番外1‐2 転生神は砕けそう
(´・ω・`)初めは転生物の神側が書ければいいなって始めたんですか……
なんか、プロローグの寄せ集めっぽくなってますね。
「ムッキー!! なんで書類が減らないのよっ!」
相変わらず処理しても処理しても減らない書類の山を見てブチ切れる。
仕事してるのに増えるってどういう事!?
「どうぞ“私”、追加の書類を持ってきましたよ」
分体が台車に載せて持って来た書類の一部をドサッと、私の机に乗せる。
え……これ、さっき処理した分の倍はあるんですけど?
「また増えた!? ねえ、なんか私に恨みでもあるの!?」
「何言っているんですか、仕事ですよ仕事。さっさと片付けてください。こうしている間にも書類は量産されているんですから」
「分体が私に優しくない!?」
これは新手の反抗期なのだろうか?
私をスタンプマシーンか何かと感違いしてるんじゃないでしょうね?
「こちらは世界神からの要望書類、こちらは各転生神からの報告書です。目を通しておいてくださいね」
「来る日も来る日も減らない書類……世界神からの要望は鬱陶しいわ、条件にまともな内容が無いわ、分体にも真面なのがいないわ、ネットじゃ攻撃されるわ私が何したってのよ!」
「とりあえず今は仕事をしていませんね」
「私には休憩すら許されない!?」
このまま愚痴ってても仕方ないので、仕方なく書類に手を伸ばす。
ああ、これは分体からの報告書ね。
どれどれ……
『我は古き盟約の寄辺に従い、運命の円環に導かれし理は、我が右眼に映る真実が告げる。運命の道標の元へ4つの剣が集い、悪しき魂を断ち切る救世の……』
「コレ報告書!!」
何だ、この難解ワード満載のポエムは!
これじゃあ、何にも分からないじゃない!
「流石、メインの分体は個性豊かですね」
「それは遠回しに私に嫌味を言ってる?」
「大丈夫ですよ。メインも個性的なので負けていませんから」
「誰もそんな心配してないわよ!」
何故こうも私の分体は、産みの親である私に反抗的というかなんというか。
もっと主である私を敬うべきだと思います!
「下らない事考えていないで、手を動かしてください。ほら、お茶とお菓子を持ってきましたから」
「ぶ~、そんなので私は釣られないわよ~。えーっと次は……」
出されたお茶菓子を片手に次の報告書に手を伸ばす。
えーっと何々……
『来た、見た、送った by転生神な俺☆』
「おんどれは何処のカエサルじゃい!!」
思わず報告書を破いてしまった私は悪くない。
「これじゃ、何も、分からないでしょうがっ!!」
「いやぁ、本当に分体は個性豊かですね。本体に似て」
せからしか!
少なくとも私はこんな事は書かない、だってこんな事を書く労力すら惜しいもの!
「はいはい、下らない事考えていないで次です次。破いてしまった報告書は再度、私の方で提出させますから」
「流石、私の分体。仕事ができるわね」
「主に似ずにですけどね」
何故この子はナチュラルに私をディスるのだろうか……
私はこの子の上司で生みの親なのよね?
「次はこれです。ホラ、さっさと目を通して」
「うぃ~、ええっと……」
『業務報告:本日、第334世界の世界神の要望により『勇者となり得る若者3名』を選別、その世界固有の能力を付加して……』
「うわ、何の面白味もない報告書ね……誰これ書いたの」
まるでお手本のような報告書に、思わず声が漏れてしまった。
え、ウチにこんな真面目な文を書く分体がいたかしら?
「どれですか? ……ああ、これは彼女ですよ」
「誰?」
「ホラ、いつも黒いコートを着ていて、黒い眼帯にシルバーのアクセサリーをジャラジャラ付けた……」
「ああ、あの子……って、はぁ!? それってさっきの訳わからないポエムじゃないの!?」
「アレは別の人ですよ。ほら、あの老人の……」
「何やってんのよあの爺!」
「そういえば、前に2人で話している所を見た事が……」
「それで厨二が伝染したのか……」
年取ってからの厨二病は性質悪いわよねぇ。
若い時と違って“大人になる”って変化が無いから完治はまず無理ね。
まあ、そもそも神様だから成長もへったくれもないけど……
何で私の分体はこんなのばっかりなのよ!
