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人類を否定し、神に成り代わる  作者: 雨結 廻


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14

長いようで短い最初の事件は終わった。

リリアナが死んだ後、オレは能力を解除し、がれきに頭をぶつけないようにゆっくりとその場に倒れた。

倒れた後、遅れてやってきたベルティアたちに緊急治療室に運ばれたそうだ。

治療中も含めてオレは意識を失っている間の記憶がぽっかりとなくなっていた。

当然だろう。

オレの能力のおかげで即死レベルの出血量や致命傷を負ってもギリギリで崖にボロボロになった片手で捕まり続けているような状態だったのだ。

むしろ、いつ死んでもおかしくない状態をよくここまで生命を繋ぎ続けられたと言っていい。



そんな死の世界に片足を突っ込んだ状態が続いていたが朝比奈たちの懸命の看病とこの学園の優秀な医療技術も相まってオレはリリアナとの戦いから数日後に目を覚ました。

「あぁ! やっと目を覚ましたんだね! 良かった~! 本当に死んじゃったのかと思って辛かったよ~!」

目を開いた瞬間、祈るような目でオレのことを看病していた朝比奈が怪我人のオレに強引に抱き着き、胸元で人目をはばからずに涙を流した。

感情を露わにする朝比奈とは対照的にオレは治療終えたばかりの傷が抱き着かれたことによってズキズキと強烈な痛みとなって襲ってきた。

「き、気持ちは嬉しいがあんまり抱き着かれると治療したばかりの傷が……」

「あ……」

朝比奈は我に返ったかのように抱き着くのをやめるとそのまま自分の右手で涙をぬぐった。

「ご、ごめんね~。3日も鶴川君が目を覚まさなかったからつい喜びも格別で~」

3日も意識を失っていたのか。

だとすれば朝比奈が喜びを爆発させるのも無理はない。

「朝比奈さんの言う通り、私たちに無駄な心配をかけないでほしいわね」

程なくして、ベルティアも姿を現した。

隣にミケがいないのは他の生徒に協力関係を結んでいることを悟られたくないからだろう。

「とかいって~。鶴川君が武器倉庫で血だらけに倒れていた時に青ざめた様子で駆け寄ってたのを忘れてないよ~?」

「あ、あれは私が人として倒れている人を見かけたら助けようという善の心が働いただけよ」

朝比奈のいじりにベルティアは頬を赤く染めながら顔を逸らしている。

これが俗にいうツンデレか。

それでも、ベルティアも朝比奈もちゃんとオレを救うために必死になって色々動いていたんだということだけは何も聞かなくても伝わってくる。

「朝比奈、ベルティア。二人ともありがとうな。ここにいないミケも含めてお前たちがいなかったらオレはとっくの昔に命を落としていたかもしれない。感謝している」

オレはまだまだ痛みが残る戦いで負った傷を何とか耐えながら頭だけでも二人に感謝を込めて頭を下げた。

2人は想定外だったのか朝比奈もベルティアも一気に顔を炎のように赤くなり、お互いにオレのことから目を逸らす。

「い、いいよ~。私は鶴川君が生きていてくれるだけで嬉しいし」

「わ、私もただ、人として最低限するべき行動したまでよ」

照れを隠し切れない様子が二人の魅力をさらに引き立たせている。

これもある意味、普段の日常では見られない表情の一つだったりするのだろうか。

病室が徐々に穏やかな雰囲気になる中、オレはここで自分が意識を失った後の展開について聞き出す。

「世間話も一旦ここで置いといて、オレが倒れた後の話を聞かせてくれないか? ラニエクについてわかったことなどを知りたい」

その直後、朝比奈とベルティアはさっきまでの照れ隠しの表情から一変して曇りの表情へと移り変わる。

どうやらオレ達にとってはあまり良くないことが起こったのだろうか。

「先に結論を話しておくけど、リリアナを操っていたのはH組の米沢だそうよ」

ベルティアの衝撃の告白にオレは痛みが残る傷が悪化してでも飛び上がりそうになる。

対照的に朝比奈は無言で何度もうなずいている。

ということは米沢が裏でリリアナを操っていた黒幕なのだろうか。

「あくまで私は朝比奈さんから聞いただけだから詳しい話は朝比奈さん本人から直接聞くといいわ」

ベルティアに話を振られると朝比奈はさっきまで見せていた照れ笑顔からはかけ離れた複雑で気難しい表情になっていた。

「ごめんベルティアさん。この話を鶴川君としたいから少しの間外に出ておいてくれる?」

朝比奈の曇った声をベルティアは何かを感じ取ったのか特に反論したり、不満をぶちまけたりする様子もなく

「そう。わかったわ。しばらく私は外に出ているから、終わったら私の携帯に連絡してちょうだい」

ベルティアはそれだけを言い残し、治療室を出て行った。

わざわざオレと二人きりにしてまで朝比奈が話そうとしていること。

一体、オレが意識を失っている間に何があったのだろうか。

「朝比奈、オレが意識を失っている間に一体何があったんだ?」

オレの問いかけに党の朝比奈本人はしばらくの間無言を貫く。しかし、その無言もそう長く続くことはなく鉛のように重い口を開いた。

「実はね。鶴川君がまだ目を覚ましていなかった一昨日。私がいつも通り眠ったままの鶴川君の看病をしていた時に突然、一人の男子生徒がここに訪問してきたの」

「それが、米沢だったのか?」

オレの推測に朝比奈は俯きながら何度か首を縦に振る。

それに続くように朝比奈は次のように出来事の詳細を話し始めた。






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