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キャッスルガード・ヒーローズ  作者: 栗原寛樹
第八次侵攻 あるいは謎解きの逢瀬
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トシヒコの事情

風が涼しい。


 サンダマスヴェリア城の城壁は高く、平原を吹き抜ける風が気持ちいい。広がる景色も合わせて、オルトノグェイク砦とは別の意味で絶景だ。


 ジンジャーゼルは美しい。


 綺麗、では表現しきれないほどに。


 まるで……まるで、デジタルとは思えない程の現実感を持っている。


「あ。あれ、ジュリアさん達じゃない」


 横のエイタローが、こちらに向かってくる小隊を指さした。


 僕にもわかる。衣装は替わってるけど、金髪で長身のナイト系プレイヤーっていったら、まずジュリアさんだ。よこに変な服のトシヒコもいるし。


 サクラさん達がブラガワームの死骸のところでログアウトした後、僕らはそのまま海岸線をつたって城に戻ってきた。基本的に……海岸にはこれといって目立ったところも無く、多少心配していた東海岸は、ほとんど素通りできた。たまにモンスターに絡まれたくらいだ。


 ちょうど到着して、一休みしているところ。


 ジュリアさん達に報告しなきゃいけないことが多いけど、戻ってきたのを見ればわかるとおり、不在だった。目的はもちろん転職である。


 思えば、ジュリアさんが城を離れて東域まで足を運んだのはかなりの出来事であると言える。本軍の軍団長という立場とは別に……いや、その立場を選んだのは、今だログアウトしたままの友人が戻ってくるまで城を死守するためだ。だから必要以上にジュリアさんは城を離れないし、ローテーションでログアウトしている時以外は必ず防衛戦に参加している。これまで合計七回のうち、二回しか参加していない僕からしてみれば大規模戦闘のベテランだ。


 そのジュリアさんも、転職が可能であるならすべきである。戦力のアップという以上に、プレイヤーの頭が初期職というのはどうにも格好がつかない。今はローテーションログアウトしているノリアキングも、戻ってきたらすぐにでも転職に赴くだろう。まあ、ノリアキングに限っては責務よりも興味の方が大きいだろうけど。


「お疲れ様です。もう少し速く戻ってお待ちするつもりが遅れてしまいました」


 出迎えた僕らにジュリアさんは頭を下げた。たぶん500人の中で一番律儀な人だ。だからこそ友人のことで思い詰めてしまうこともある。


「僕らもついたばかりで一息ついていたところです。一休みして、夕方くらいにお時間もらってもいいですか」

「いえ」


 ジュリアさんは笑顔を収めて、


「よければすぐにでも」






 地下三階。


 軍団長の部屋に行くと思ったら、ジュリアさんが向かったのは図書館、を通り過ぎた、例のボス部屋だった。


 ユージンのブライトの明かりのなか、人数分の椅子を引っ張り出して座る。といっても、こっちは僕とユージン、イイリコさん。あっちはジュリアさんとトシヒコ、ユリアというドラゴンライダーの六人。


 ここに入ったのは、ルシェイナさんと初めて会った時以来だ。


「ここはあまり人がいませんからね。内緒話にはよいでしょう」


 口を開くジュリアさん。内緒話、ねえ。


 僕はとりあえず、メッセージですでに送っている事項を繰り返した。男爵のこと、エイリルのこと、アールター神殿のこと、ペンダントドラゴンのこと、北東にある天まで伸びる塔のこと。霧の街のこと、海賊のアジトのこと。


 封じられていたロダンのこと。


「……今のところ、ロダンに会った……つまり、通常の分かれ道では無く『地下に』到達したのは、ジェストさんとエイタローさんのお二人だけです。伺っていた隠し階段は中からしか開かないようでした」


 それは初耳だった。ロダンは僕らに対して「いつでも来ていい」というようなことを言っている。最初のトラップの発動条件が不明だから、あの隠し階段から行けると踏んでいたんだけど。


