20話 ゲームは1日24時間
(´・ω・`)最近のマンガやラノベなんかは大概ハーレム展開が多いですよね。
でも、その後の主人公ってヒロインたちの尻に敷かれてるんだろうな~っていつも思います。 女性が団結すると男はどうにもできませんよ。
皆さんこんにちは!
今回の転生業務はちょっと趣向が変わっています。
今日はとある世界神が、廃棄する世界一つを丸々ゲームの舞台へと改造したそうなので、そのゲームのプレイヤーとして何人かを別の世界から呼んで欲しいとの要請です。
はぁ、世界神は暇……なんでしょうか?
それでは、本日の業務を始めます!
「あれ、ここはどこだ? 確か明日から夏休みだからって積みゲーを崩そうと……」
「ようこそ、喪手泰造様。僕は貴方たちで言う所の神さまです。今日は貴方にお願いがあってここへお招きさせていただきました!」
「お願い? って言うか子供?」
はい、僕はこの為に生まれた子供型の転生神です。
この方は今回の要請に条件がピッタリだという事でお呼びしたんですが……どういう事なんでしょうね?
「貴方にはあるゲームをやって欲しいんです。勿論、タダでとは言いません。見事ゲームをクリアーした暁には、ゲーム内で得た物と、これから差し上げるチート能力を引き続き使って頂けます。ここまでで何かご質問はありますか?」
「えーっと、とりあえずゲームって何?」
「ある世界神が作り出した世界1つを舞台とした体験型ゲームです。なので現実と同じようにNPCも生きて生活しております。ただし、いくつかの禁止行動も設定してありますので、現実とゲームの中間のような世界になっていますね」
「な、なるほど……」
セーブ&ロード機能も完備。
ゲームオーバーになればスタート地点に戻されますし、クリアーするまでは年を取らない上、登場人物たちもゲーム上のルール以外ではまず死にません。
その辺は世界神の権限をフルで使用するそうなので、まずルールから逸脱する事は不可能です。
「じゃあ、どんなゲームなんだ? ゲームって一口に言っても色々なジャンルがあるよな?」
「それについては僕も知りません。ゲームの内容についてはゲームをスタートさせるまで分からない仕掛けになっています。ゲーム内容を聞いた途端に降りられるとこちらも困るので」
「あー、じゃあ俺が苦手なゲームの可能性もあるって事?」
「それはないです。こちらの方でゲームが攻略可能な方を選別しているので、『攻略できずに閉じ込められる』という事はまずありませんのでご安心ください」
大前提として、製作した世界神はゲームをプレイして貰いたいのだ。
ならば、攻略不可能だったりループに入るような内容にはしていない……筈です。
「そ、そうか。それは良かった。じゃあ、やってやるぜ! だって報酬もあるんだろ?」
「はい、ゲームをクリアーして頂いた方には特典として、ゲーム内で得たアイテムの幾つかを元の世界へ持ち帰る事ができます。ただし、お金などは経済に影響が出るので大量には持ち出せませんが」
「じゃあ、価値のある物を持ってくることは出来るのか? 金とか宝石とか」
「それは可能ですよ。ただ、あんまり大量に流すと色々と問題も呼びますけど、それでも良ければですが」
「お、おう……」
そういう方々って結構目敏いですからねぇ。
気を付けないと危ないですよ?
「まあ、お金以外でも色々と使える物はありますし、まだ内緒ですけどアホみたいな物まで持ち帰れますから安心してください」
「あ、アホみたいな物?」
「まあ、巨大ロボットですとか地下の秘密基地みたいな物も取得できれば持ち帰る事が出来ますよ?」
何せ範囲はゲーム世界の全てですからね。
“世界”という地図上に存在する物なら所有権さえ得れば、何でも持ち帰る事が出来るってホント、アホみたいなことを考えますよね~。
月とか手に入れたらどうするつもりなんでしょうか?
元の世界に第二の月が現われて、しかもそれは一介の高校生が所有しているなんて愉快な事になるんですかね?
