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転生業務日誌 ~転生神はつらいよ~  作者: 酔生夢死


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17話 規則正しい生活って結構大事

(´・ω・`)寒天にお酢に納豆に朝バナナにエトセトラ……

結局、バランス良く良く噛んで、十分な睡眠と適度な運動が一番健康的だと思います。

後ストレスを溜め込まないっていうのも大事ですね、まあ今の世の中ストレスだらけですけど……

 え~っと、今日の転生業務は~都内在住の田中総一郎君(26)、会社員で~す。

 ここへ来た原因は~、駅のホームに立ってたら背中を突き飛ばされて気が付いたら~ってな感じっすね~……はぁ。


「はぁ……俺、この仕事向いてないのかなぁ……」


「死んだと思ったら目の前の男がいきなり愚痴り始めた件」


「だってさ~、この前ちょっと気になってネットの掲示板を覗いたら、俺みたいな神様の事が書いてあるトコ見つけてさぁ。気になって覗いてみたら『最近は異世界との関係ガバガバだなwww』とか、『転生させる神様は、異世界から何か貰ってんじゃねぇの?』とか書いてあってさ~」


「なんか貰ってるんすか?」


「貰ってる訳ないだろ!? 先月の俺の給料見たらお前らゼッテー引くぜ!? 何せ1人で何人担当しようが給料は据え置きな上に24時間労働で、(むし)ろ休日あるの?ってレベルの超ブラックなんだぜ!?」


「えぇ……でも神様なんですよね?」


「いいか? 神様は死なないし、病気も何にもないんだぜ?」


「うわ……」


 そこで引くなよ!

 言ってる俺が虚しくなるだろがっ!


「しかもよー『転生後って大体みんなハーレム作るよねwww (わざ)とそういう奴を選んでるのの?』とか知らねーし! 転生者のその後の人生に俺関わってねぇよ!? それにそう言ってる奴らだって、どうせ内心じゃあ女の子を侍らせたりイチャイチャしたいって願望はあるんだろ!?」


「お、落ち着いて。そう言う人は一定の数は居る物なんですから、そういうのは気にしないのが一番ですって」


「無理~、俺そう言うの思いっきり気になる性質だし、凹んだらトコトンぐだるタイプだし~」


「うわぁ、面倒くさい人だ……」


 はぁ、今が仕事じゃなかったら酒かっ喰らって、くだ巻きたい……

 まあ、神様に休みなんてないんですけどね~……ハハハ……


「つう訳で、異世界へ行っちゃって頂戴……バイバーイ」


「いやいやいや!? ちゃんと説明してくれよ! 何で巻に入ってんだよ!」


 総一郎君がなんか煩いです。

 これは神である俺に対する反逆だな。許せない!


「俺に何か言いたい事があるならば勝負に勝ってからにしろ! 内容はそうだな……酒飲み勝負で!」


「そりゃアンタが飲みたいだけだろうが!」


 チッ、ばれたか。

 はぁ……このままグダグダやっても終わりそうにないから茶々っと済ませますか。


「説明つっても何が聞きたいのさ。どうせ大方の事情は分かってんだろ?」


「まあ、大体は……」


「大体? オイオイそりゃ嘘だろ、1から10まで分かってんだろ? その手のネット小説を書いていたアンタならさ」


「ななな、なんで!?」


「異世界転生、最強主人公、チーレムetc.……良くあるジャンルを詰め込んだありきたりでフツーの作品だったから人気もあんまりでなかったんだよなぁ? それにアンタがここへ来た原因なんて、まんまアンタの小説通りじゃねぇか」


「ち、ちが!?」


「ただ主人公のアレは無いわ。面倒臭がりだけど情に厚くて自然と仲間が寄ってくる的な? 口癖が『やれやれ』で人に好かれやすいってどんな奴だよ」


「や、止めろ! 分かった、分かったから止めてくれ!」


 コイツの小説を読み聞かせてやろうと思ったけど、まあ勘弁してやろう。

 ……うむ、コイツを弄ってたら気分も上がってきたな。


「じゃあ簡単に説明してやるよ。と言っても、お前の予想通りの異世界転生って奴だ。魔王っておっちゃんがヤンチャしてて、現地の人じゃ手に負えないからちょっと行って懲らしめて来ちゃってよ」


「なんかものずっごく軽く聞こえるんだけど」


「大丈夫、大丈夫。みんなヤッてるからチョチョイのチョイだって」


「その説明だと、アンタの風貌の合わさってなんか援交でも勧めてるチンピラにしか見えないんだが」


「お前みたいな男を引っ張ってどうすんだよ」


 というか、仮にも神様の俺に対してチンピラって酷くね?

 ちょっと赤シャツに白スーツに金のネックレスを付けてるだけじゃん。

 これくらい普通普通。


「あ~、で? なんかチートっぽい能力に要望とかある? ある程度はこっちで見繕うけど」


 とりあえず、コイツがどんなステータスだか確かめてっと……え? はああぁぁぁぁ!?


「何だこれ! ステータスがカンストしてる!?」


 何だコイツ、レベルも筋力も耐久も限界値に達してやがる。

 見た所、スキルも何も付いてない一般人なのに何でこんな事になってんだ!?