 ただのリップサービスだろうか。


「エイリルにも寄ってきました」


 ジュリアさんはインベントリからエメラルドリングを取り出す。ミウル達とある程度意思疎通を図ってきたことだろう……それはすなわち、ジュリアさんが『愛の隘路』を誰かとペアで通ったということでもある。


 僕とトシヒコの目が合った。そいつの指に、やっぱりエメラルドリング。


 半年以上経っている。ジュリア小隊はその間一度もメンバーが替わっていないしトシヒコはジュリアさんに惚れている節があった。


 まさかな。いや、仲が進んでいても驚かないけど。


「それで……すでに伺っていますが、夕闇男爵について、もう少し詳細をお願いします」


 僕はダークミストランタンを取り出して、


「男爵はかなりイメージと違っていました。ナンパ男です。実際、勝負に負けたらイイリコさんをよこせって言い出しましたし」


 まあ、それはイイリコさんにも一分の責任があるわけで、僕は基本的にとばっちりだ。ただ男爵の協力を得ようとするなら似たようなことをする必要はあっただろう。向こうから言い出した分、結果的に交渉の手間が省けたといえる。


 それから転職、ブラガワームを共同戦線で倒し、別れる。そして僕らはブラガワームの中を――。


「質問をよろしいでしょうか」


 ほらきた。来ると思った。


 ジュリアさんならここを見逃すわけがないと思っていた。


「陽炎さんが閉所恐怖症で、マトノさんがホラー嫌い。それにも関わらずワームの体内を通ることを強硬したのは何故でしょう。ジェストさんの行動で不可解な点がここです」


 一応、建前の答えは用意してある。


「ジュリアさんの小隊にもドラゴンライダーがいる、となればわかると思うんですけど、ペンダントドラゴンが出ない高度から見ても、森の端はわかる。ワームの体内を通らず、より近いと思われるルート……森を北上して抜けることが可能ではなかったか。もしくは南に抜けて、回り込むことはできなかったか。そういう質問でいいですね」

「その通りです」


 ここだ。森を抜けるにあたって、無理にワームの体内を通る必要は無い。確かに初期職の場合、空から見渡すことができなかった。森の端がどこかというのは山の位置関係上、オルトノグェイクからも見えなかったから、どこまで続くかわからない森を通るよりワームの体内を通った方が確実である、という考えに至るのは自然だ。


 だけどドラゴンライダーがいて、森の端がわかるのなら。


「理由は一つ。湿地帯が無限ループだったからです」


 僕が用意していた答えはこうだ。


「東に抜けるためには湿地を通る必要がありますが、そこは無限ループしていて条件を満たさないと抜けられない。では何故そんな仕掛けが、ルートが無限とも言えるワールドマップ上に存在しているのか。答えはもちろん、そこでなければ抜けられないからです」


 トシヒコの「なんだそれ」という視線を感じる。


「早い話、僕は森を北に、もしくは南に抜けようとした場合、やっぱりループするんじゃ無いかと考えていました。ループでなくとも、にたような面倒くさい条件を満たす必要があるのではないか。でなければ湿地がループしていて、ブラガワームというボスを倒す必要がなくなるからです。もちろん通常であればそっちを模索したと思います。ダンジョンにミスマッチな人材が二人もいますから。でも今回は時間が惜しかった」