「そして2つ目の報酬が“チート能力の付加とその継続”ですね」
「おお! チート能力キター!」
「これは今から貴方にチート能力を差し上げます。クリアーしますと、クリアーランクに応じて元の世界へチート能力を引き継げます。ああそれとゲームで会得したスキルは1つ目の報酬として持ち帰れますから安心してくださいね」
「じゃあ、向こうで剣とか使えるようになったら、元の世界でも同じように振れるのか!?」
「はい、加えて向こうの世界ではステータスの上昇やスキルが取得しやすいので、割と簡単に覚えられますよ」
「うお! スゲー!」
魔法も存在するので教えてくれる人を探し出す事が出来れば、元の世界でも魔法が扱えるようにはなります。
見つかれば、ですけどね……
「説明の続きですが、貴方には基本能力として幾つかの能力が付加されます。それは“異世界言語”“鑑定”“アイテムボックス”の3つです。異世界言語スキルはその名の通り、別体系の言語でも自動で翻訳して会話できるようになります」
「おお、マンガとかでありがちな何故か白人キャラでも日本語を喋ってるパターンか!」
「まあ、言ってしまえばそうなりますね。2つ目は鑑定スキルですが、気になった物を注視する事で情報を閲覧できるようになります。と言っても初期のランクだと名前くらいしか分からないですけど」
鑑定スキルは使っていくにつれて熟練度が上がり、レベルが上がれば開示される情報も上がります。
レベル10になると来歴全てが開示されますので、ぶっちゃけ情報量が多すぎて読むのも怠くなりますけどね。
本にしたら多分鈍器ですよ。殴ったら人が殺せますね!
「じゃ、じゃあ、スキルのレベルが上がれば、人間の情報も見られるようになるのか?」
「はい、大体レベル6くらいになれば身長・体重・座高・上腕・前腕・スリーサイズ・視力・握力・血圧・血糖値などなどの情報くらいは見る事が出来ますね」
「れ、レベル6でそれか……じゃあ、趣味とかどこに住んでるだとかを見るには、もっとレベルが上がらないと……」
「それ位ならレベル3くらいで見られますよ?」
「……へ?」
「開示回数の多い情報ほど割と早く見れますよ。特に特技などはちょっと雑談していれば分かる場合も多いので重要度的にも低いです。それで次のアイテムボックスですが、これはゲームのままですね。特徴と言えば、アイコンから《装備する》を選択すればそのまま自動で装備する事が可能ですし、フォルダーで種類分けする事もできますよ」
イメージはそのまんまゲームの持ち物である。
アイテムボックスに入っている物は名前でリスト化され、降順昇順などの並び替えにフォルダーを作成してドロップすればアイテムの移動も出来る。
結構便利な能力の一つである。
「それでは能力の説明も終わった所で、えーっと……今回、喪手さんに差し上げるチート能力は……おお、本人が選べるタイプですね! 何か一つに限り、ご本人様が望む能力を差し上げます!」
「それじゃあ……女の子にモテモテになれるチートを! 出来ればハーレムとか作れそうな奴をお願いしますっ!」
「えーっと、本当にそれでよろしいんですか? 一度決めてしまうと変更や取り消しは出来ませんが……」
「それで構わねぇ!」
「わかりましたー。では異性の好感度を100%とした時に、好感度を初対面時に20%程度上昇させる効果と、好感度が上がり易いチートを差し上げますね」
「え、それって2つじゃないの?」
「いえ、これで一つのチート能力ですよ。簡単に言えば好感度が上がり易いだけのチートですから」
「おお、じゃあそれがあれば女の子からモテモテになれるのか!?」
「ええ、これを持っているだけでマイナス反応はゼロに、プラス反応はよりプラスに出来ます。これを上手く使えれば、ハーレムも作れるんじゃないでしょうか?」
「よっしゃー! テンション上がってきたー!」
喜んでいただけで何よりです。
それでは、早速肝心なゲームの方をスタートさせましょう。
今回は転生神である僕がそのままナビゲーターも務めるので、この業務が終わるまでは元の転生神の業務はお休みです。
まあ、そんなにはかからないとは思いますが……
「それでは、ゲームの方の説明を始めますね」
「おう! 始めてくれ!」
「それではスタート!」
――私立緒呂院学園には一つの伝説があった……それは『命短し恋せよ乙女』!!
大昔、学園のあった場所で悲恋の業を背負ってしまった少女が、己の運命を嘆いて身を投げた……すると少女の業は土地に根付き、そこに在籍している生徒に恋をした女性は死んでしまうという伝説となった!
その呪いを破る方法は一つ……伝説の木の下で思い人の生命の源をその体に宿す事であった!
