33話 俺はチートとDTを天秤などに掛けたくなかった
(´・ω・`)この前、『更新を待っている作品』にコレの名前があって嬉しさ半分冷や汗半分ですた。
ちなみに俺はDTだ!(謎の告白)
朝に読んでいる方はおはようございます、昼の方はこんにちは、夜の方はこんばんは。
最近では益々若者の異世界流出が密かに問題になりつつありますが、皆さんも現世離れなどにはご注意ください。
特に最近では数が増えた所為で審査が厳しく、簡単に異世界へ飛ばせなくなって来ているので、こちらも仕事が増えて大変……
とまあ、無駄話も済んだ所で本日の転生業務を始めます。
さて、それでは本日の転生者の方なんですが……
「うおーー!! うがーー!! ああ゛~~!!」
どうしましょう。
さっきからずっとあんな感じで、奇声を発しながら地面を転がっているんですが……死ぬ時にどこかバグったんでしょうか?
「あの~、大丈夫ですか?」
「ヌア゛ァーー! アガーー! グオーー!!」
あ、ダメですね。
こっちの声が全然届いていないみたいです。
……ここは伝統に則った秘技を使うとしましょう。
「秘伝・斜め45度の角度チョップ!」
「へみぎゃっ!?」
壊れたテレビもこれで直るという奥義を、お婆ちゃんに教わって置いてよかったです。
おっと、勢いを付けすぎてちょっとめり込んじゃいました。
まあ、ちょっとぐらいならモーマンターイ。
「ハッ!? 俺は一体何を……」
「はい、ようこそ小林進さん。私は貴方たちの言う所の神という存在……」
「ああ!! なんで俺はあの時、あの本をちゃんとしまわずに出て行ってしまったんだ~!!」
あらら、また元に戻っちゃいました。
仕方ありません、このまま会話を試みるとしましょう。
「えーっと、貴方はどうしてそんなにのた打ち回っているんですか? 死んだ事は天命なので後悔してもしかたな……」
「外付けHDDの中身とか! 部屋の各所に隠したアレな本とか! 見られたら色々と気まずい物を残したまま死んだのが不安で仕方ないんだよ!」
「ああ、そんな事ですか。それだったらとっくに見られて……いえ、何でもありません」
「見られて!? 今、とっくに見られてって言ったよね!?」
いえいえ、気のせいですよ~。
アレな本を出しっぱなしのまま出かけてしまったので部屋を掃除しに来たお母様には見られていませんし、個性的なお母様が全部綺麗にタイトル順で机の上に並べてなんかいませんよ。
実はお父様が隠れて借りに来てたなんて事実もありませんしね!
「それにしてもエッチな本を5万冊ってちょっと持ち過ぎじゃありませんか? 一部はデータ化して友人にレンタルとか、ちょっとマジ過ぎて引きます」
「仕方ないじゃん! 友達の兄ちゃんが自分の引っ越し祝いとか言って持ってけない分を貰ったりしてたら、そんなになっちゃったんだよ!」
だからって友人の伝手で隠しやすい家具を買い求めますか? 普通。
わざわざ工業系の学校に通っている友人の兄に頼んで、カラクリ満載の棚やベッドを作って貰っていたのはやり過ぎだと思います。
「というか、そんな理由で地面をのた打ち回っていたんですか?」
「いや、他にも童貞のままじゃ死ねないとか、一度でいいから母親以外の若い女体を生で見てみたかったとか色々です」
随分と死に際の後悔がシモの方に片寄ってますね……
というか、何ですかその期待した眼差しは。
彼の変な視線に思わず顔を背けると、突然彼はその場に座り込んで地面に額を付け始めた。
「神様! どうかこの前途ある内に死んでしまった自分に最後の願いを聞いてください!」
「それでは、貴方にはこれから2つの選択肢があります」
「どうか!!」
ええい、鬱陶しいですね。
その最後の願いとやらも透けて見えてますよ!
仮にも私は神ですからね、容姿だってそれなりなのは理解していますよ?
