32話 三つ子の魂は来世でも
(´・ω・`)フハーッハッハッハッ、冬の寒さに(略)
2周年に間に合わせて、今日から4日まで毎日更新します!
……ダラダラしていたら今日になってしまったのは内緒です。
初めての方は初めまして、そうでもない方はお久しぶりです!
数ヶ月に渡るお休みを経て、心身ともにパワーアップしたかもしれない私は転生神でございます!
このお話は最近流行りの神様による異世界転生の神様サイドの話を、時折番外編を挟みながら一話形式でお送りしています。
さて、今更な説明も終えた所で本日の転生者の方は……え、ホントにこの人? えぇ……
……どーも、テンション駄々下がりの転生神です。
いや、私にだってね? それなりの準備的な物があったんですよ?
やんちゃな人だったらテキトーな能力で異世界に放り投げようとか、逆にやる気がない人だったら尻を叩く意味も込めてチート盛り沢山で神の加護とか付けて丁重に送りだしてあげようとかね!
だったんですけど……だったんですけどね~。
えーっと、それでは本日の転生者は岩清水源三郎さんでーす。
「ふぅ、ここは……そうか、ここが死後の世界という奴なのかな? でも賽の河原でもなさそうだし、閻魔様にはどこへ行けば出会えるのだろう?」
えー現在、私は非常に気まずい思いをしております……
本当にあの人にいつもの台詞を吐かなければいけないんでしょうか?
はぁ、ここで愚図っていてもどうしようもないんで行って参ります……
私はヤケクソになって、こういう場面では必要が無いほど神様オーラ全開で彼の前に降臨しました。
「ようこそ神の間へ、わたしは転生神。貴方は本日04時36分に亡くなりました」
「おお、神とは髭面の厳つい男だと勝手に想像していたけど、実際はこんなにも可愛らしい御嬢さんだったか」
うーん、この反応。
普通は神様オーラを全開にしていると魂レベルで恐怖というか畏怖というかそんな感覚を覚えるんですけど、何か思いっきり目を細めてニコニコしていらっしゃいます。
や、やり辛い……
「うむ、しかしやはり自分は死んだのか。まあ、ある程度の覚悟はしていたが、いざそう言われるとやはり何か寂しい物があるなぁ」
「死は等しく、誰にでも訪れます。それが遅いか速いかの違いでしかありません。あの世へ向かうにしろ別の選択をするにしても、そう思うのもほんの一瞬の事ですよ」
「なるほど、神さまから聞くと説得力が違うなぁ」
何やら納得したように頷いていらっしゃいます。
とても、やり辛い!
すると彼は何かを思い出す様に目を細めて語り出した。
「思い返せば忙しない人生だった……18で戦争に駆り出され、戦場ではこの世の地獄のような思いをして、必死の思いで帰って来て見れば家も親も兄弟も友人も何もかも失い、それでも何もなくなった日本の為に我武者羅に働いて、自分にはもったいない嫁さん貰って子宝にも恵まれて曾孫まで抱いて、引退してからは好きな事やらせて貰ったなぁ……これで不満があるって言ったら罰が当たる」
「……そ、そうですね」
……言い出し辛い!!
マニュアルとはいえ「実はこちらの手違いで死んでしまったんですよ」なんて言い出し辛過ぎる!!
何とね~この方はですね~96歳なんですよ……
え、本当にこの人なんですか? 十の桁の数を間違えてません? 16歳とかじゃなくて96歳?
なんでこの人が転生対象に入ってるんですか!
しかし、ここでこうしていても彼の転生先は既に決まってしまっているので早く話を進めないといけません……ああ、胃が痛い。
「じ、実はですね……大変に言い辛い話なのですが、予定では貴方が死亡するのはもう少し先になる筈だったのです」
「なんと、それではなぜ自分は死んでしまったのですか?」
「不注意……としか言いようがありません。何せ我々は世界中の生命の生き死にを管理してるので極稀にこういう事故が起こってしまうのです」
「そ、そうなのですか……まあ、自分は既にヨボヨボの爺でしたからな。数年程度の誤差など気にしてなどおりませんよ」
ああ、そんな痛々しい笑顔を私に向けないでください。
それって思いっきり気にしているパターンじゃないですか!