 だから、もっとも確実と思われるワームの体内を通った。一旦オルトノグェイクに引き返し回り込む時間もなかった。


 急いでいたのは本当だ。


「それだけでしょうか」


 それなりにこねくり回した理論だ。納得とまではいかない。なんとなく「理由があるのか」と思ってもらえれば十分だった。


 だけどジュリアさんの質問はそれ以上だった。今の説明の『他に』なにか無いのか、彼女はそう尋ねてくる。


 鋭い人だと思う。でもこれはちょっと言えない。


「そうです」


 いうなら男爵本人に、だ。


 ジュリアさんは目を閉じて、しばらく考えているように見えた。


「――ジェストさん達がブラガワームを倒したことで」


 話題が変わる。目を開けたジュリアさんは、部屋の奥の石版に目を向けて、


「討伐したボスは三体。ガランスギュエック、ベスラム、ブラガワーム。それにすでに判明しているウルフキングを加えて四体。残りは一三」


 石版の最下部にいる四体は、それぞれモンスターを簡略化したような絵だ。最下部ってことは、倒している順番は運営の想像通りなんだろう。ブラガワームはもうちょっと遅いと踏んでいたに違いないけど、とにかくその上の段のボスよりは速いと見込んでいたはずだ。


 その倒したボスのところが光を放っていた。


「倒したところが光る、というのは少し違和感があります。逆ならまだ納得しやすいでしょう」

「ひかりみちて、というメッセージの通りかも知れません」


 ジュリアさんの話では、ベスラムの例からいって、おそらく襲撃に現れるボスが七体。それぞれ各地域を占領した際に現れるはず。ということはつまり、世界各地に散っているボスは残りの十体。そのうち三体はすでに判明しているから――。


「均等に割り振れば、各地域に一体ずつ、と考えられました。ですが」


 降って湧いた「天上世界」「地下世界」の話。特に地下の方は、夕闇男爵がボスらしきなにかとすでにあっているという情報がある。それを考えると、ボスはもっとまばらなのか。


 それともこの石版にはあくまで地上のボスしか描かれていないのか……


 ……


 ……


 ん?


「ジェストさん。これを見て、気づくことがあると思います」


 あれ。


 なんかおかしい。


 おかしいぞ。


 僕は目をこすって、石版に近づいた。


 絵に焦点を合わせると、そのボスの名前が浮かぶ。一つずつ確認していく。


 上から順番に、魔王バルガス、長女ジェヌルーダ、長男アプスレウス、次男……






 次男、ロダン。





「ロ……ロダン?」

「ジェストさんから名前を伺った時、覚えのある名前だと思いました。定かではなく、こんな上位のボスにこのタイミングで会うとは思っていなかったので……こちらも気づくのが遅れました」


 まさか……おいおい。


 アールター神殿の地下に封印されていたロダン。


 魔王の息子だったのかよ。


 ボスかよ。







 ショックではない、と言えば嘘になる。


 ただのNPCだとは思ってなかった。


 だけどボスだとも思ってなかった。なにせかなり友好的な態度を僕らに見せていたのだ。もし敵対しているならあの場でデスされていたはずだ。


 いや……いや、待て。


 あいつの話を思い出せ。ロダンはかなり長い間封じられていた。アールター神殿がミウルの建造物であるからには、あいつはミウルに封じられたんだ。


 魔王と敵対しているミウルによって、遙か昔に。


 僕がうっすら思っていたのはそれか。もしかしたら敵対しうる、と。なぜならあいつは人類ではないし、人類は『侵略者』だといった。だから将来的になんらかの形で敵対する可能性はあったんだ。


 だけどこんな直接的な形で反対陣営にいるとは。


 もし僕が出発前にボスを総ざらいしていたら、あそこを無事に乗りきることができただろうか。


 いつでもジュリアさんに連絡して確認が取れる、という状況が幸か不幸か、確認を怠らせた。おかげで今になって驚愕の事実判明だ。


「つまり、すでにありかが判明しているボスは五体」


 すでに三分の一近くがわかっていることになる。


 もしかして僕ら、思った以上に進んで……いや、そうじゃないことを確認したばっかりだ。それにロダンが魔王の息子なら、すぐに倒せるような敵じゃない。あそこは戦闘するには狭すぎるし。戦うのはもっと後のはずだ。