でも、ここまであからさまなのは居ませんでしたよ。
というか、普通はここへ来るとそういう欲は無くなる筈なんですけど、彼はどんだけ溜まってるんですか。 知りたくもないですが。
ここで反応すると危険な気がするので、取り合わずに進めてしまいましょう。
「一つはこのまま、真っ新な状態で新たな生命に生まれ変わる事。そしてもう一つは今の記憶を持った状態で別の世界へ行く事です。後者を選んだ際には、異世界で生きて行く為の物を一つだけ差し上げますよ」
「じゃあ、貴女をください!」
「残念ですが私は物ではないので無理です」
何でも過去にそれをやらかした人がいたようなので、先手を打って拒否できるようにして置いて正解でした。
ただでさえコスト削減で分体を作るのにも制限が掛かっているのに、ここで余計な仕事を増やしたくありません。
「それでは、今の状態で別の世界へ行くという事で構いませんね?」
「おう! 異世界で奴隷とか女騎士とか囲って、ハーレム作って思う存分イチャイチャしたらぁ!」
気が早いですねぇ。
まだどんな世界かも説明していないし、行った先の世界が奴隷制すらあるか分からないのに……まあ、あるんですけどね。
「それでは説明させて頂きます。まず、貴方がこれから行く世界は冒険者制があり、魔法が存在していて、ドラゴンなどのモンスターが生息する所謂ファンタジーな世界と考えてください」
「おお、そこはお約束ですね! マンガとかで見たのと一緒だ!」
そりゃあ、神がそれらの類に影響されてこういうシステムを作ったんですから、そうなるしょうね。
昔から魔王などが発生する世界はあるにはあったんですが、それらは全て天災扱い。
人の手ではどうしようなく世界の滅びを待つか、対抗する英傑を生まれさせてそれで勝てれば儲けもの程度の認識だったんですが、この転生システムが出来てからは大分崩壊する世界が減ったんですよね。
まあ、新しい世界を作るためのコストの何分の一かで世界の崩壊を止められるなら安い物ですよ。
「まあ、その話は横に置いておいて、今から貴方に差し上げる物はこれで決めます」
そう言って私はある物を取り寄せました。
それを見た瞬間、彼の表情が微妙な物になりましたけど。
「では、張り切ってどうぞ」
「いや、これってガチャガチャじゃないか」
「いえ、これはカプセル自動販売機です。『ガチャガチャ』や『ガチャポン』や『ガチャ玉』といった名称は地域や時代、または販売メーカーによって呼び方が違うので、統一した名前としては『カプセルトイ』というのが正式だそうですよ。それにしても最近は200円や300円の物ばかりが多くて、百円玉を握り締めてメタルコレクションとかを回していた時代が懐かしいです」
「えーっと、よくわからないけどこれを回すと何が出て来るの?」
「はい。その中には所謂、伝説の武器的な物からチート能力と呼ばれる様な物まで様々な物が納められています。レベルは最低では頑張ればそこそこやっていける物から、俺TUEEEレベルの反則級まで色々取り揃えております。何が出るかは回してのお楽しみという事で」
「え、それって所謂ガチャって奴なんじゃあ……」
ええ、ですからガチャですよ?
よくソーシャルゲームとかで有名な奴ですよね。
“リセマラ”なんて知った時は、背筋が凍りましたよ。 何ですか『億までは無課金』って……闇が深すぎるでしょう。
「とにかく、貴方のその手に握られた1コインで未来を切り開きなさい」
「カッコよく言ってるけど、単に100円入れてレバー回すだけなんだよなぁ。お、なんか出た」
ブツブツ文句言いながらも回すんですね。
ちなみにカプセルは不正が出来ないように番号が振られた紙だけが入っていて、外から分からないように黒一色の物を使用しています。
さて、彼は一体何を当てたのやら……ええっと、この番号は……
「おお、中々強力な能力が当りましたよ」
「マジ!? どんな能力なんだ?」
「貴方が童貞で居る限り、天地創造すら可能な最強な力が手に入ります」
「……ぱーどぅん?」
「つまり貴方が清い体であり続ける限り、貴方は世界最強の存在です。まあ、そうでなくなった瞬間ただの人になってしまう訳ですが」
「意味ないじゃん! 異世界でチートしてハーレム作って女の子とイチャイチャしたいのに、手が出せないってどんな苦行だよ!」
凄いですね!
数あるチート能力の中でも最高に近い能力ですよ。例えるならSレアあたりです。
え? 天地創造が可能なのに最高じゃないのかって?
だって、童貞卒業したら失われるなんて高リスクな能力が最高な筈がないでしょう。
「ねえ、待って! やり直し、やり直させて!」
「残念ですが、これは一発勝負。待ったなしの真剣勝負なんです」
「童貞卒業したら能力が消えるって、異世界に行く意味ないでしょうが!! 子孫も残せねぇじゃねぇか!」
「あ、ちなみに能力で作った物も、童貞じゃなくなった瞬間に消えてしまいますので注意してください」
「リスクがデカ過ぎる!? 俺の童貞にどんだけのリスクが掛かってるんだよ!」
「まあ、×××を×××に××しなければ……おっと、花も恥じらう乙女から有るまじき言葉使いをしてしまいました」
「もっと前から恥じらえよ!?」
しつこいですね~。
ヤルなとは言ってないんですから、能力の事なんて気にせずヤレばいいじゃないですか。
頑張れ異世界はーれむぅ。(棒読み)
では一通り済んだ事ですし、そろそろ転生を開始しますか。
「さぁ、それでは異世界へと行って貰いましょうかね!」
「ウェイウェイウェイ! 何その100tとか書かれた無駄にデッカイハンマー! なんか懐かしいなおい!」
「やだな~、これでぶん殴って貴方を異世界に送るに決まってるじゃないですか。最近オチがワンパターンかな?って思って、ちょっと趣向を変えてみました」
「やだー! 痛いの通り越して死ぬー!」
「もう死んでるから大丈夫ですよ~問答無用っ!!」
「ぶべらっ!?」
彼が消えゆく意識の中最後に見たのは、笑顔で送る女神の笑顔だったとさ……まる!
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。