それに神の方で生命の生き死になんて管理していないんですゴメンナサイ、地球だけでも0が十も二十も付きそうな数の生命が存在するのに、神の方でそれら全てを管理なんてしていられる訳ないです。
我々に出来るのはちょこっと天候とか運命とか弄るだけが精一杯なんですゴメンナサイ。
ちなみに彼が先ほど言っていた閻魔様も、ちゃんと仏教方面の担当で頑張っていますよ。
ただちょっと違うのは“閻魔”というのは職業であり、強面なトップの下には様々な閻魔様がいるって事ですね。
特にトップの方は最近、お酒の量が増えて運動不足なのでメタボと高血圧に悩んでいるそうですよ。
「しかし、こちらの不注意で死亡させたのに何もしないというのは申し訳が立ちません。なので貴方にはある特典を差し上げます」
「いやはや、神様にそう言われると恐れ多いですが、その特典とはいったいどういう物なのでしょうか?」
「貴方を今までとは全く違う世界へと、経験と記憶をそのままに転生させます。そこで貴方は第二の人生を自由に謳歌して頂いて構いません。但しその世界は今までいた世界とはだいぶ違う場所ですので、危険もそれなりに付き纏う事にはなります」
すると、源三郎さんは軽く眉を寄せた。
まあ、いきなりそう言われても戸惑うでしょうしね。
「う~ん、第二の人生ですか……ちなみに自分は天国へは行けないのですか?」
「残念ですが……今回の場合は既に転生先があるので、天国とは転生するまでの待合所のような物ですから貴方は行く必要が無いのです」
「う~む、天国で72人の乙女を相手にするのも興味深かったんだがなぁ」
「あ、アレは一部の宗教家が信者を獲得する為に言ったものです! 確かに今ではそういう概念が生まれてしまっていますが、それは人を惑わす類の物であって天国へ行った者への褒美のような物は存在しません!」
「なんと、では酒池肉林もないのか!?」
「お酒が湧く泉はありますが、肉がなる林なんて物はありませんよ。天国とは綺麗な風景の広がる穏やかな場所であり、現世の欲望からは完全に切り離された場所なのです」
「はぁ、聞いて極楽とはよく言ったものなんですなぁ」
いや、地獄ってほど酷い場所ではありませんよ?
ただちょっとだだっ広い花畑とかあって、やる事が日向ぼっこぐらいしかないとっても良い所ですよ!
私は行って10分もしない内に帰ってきましたけどね。
「なるほど、よくわかりました。しかし、こう言っては何ですが……転生という事は赤ん坊なんですよね?」
「そうですが、安心してください。流石に今から赤ん坊をやり直すのは辛いでしょうから、一時的に記憶を封印して置き、5歳くらいになった頃に取り戻すように調整しておきます」
「そうですか。いや、赤ん坊になって若い娘の乳を吸ったり、催したおしめを変えて貰うのも悪くはないとは思ったが、流石にドロドロした食事はもう懲り懲りでしてな」
ああ、そういう意味ですか……
というか、96歳にもなって発想が若いですね。
「ハッハッハッ、男はいくつになっても現役なんですよ」
「まあ、元気なのはいい事なので構いませんよ。特に向こうは貴方に分かり易く言うと江戸時代辺りの文化レベルなので性産業はユルユルですし、雇用対策として奴隷制もありますからお好きにどうぞ」
「い、いや……そういうのは決まった相手とゴニョゴニョ……」
思春期真っ盛りか!
貴方いくつですか、もう還暦だって過ぎてるじゃないですか。
ちょっと何赤くなって指なんかツンツンしてるんですか。
「というかさっき、72人の乙女がどうのとか言ってませんでしたっけ?」
「はっはっはっ、最近物忘れが激しくて困りますなぁ」
ここに来た時点でそんな物ねぇよ!
……ハッ、すみません取り乱しました。
「ゴホンッ! それでは、以上を持ちまして説明は終わりです。何かご質問等はございますか?」
「あ~、別の世界と言っていたが、言葉などは大丈夫なのかのう?」
「ええ、5歳までの記憶にプラスする形なので、目覚めた当初は多少混乱するでしょうがそれまでの記憶が消えるワケではないので大丈夫ですよ」
「そうか……おおそうだ、日本で食べられた物はその世界にはあるかな? 全く同じという訳にはいかないだろうが、米とか醤油や味噌などはあった方が嬉しい」
「ええ、日本に似た文化を持つ国もあるので、探せば日本の食事もほぼ再現できますよ」
というか、転生者の方はどの年代でも必ず探しますよね。
下手をすると世界を救うのをそっちのけでお米を探しているんですけど、送った方としてはそんな事は救った後で存分にやって欲しい物です。
「それでは、もう質問も無いようなので転生して頂きます」
私はそう言って専用ゲートを出現させる。
まあ、腐ってもお年寄りですし穏やかな方が良いでしょう。
「うむ、それでは世話になりました。いやはや、まさか神様に出会えるとは人生何があるか分かりませんな」
「これは永き時の中のほんの一瞬の出来事です。『誰』が『誰』と出会うのに偶然も必然もましてや奇跡なんてありませんよ」
「そんなもんですかなぁ。むむむ、やはり72人は惜しい気が……」
だからそんなものはいないって言ってるでしょう!
幾つまで盛っているつもりですか!
「ハッハッハッ、それではあまり長居をしても仕方ないし、そろそろ行きますわ」
「はい、次の人生も楽しんでくださいね」
「ありがとうございます……それでは最後に心残りをば」
「はい?」
まるで悪戯小僧のような笑みを浮かべた彼は、一瞬で私の胸を揉んで尻を撫でて行きました。
「ななな! 何するんですか!」
「ハッハッハッ! 最後に良い土産が出来ましたぞ!」
私が怒鳴り上げると彼は逃げる様にゲートを潜って行きました。
ああいうのが憎まれっ子は世に何とやらというんでしょうね……オボエテロヨ。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。