 だから判明しているだけ。実質ボスは四体だけであることにかわりはない。


「それも含め、東域の攻略は年明けにしようと思います。年越しはおそらく、みなさん休息がほしいでしょうから」


 常に魔物に脅かされているジンジャーゼルで年越しイベントがあるとは考えにくいけど、とにかく年末年始は休みたがるのが人情だ。ゲームの中で休みをとる、ってのも変な話だけど。


 僕もそんなところだと予想していた。


「ノリアキングさん達がログインするのはこちらの時間で二月頃です」


 あと三ヶ月先である計算。


「次の防衛戦を特殊条件達成で乗りきれば、一月の襲撃はありません。その間に南西域の探索を進めたいと思っています」


 なるほど。ノリアキング達、つまりローテーションログアウトの最後の組が戻ってくるまでは大規模戦闘を起こすのは避けたい。といってただ待つのもアレだ。なら未開拓の地域を減らすのは有意義なことだと思う。


 そのメンバーは……


「遊撃軍団にお願いしようと」


 これも予想がつく。僕としても特に異論はない。人の噂も七十五日。すでに七十五日は過ぎているけど、僕が視界に入らなければより確実に嫌悪派の勢力は小さくなる、と思われる。もうほとんど気にならないレベルだ。問題の根源であるラメはノリアキングと一緒にログアウト中だし。


 それ以上に、探索したいという欲求が強い。むしろ他のプレイヤーが志願しない理由がよくわからないくらいだ。


「志願小隊が四隊あります」


 僕の心を読んだように、ジュリアさんが言った。


「防衛戦後に連絡が行くと思います。判断は任せるので、お願いします」

「わかりました」

「それでは……防衛戦は三日後ですね。それまではお休みください」

「最後に」


 立とうとしたジュリアさんを呼び止めて、


「ランタンはどうしますか」

「ノリアキングさんがログインしたらすぐに会うでしょうし、ジェストさんが取り戻したものです。ジェストさんからお渡しください」

「わかりました。もう一点」


 これは、必ず確認しておかないと行けない。


「僕が男爵を追いかけるように提案したのはノリアキングですか」


 ジュリアさんは質問の意味を考えるように僕を見て、


「ええ、そうです」







「おい、おいジェスト」


 中庭に出ると同時に、後ろからトシヒコが走ってくる。懐かしい顔だ。いや、前にジュリアさんと会った時にもいた気がするけど。


「その服、なに? 二次職の衣装?」


 だよな。むしろジュリアさんがなにも言わなかったのが多少驚きだ。


 だけどそれならこっちだっていいたい。その変なローブはなんだと。


 『宇宙をイメージしました』と全身で表現しているって言えば凄くわかりやすいと思う。黒から紺色のグラデーションに星みたいな点描が散らばっている。左胸にちょうど太陽見たいな恒星が描かれているのがちょっと悪趣味。


「ヴァンパイアの衣装だよ。そっちは」

「ヴァンパイア! そんなんあんのか、いいなぁ、かっこいいじゃねーの」


 本気か?


「……いや、そうじゃなくて」


 自分でツッコミを入れるトシヒコ。意味がわからん。


「そっちはスキーマーじゃないのか」

「ああ、うん、スキーマー、確かいるんだろ? だからってわけでもないけど、コスモリーダー」


 うん?


「コスモリーダー?」


 トシヒコは大げさに頷いて、


「宇宙ってロマンだろ……じゃないって、だから。ちょっと相談乗ってくれよ」

「相談……って、僕が?」


 いやいやいや。


「いいじゃねーか。俺だって乗ってやっただろ。なんかお前が泣いてた時」


 バカやめろ、イイリコさん達が興味津々でのぞき込んでくるだろ。


「嫌ってわけじゃなくて……僕が役に立つとは思えないけど」

「だってお前、今いるプレイヤーの中でジュリアさんと仲いいほうだろ」


 なんでジュリアさんが出てくるんだ。







「あのさ、俺、ジュリアさんの役に立ちたいわけよ」


 再び城壁の上で、僕とトシヒコの二人。


こいつ最初は引きこもり組だったのに、えらく明るくなったな。たぶんあのときはタクティシャンのステータスの低さとモンスターへのおびえが重なっていただけで、本来はこっちなんだろう。