しかし、ここに在籍している少女たちは皆、恋に恋する花も恥じらう年頃ばかり……去年まで女子校であった学園の乙女たちは初めての異性との学園生活にドキドキ!
そして、もう一つ……主人公にもある秘密があった。
それは幼少時、近所の神社で遊んでいた貴方を気に入った古き神が、貴方を生涯に於いて異性に困らない様にと、異性から好かれる祝福を掛けた……
その結果、貴方はこれまでに異性にモテてモテてしょうがない人生を送っていた!
果たして貴方は、並み居る異性を押し除けて気になるあの娘へ想いを伝える事ができるのか!?
実体験型恋愛シミュレーションサバイバルアクション
『ドキドキ! ラヴ・モーメント~命短し恋せよ乙女~』!!
彼女が死んでしまえば即ゲームオーバー……君は彼女を生かす事が出来るか……っ!
「……」
「……」
……何なんですか今の。
この安っぽいプロモーションムービーは、まさかとは思いますが世界神が作ったんでしょうか?
なんか安っぽいギャルゲーみたい……っていうか、まんまギャルゲーですよね。
やっぱり世界神って暇なんでしょうね。
というか、今とんでもない事を言ってましたよね?
「恋をすると……死ぬ?」
「あ~、説明によると主人公への好感度が100%になった時点で、その女性キャラの死亡イベントが発生。即ゲームオーバーでセーブ画面からやり直しみたいですね」
「せ、セーブっていつするんだ?」
「自室にパソコンがあるので、それに触った時点でセーブできるそうです。ついでにそのパソコンを使えば、セーブデータの管理もできるみたいですね。便利~」
「お、おい? さっきから俺と目を合わせようとしないのは気のせいか?」
「いえいえ~、僕もこの後のお仕事の為の準備をしなければならないので~」
「汗、物凄く掻いてるぞ?」
「はっは~、喪手さんこそ~」
2人の間に嫌な沈黙が横切った。
ああ、居ない筈の烏の声まで聞こえてきました。
「どどど、どうすんだよ!? 恋愛シミュレーションなのは良いとしても、好感度上げたら死ぬって、俺のチートダメじゃん!?」
「しかも、このゲームはご親切に『恋愛に臆病な貴方でも大丈夫! ここに出る女の子たちはみんな惚れっぽいチョロイン仕様です!』って書いてありますね」
「大きなお世話だよチクショウ!! それになんだ、呪いの解除法! 伝説の木の下でって、つまりヒロインと青○しろって事か!?」
「いえ、それが嫌な場合は近くに『伝説の木の下ホテル』というホテルが……」
「ラ○ホじゃねぇか!」
ですよねー。
本当にここの世界神は頭がおかしんじゃないでしょうか?
おまけに最大300人まで同時攻略可能って、現代が舞台なのにハーレム推奨してますよこのゲーム。
というか、最低でも300人はいるんですかヒロイン……
「こんなゲームやってられるか! キャンセルだキャンセル!」
えーっと、それについてはとても残念なお知らせなんですが……
このゲームって神が作り出した“世界”その物を舞台にして、プレイヤーには転生システムを利用している訳でして……
本来なら魔王とかを倒さないと帰れない所を、ゲームクリアーを目標にしているので簡単に別の世界への移動というのは難しいと言いますか……
「すみません……キャンセルはできないんです……」
「マジかよ!?」
大マジです……
ああ、PMを見終わった事で転送陣が起動しました。
僕たちの足元に転送の魔法陣が展開されます。
「仕方ありません。何とかこのゲームをクリアーする事に専念しましょう! 幸い、何年掛かっても年を取らないので、何度でもプレイは可能です!」
「チクショー! やってやらぁ! ……これ、俺クリアーできるよな?」
「……多分」
僕の自身の無い言葉と同時に2人は神の間から消えた。
そして僕はこの時、このゲームと人間の業の奥深さをまだ知らなかった。
攻略対象……つまりヒロインは誰にでも可能性が秘められているという事を……
僕たちはまだ気が付いていませんでした。
その後、僕たちはどの位の時間を掛け、並み居る女性を押し退け、ヒロインを攻略してゲームをクリアーできたのかは、語りたくもない。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。
※死に覚えゲーなので、この話の後日談は書きません……
ただ敢えて言うのなら、ゲーム開始は妹キャラ(攻略可能)が起こしに来る……それだけです。




