話。
「紅海、真っ二つに割れる。〜自由への一本道〜」
お楽しみに。……次は、海が壁になり、道ができる。旧約聖書最大のスペクタクルシーンのお話です。