「せっかく、その、俺の居場所を作ってくれた人だし」

「役に立つって、もしかしてジュリアさんの親友のこと?」


 なんとなしに言ってみたらものすごい表情で詰め寄ってきた。


「な、な、な、まだなんも言ってねえのになんでわかんだよ!」

「いやだって、トシヒコ……ちょ、ちょっと離れろ」


 押しのけて襟を正す。この服装、ちょっと緩むと不快感凄いんだぞ。


「ジュリアさんがトシヒコに攻略面でなにか期待してるとは思えないし、いやごめん、タクティシャンとしての働きは十分やってると思うし、それ以上は求めないだろ。本軍は城を守るのが仕事で、タクティシャンはそれにマッチしてるんだから」

「それで?」

「だから、それ以外でジュリアさんが困ってるのってログアウトしたままの友達のことくらいしかなさそうだったから。他のことは知らんし」

「お前、意外と気を利かせるのな」


 お前は結構失礼だよ。


「まあ、合ってるよそれで。知らないと思うけど、ジュリアさん、毎日城を見てまわってんだ。それが友達がログインしてるかどうか確認してるってのに気づくのにかなり時間がかかった」


 ジュリアさんがいつも憂いを帯びているような表情なのも、たぶんそれが原因だろう。


「だから、どうにかして俺が連れ戻してやりたいんだ。あのさ、ジュリアさんが悲しいと、俺も嫌なんだよね」


 なんかこの言い方だと、まんざら下心だけってわけでもないらしい。でも肝心な所からは目をそらしているというか、


「それが出来たとして、そっちの小隊、もう六人いるだろ」

「……」

「……」

「あ」


 気づいてなかったのかよ。


「お、お、俺、ぬ……抜けてもいいよ」


 ホントかよ。すごい未練たっぷりだぞ。


「いやまあ、今小隊にいるのだって俺がダダこねたからだし……もしジュリアさんがいなかったら、俺もログアウトしてたかもしれないし……恩を返したいっていうか」


 気持ちはわかる。


 でも実際問題、トシヒコがどうにかできる問題だとは思えない。トシヒコの社交性とかそういうのを抜きに、トシヒコはおそらく、ログアウトしているジュリアさんの友人と面識がない。その相手を説得するってのがまず不可能に近い。特に最も親しいといえるジュリアさんの説得にも応じなかった相手だ。


 それに僕が手を貸す、というのもかなり厳しい。トシヒコと同じ理由なのもあるし、僕らが説得というか行動を起こした結果、逆効果になる可能性だって大いにある。


 その責任を持てるかと言われたら、持てない。


 イイリコさんの時は僕は当事者だった。今は違う。それを考えると、あのときトシヒコはよくアドバイスじみたことができたと思う。そういう意味じゃ、今ジュリアさんの問題をどうにかしようとしているトシヒコはかなり勇気があると思う。


 怖くないのか?


 自分のせいで事態がややこしくなって、その結果ジュリアさんから嫌われる可能性もある。現状はトシヒコにとって最悪なわけじゃない。どうしてもジュリアさんの友人を戻さないと、これからのゲームプレイに支障が出てしまうわけでもない。なにせ目的のジュリアさんは、ずっとゲームの中にいるんだから。


 というようなことを遠回しに伝えてみた。


「いやさ、確かにジュリアさんは綺麗だし、頭もいいしリーダーシップもあって、いいなあって思うよ」


 だけど、とトシヒコは首を振って、


「笑ってほしいだろ、そういう人には」


 ちょっとクサい。


 クサいけど、僕は少しトシヒコが羨ましかった。

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