16話 まさかの犬転生!?
(´・ω・`)たまに異種転生する話を見ますが、人間の意識のまま別の肉体に転生するってどうなんでしょうね
ファンタジーなら人化する可能性も残ってますけど……
どうも皆さんこんにちは。
今日もどこかの異世界へ、迷える魂を転生させる転生神です。
今日はまずは転生神の業務内容について少々ご説明します。
転生神の仕事内容はただ一つ、『素質のある人材を危機に陥っている異世界へと送る』これだけです。
これだけと言っても、内容はとても面倒臭いです。
まず初めに行うのは、各異世界の神からの派遣要請や要望書類の整理です。
これは様々な理由によって異世界の維持が難しくその修正の為に送りたい、または停滞してしまった世界を異世界神がテコ入れしたいという内容の物が多いですね。
最近で珍しい所だと、男性が減って来てしまい人間絶滅の危機にあるので、兎に角男性を送ってほしいなんて物がありましたよ。
送られてくる書類はここで内容を審査されて、解決の重要度が決められます。
次に転生神が送られてきた書類の要望に近い人物を選出します。
ぶっちゃけ、ここは機械任せです。
何せここにはあらゆる世界の魂が集まります。 そんな途方もない数の世界から、気が遠くなるような数の魂が存在するんですよ?
そんな物を態々人力で確かめて行くなんて出来っこないですよ。
なので、ここでの転生神の仕事は幾多ある魂の中から要望に合うと思った複数の候補者を選ぶ事ですね。
ここからは我々転生神の仕事になってきます。
まずは転生神から選び出された数名の転生候補者を、我々でさらに精査します。
その精査に合格した方には、転生陣で神の間へご招待いたしますが、たまにそれを迎える前に死亡してしまう方もいるので、そういう場合は魂だけをこちらにお迎えしています。
そうして最短で数日の観察期間を置いた後、神の間へお連れして説明や能力の付加を行い異世界へ旅立っていただく訳ですなのよ。
何故、今回私がこんな事を説明しているかというと……
「極めて稀に転生神がこういう大ポカをするのは知っていましたが、まさか神の間へ来るまで気付かれないとは、どんだけ奇跡的な数値なんでしょうね」
良く『可能性が0%ではない限り、それは絶対ではない』なんて言う文言は聞きますが、限りなく0%に近ければそれは無くていいんじゃないの?
という訳で本日の転生者は小太郎さんです。
なんとこの方は前に転生した方の縁者だそうで、その方を探している時に事故に遭われて、ここへ連れて来られたそうです。
健気ですねぇ、泣けますねぇ、ただ私の担当じゃなければよかったんですけど……
「えーっと、私は転生神といいます。貴方は本日の午前11時24分に交通事故で死んでしまいました。その……しかしながら貴方は本来死ぬ予定にはなかったのですが、こちらのミスで死亡させてしまいました。なので本来ならば蘇生させたい所なのですが、こちらのルールで一度死んでしまった方を同じ世界に復活させることはできないんです。なので別の世界、異世界へと転生させるんですが……分かりますか?」
「わんっ!」
円らな瞳をこちらに向けながら、小太郎さんが元気に返事をしてくれました。
嬉しそうに振られた尻尾が可愛らしいのが憎いですねコンチクショウ。
……皆さん、もうお気づきでしょう。
本日の転生者である小太郎さんは……犬なんです。
何でですか! 普通こういうのって人間か、意思疎通のできる物に限るって相場が決まってるでしょうが!
犬って、秋田犬系の雑種って、ネコ目イヌ科イヌ属って、せめて霊長類でしょうが!
私、犬とはコミュニケーションなんか取れませんよ!?
「わんっわんっ、くぅーん?」
「ああもう! 可愛いなチクショウ!」
モフモフしてやがるぜコイツ! もう存分に撫でまわしてやる!
……ふぅ、すみません取り乱しました。
「それにしてもどうしましょう……犬の勇者って流行りますかね?」
ちなみに人間にして送るのはどうかという疑問については、『不可能』とお答えしておきましょう。
小太郎さんの素質は、犬として発揮される物なので人間に転生させてしまっては、料理に大工道具を使わせるような物です。
「くぅ~ん?」
「えーっと、とりあえず賢さを小学生くらいまで上げましょう。それからステータスを上げて……アイテムボックスはどうしよう? 成長限界は必要よね、異世界言語は……向こうの人が驚くので止めておきましょう」
「わんっ、はっはっはっ」
いつもならここで欲しい能力を聞くんですが……私には彼の言いたい言葉が分かりませんし……犬に合うチート能力って何でしょう?
最強の魔力は……犬では魔法が使えないので意味がありません。
最強の武芸の才能は……犬に何の武術を使えと言うんですか。
最強の武器……うん、手が無いのにどうやって剣を振るんですか。
好感度のブースト……これ以上好かれてどうするんですか!(逆ギレ)
ダメだ、普段欲しがられるチート能力じゃあ犬に使える能力がありません。
そうですねぇ……時を止めるとか良いですかね?
ああ、でも犬の時間の概念って結構大雑把なんですよね。時間操作の能力を説明するのが大変そうです。
はぁ、全く何の悩みもなさそうに耳なんか掻いて、私の苦労なんかこれっぽっちも分かってくれないですよね。
まあ、それが分かっちゃう犬も怖いですけど。
「そもそも何で犬なんですか。人間の候補者なんて山といるというのに、なんで態々獣チョイスなんですか」
「くぅん?」
「あ~も~、可愛い顔してくれやがって、貴方なんてモフモフの刑にしてやります」
お腹なんか見せちゃってくれまして、可愛いなぁ!
いつまでもこうして居る訳にも行きませんし、そろそろ転送しますか……
「結局、身体強化系くらいしかあげられる物がありませんでした……それでは頑張って来てくださいね?」
私は転送陣を展開して、小太郎さんを異世界へと転送した。
貴重な体験ではありましたが、2度とやりたくはないですね!
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。