「ホント、メインに似て分体は個性豊かですね」
「待って! 流石に私はこうじゃないわ!」
「ですが、分体は本体の一部として生まれてくる訳ですから、つまり分体は隠れた本体の本性とも言えるんですよ?」
違うもん!
人間の子供だって親から100%引き継いでる訳じゃないでしょ?
それと一緒よ!
「神は概念体なんですから人間と一緒にしないでください……我々は半自動で動く蛸の脚みたいなものなんですから、本体にその素養が無い限り勝手には動きませんよ」
アーアーアー、きーこーえーなーいー。
外部の環境によって分体の人格に変化が起こる可能性も無きにしも非ずなんだから、一概にそうとは言い切れないもん。
私は悪くない。
「確かにそうですね。その可能性もあるかもしれませんね」
「で、でしょ!?」
「はい、でも彼女については初めからあの人格であの恰好でしたよね?」
……私をいじめて楽しい!?
「はいはい、文句を言っていないで仕事してください。メインの処理した書類を他の分体に届ける仕事があるんですから」
「へいへ~い……何々? 複数回転生しては世界を救っているのと、地味だからダイスを振らせた? それに……ぶっ、転生する前に復活して改造人間にされたぁ!?」
「改造人間? どういう事ですか?」
「ん~、なんかね? 交通事故に巻き込まれて死亡したはずなのに、轢いた相手が科学者でなんやかんやで改造人間になって復活されたんだって」
「あるんですねそんな事」
「事実は小説より奇なりって奴ね。こっちは世界神からの要請か……は? 魔王より先に勇者が出て来ちゃったから、魔王になれる人材を寄越せ!? しかも、勇者はその権限で好き放題しているから、世界を救う方向でよろしくだぁ!?」
「本末転倒ですね。というか、魔王が世界を救うってどうなんでしょう」
「知らないわよ……こっちは分体が暴走して各種族同士で勇者作ってゲームやってるから、介入して止める為に人材が欲しいか……どこの神も分体に苦労してるのね」
「こっちは分体が苦労させられてますけどね」
自分の分体に思いっきり溜息を吐かれた。
泣きたい。
「これは……変なウィルスの所為で人類が4桁切りそうなので、精力的な人材を至急求ム……対象は男性のみ?」
「何かゲームにでもありそうな設定ですね。本人たちは切羽詰まっているんでしょうけど」
「というか、そこまで逝ったら人類無理でしょ。どんなに頑張ったってワンチャンないわよ」
「そうでしょうか? 毎年、倍に増えればまだ可能性はあるかと」
「送った人間が干からびるわよ!」
「その為のチート能力でしょう?」
チートにだって……限界くらいあるわ。
1を100にはできるけど、所詮そこまで。
1千や1万にはできないのよ。
「神が授けられる能力は所詮、神のルールに則った物でしかないわ。それ以上のチートはただのバグよ」
「じゃあ、どうしますか?」
「そりゃあ、誰か送るわよ。それが仕事だもの」
要請されれば転生者を送るのは私の仕事である。
少しでも救世の余地があるのならば、人材を送らなければ私がいる意味が無い。
「じゃあ、次はこれです。これは世界神とは別の所からの要請ですね」
「どれどれ? えーっと『異世界ネタや主人公たちの設定ネタが切れました。どうしましょう』? こんな物、私が知るか!!」
「『暫くは転生させた主人公たちを描写していくつもりです』だそうです」
「それをここで報告してどうするってのよ!」
「『ネタに詰まってやった。今は後悔している』だそうです」
「……実はアンタが言ってるだけじゃないでしょうね?」
「違います。良いじゃないですか、15年くらい前には作者と主人公の座談会とか良く分からない物が跋扈してましたし、ちょっとお手紙風に報告を混ぜても」
「私の仕事場を報告の場にするんじゃないよ! って、ああああ!? 書類の山が!!」
思わず机を叩いてしまって、机の上に置いてあった書類が崩れ……そのままドミノ倒しの如く部屋にあった山まで崩れ出す。
この瞬間、神様的デスマーチ決定の瞬間であった。
「では、私はこれで」
「ちょ!? ちょっとは手伝ってよ!」
そんなこんなで今日も転生神は頑張っています……続く。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。