「おい! 一般人のお前が何でこんな超人的なステータスになってんだよ!?」


「超人的かは分からんが健康の為に、毎日3食バランスの取れた食事を最低でも30回ほど良く噛んで食べ、適度な運動を熟して、7時間の十分な睡眠を取る規則正しい生活をしていたらこうなってた」


「そんなんでこうなれたら誰も苦労なんかしねぇよ!」


 このステータスならドラゴンもパンチ一発で倒せるわ!

 全力で走ったらソニックブームが起こるんじゃねぇの?


「ああ、もしかしたらアレかもしれない」


「なんだ? なんかドーピングでもやってたのか?」


「いや、そうじゃないが梅干しが好物で、1日1粒は欠かしたことが無いから、ひょっとしたら……」


「梅干しにそんな効果ねぇよ!」


「まあ待て聞けって、良いか? 梅干しと言っても拘りがあってだな。まず蜂蜜入りは駄目だ、梅干しが甘いとか意味が分からん。次に塩分濃度は4~5%の物がベストだ。そして大きさは小粒より大粒の方がいい、小粒だと数を食っちまうからな。そして食べるなら……」


「待て待て待て、誰も梅干しの講釈なんか頼んでねぇよ!? そして梅干しにそんな効果はねぇ!」


 梅干し食ってそんな生活送るだけで超人に成れんだったら、元の世界は超人だらけの世紀末だ。

 もし仮にそんな世界があったなら、担当の世界神は主神のおっさんに助走をつけてぶん殴られるだろう。

 あのおっさん、趣味でジムに通ってるらしいし。


「なんだよこれ……チートいるか? いや、でも規則は規則だし……う~ん、アンタなんか欲しい物ってある?」


「きゅ、急に言われても、そうだな……あ、じゃあこの腕時計を壊れずいつまでも正確な時間を刻むようにして貰えないか? 正確な時間が分からないと生活に不自由だから」


「あいよー、ついでに色々機能も追加しておいてやんよ」


 よし、異世界言語と時計に能力付けて終わり!

 ぶっちゃけドラゴンですら殴り倒せそうな奴に戦闘系チートは要らねぇよな!

 いやぁ、元がチートだと仕事が楽だわ~……うん、こんな奴と2度と会いたくない。

 マジで心臓に悪い。


「そういえば、異世界ってやっぱ冒険者とかいるのか?」


「ああ、超居るぜ。冒険者ってのは言ってしまえば何でも屋だからな。なり手には事欠かないぜ? ただ、上に行かないと稼げないけどな。下から2番目くらいまではプー太郎のチンピラ扱いだ」


「まあ、肉体労働には自信があるから、大丈夫だとは思う」


 はっはっはっ、このステで肉体労働が苦手だったら笑うわ。

 ドラゴンとステゴロできて、1週間寝ずに走り続けられる体力があるんだから、真ん中くらいまでならあっという間になれんじゃねぇの?


「ただ喧嘩とか苦手だからなぁ……多分、血とか見たら吐く」


「そこはなれて貰うしなねぇなぁ。少なくとも魔王は倒して貰わないといけないし」


「あと虫も無理、デッカイのがこっちに飛んできたら気絶する」


「物理無効の敵すら殴り倒せそうなのに弱点多いな」


「俺は人間だからな」


 どこまで強くなっても人は人ってか。

 深い事言ってるようで自分の苦手を誤魔化してるだけじゃね?

 あ、目を逸らした。


「そ、そんな事より他には何か注意事項は無いのか?」


「そ~だなぁ、とりあえず喧嘩とか気を付けろよ?」


「ああ、日本人とか平和ボケしてるから厄介事に巻き込まれそうだもんな」


「いや、喧嘩になったら間違いなく相手が危ないから、殴った手が折れる的な感じで」


「え、そんな理由?」


 当たり前だろう。

 お前って例えるなら街に現れた怪獣よ?

 歩くだけで街こそ壊さないけど、肩が触れたらビルも壊すレベルなんだぜ?


「お前はもっと自分のチートさ……と言うかバグさを自覚しな。システム上のチートじゃなくて、ゲームのジャンルからして違うんだよ。ゾンビゲーに怪獣が現れて全部踏み潰して行く的なさ」


「何その理不尽」


「加えてその怪獣はこっちの味方キャラじゃないんだぜ? 一応、HPもあるし、やろうと思えば倒せなくもないけど、防御は硬いから最強武器でも1ダメージも与えればいい方だし、HPも京を超えてるけどな」


「最悪だなおい!」


 お前の事だよ!

 転生者じゃなかったら、とっくに危険生物に指定してるわ!


「はぁ……じゃあ、そろそろ向こうに送るとするか。ハイ、そこに立って」


 田中総一郎は俺の指差した所に素直に立つ。

 俺はソイツの足もとに転送の魔法陣を展開する。

 消えかけの彼に、最後に言葉を贈るとしよう。


「え~、じゃあまあ色々アレかも知んないけど、まあまあ頑張ってね」


「最後の言葉なのにふわっとしすぎだろ!」


 それが彼の最後の言葉だった。


最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

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