ロズウェル事件
「ハヤト、俺たちのタイムディスクが確実について来ているか確認を続けてくれ」
俺がそう言った瞬間
「所属不明のタイムディスクを発見! これより警告を行う」
耳が痛いほどの警報音を発しながら、感情のないAIの声が響いた。
「こちらヒューマン社! そちらの所属と機体認証番号を!」
警報音は止むことはなく、淡々と通信を続けるが……当然、あちらは無人の機体なので、返事が帰ってくるはずがない。
ミエコは必死で、この警告を解除しようとしている。俺たちも、それらしい機器をOFFにしてみるが、警報音は止む気配はない。
何度目の警告だっただろうか、それは突然のことだった。
「所属ディスクからの反応なし 敵機と判断し 攻撃開始!」
一瞬、辺りが明るくなったと思ったその瞬間、大きな爆発音と共にタイムディスクが大きく揺れ、目の前にあった俺たちのタイムディスクは煙と共に農場へと落ちていった。
「えっ」
落ちていくタイムディスクを目で追うことしかできなかった。
どれぐらいの時間が経ったのだろうか。警報音が止まっていた事にさえ気づかなかった。
4人は無言で1km四方に飛び散った残骸を眺めていたが、農場の管理棟と思われる小屋を電気が付くのが見え、住人と思われるパジャマ姿の夫婦がライフル片手に玄関から出てくる。
「やばい! こちらを見ている! しかもライフルを構えている! 離れろ!」
必死に叫んだ。
俺たちは任務先でタイムディスクが目撃されてしまうことはある程度想定している。その為にタイムディスクの形は、過去の人間が未確認飛行物体UFOとして信仰していた円盤型になっている。しかし、暗黙のルールとして長時間の目撃は避けている。
「緊急発進!」
我に帰ったミエコは操縦桿を力いっぱい引いた。
タイムディスクは、時空と超えないギリギリの速度でロズウェルを離れ、北西の方向へ進んでいった。目的地のジャマイカとは反対方向だったが、このスピードなら地球を一周して目的地へ行っても数秒なので、あえてこのまま飛び続けた。
ブルー山脈の麓には、C46の残骸が廃棄してあったが、乗組員は遺体すら見当たらない状況だった。
俺たちは、急いで2118年に戻り、ヒューマン社のタイムディスクに乗ったまま、タイムキープ社に戻り、見てきた事や起こった事の全てを本部に話した。




