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「いいか。龍城。お前が持っているこの力は絶対に他人には知られてはならない。同時にこの力は自分のためにだけ使いなさい。決して他人のために使ってはいけないぞ」
この言葉は父親から死ぬ前日に告げられた言葉だ。
それまでは自分が能力者であることを知らなかったので父親の言葉で初めて自分が能力者であることを自覚した。
ただ、具体的にオレがどういう能力を持っているのかを父親は死ぬ直前になっても明かしてくれなかったので自分の能力を理解したのはほんの1年ほど前とつい最近である。
オレの能力であるアドバーシティー・リヴァーサルは特定の状況下でしか発動しない。
今回のリリアナとの戦いではその条件が該当したことで発動したのだが、その条件というのがかなり厳しい。
アドバーシティー・リヴァーサルは英語でadversity reversalと書かれ、意味は逆境・逆転を意味している。
言葉の意味を聞いて何となく察しがついた人がいるかもしれない。
そう。この能力の発動条件は自身が圧倒的に戦況的不利になった場合にのみに発動する。
さらに、この圧倒的な戦況的不利になるという条件が非常に厳しく、自分の生命が絶たれる寸前もしくは重度のケガでなければ最大限の能力を発揮できないのだ。これがベルティアの言っていた神の種の副作用なのだろうと今にして思う。
だが彼女との戦いではラッキーにもリリアナの方が殺人円盤ヨーヨーをオレに直撃させた後にすぐさま剣の磔にしてとどめを刺さなかったことが瀕死という条件を満たし、自分が発揮できる最大限の力を引き出すことが出来たのだ。
まぁ仮にリリアナの方が作品を創ることを優先しようとした場合は最大限の力が発揮できなくても、能力を起動させて反撃に転じるつもりではあったが。
リリアナ自身が理想の作品を創ることに躍起になり、オレこそがその理想に一番近いと考えて自ら勝負を吹っ掛けてきたのだが、結果的には予想以上に弱いと勘違いした。まぁオレ自身も一度重傷を負う必要があったのであの場面は即死にならない程度にわざと殺人円盤ヨーヨーの刃に自分の体を傷付けさせ、その後飛ばされた10本の剣は能力を一時的に少しだけ発動させてこれもギリギリ死なない程度のダメージに残しておいたオレの戦略があってこそではある。
それでも、自分が勝手に理想に希望し、勝手に理想に絶望した彼女の油断した心がオレの一撃に敗北する決定的な一打となった。
この学園に入って早々のあまりにもハイリスクすぎる賭けだったが結果的にはリリアナを倒すことができ、とりあえずはホッとしている。
父親があまり能力を他人バレさせるなと言っていたがこの学園で一切使わないという舐めプをするわけにもいかなかった。
事実、リリアナの能力と攻撃はまさに幾多の人間をその刃で赤く染めたことを十分に納得させるほどの殺気と強さだったのは本当のことである。




