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私の名前はラニエク・ソード・リリアナ。
今は世界を震え上がらせている『剣に囚われた死神』という名の殺人鬼として生き続けている。
目的はただ一つ。
小さい時に自分の手を赤で染めた頃からの夢だった理想の作品を完成させること。
その作品とは人間をナイフや剣で串刺しにして、血だらけになった死体を剣の磔にしてその姿を新たなる神に捧げる作品として完成させること。
しかし、その理想の作品は今もなお完成どころかまともに私が理想的だと思えた作品になったことがない。
その間、私は手に入れた能力で何人も人間を躊躇なく、殺し続けその数はもはや手のひらで殺した人数を数えるのが億劫になるほど。
そして私が自覚した時には人を殺し続けることに優越感すらも感じてしまっていた。
そもそも私が人間を殺すようになったのは十一年前。
そのトリガーとなったのは私の父親が殺された事件。
どんな仕事をしていたのかは今になっては知りたいとも思わないがその当時は世界的ハリウッドスターだったそう。
私は父がハリウッドスター、母親が超有名病院に通勤している医者という世間がうらやむほどの超金持ちかつ最高レベルの遺伝子。
だが、そのエリート街道を歩み続けていた両親にとっては凡人レベルの遺伝子で産まれた私に絶望したのだろう。
記憶はあいまいだが産まれて以降、毎日のように英才教育という名の体罰を父親、母親から浴び続けていた。
どれだけ泣いても、どれだけ嫌だと言ってもまるで他人事のように無視を決め込み、教育という名の暴力を続ける両親。
この時に神の種の成分が含まれた注射も強引に打たされた。
今にして思えば、これがあったからこそ今の私がこうして生きられることに感謝しなくてはならない。
そんな時だった。
父親が事故で死んだと知ったのは。
このニュースによって私の人生を大きく好転させていくことになる。
父親が死んだことで、ハリウッドスターの妻という肩書を失った母親は以前からの酒癖の悪さがさらに悪化し、依然として振るわれていた暴力がさらにエスカレートした。
それまで私はどれだけ暴力を振るわれても、涙が出ても辛くてもギリギリのところで耐えてきた私の糸がついに切れた。
私は手に入れた能力を使って、キッチン台に放置されていたナイフをそのまま母親の首へと突き刺した。
母親はナイフが突き刺さった瞬間に気を失うように死んだ。
私はわずか四歳で人殺しに手を染めたのだ。
だが、これが私にとってさらなる好機を呼ぶ。
母親が死んだ直後、ほとんど時間が経つことなく家の中に一人の男が姿を現す。
その男は人殺しをした直後でまだ動揺が収まりきっていなかった私に予想外の言葉を投げかけた。
「君のその力と内容は犯罪者として裁かれるには実に惜しい力を持っている。君は無能な人間たちごときに潰される存在ではない。私についてきなさい。そうすれば今回の殺人の件も不問にするだけではなく、君にとっては最高の幸福と希望にあふれた世界へと導いてあげよう」
私のとってはその男との出会いがまさに全てを変えてくれた存在。
あの日から、私はその男が率いる死神の目のメンバーの一人として動くことになった。
その男のおかげか私の母親の死は消息不明という形で世間に改ざんされ、私は病死したという形でこの世には存在しない形で処理された。
その後、私は死神の目の悲願達成を実行するべく、命令された人物の殺害を続けた。
最初こそは人を殺すことに慣れていなかったこともあって能力が暴走したり、時には一撃で殺しきれないこともあった。
それでも、次第に数をこなしていくうちに殺しの手際の良さも上がっていた。
同時にその頃から私はただ人を殺すだけでは飽き足らず、殺した人間を剣による磔として吊るし上げることで自分の理想の作品を創り上げるようになった。
どれだけの人が苦痛で苦しみながら死に、そしてその後に剣による磔をどれだけ美しく、私の理想的に創り上げることに重点が行われるようになっていき、殺害の任務はそのついでとして行うようになっていった。
それでも、命令された任務を忠実にこなしていき失敗らしい失敗もほとんどすることなく私の理想の作品の完成のために私は自らの刃を赤く染め続けた。
その結果、そのあまりに残虐な殺し方に世間はこう名付けた。
『剣に囚われた死神』
と。
この言葉には、ナイフや剣といった刃物を使って人を殺し、その後の死体を剣の磔に捧げられているところから、死神に赤く血の染まった人間の死体を剣で串刺しにした状態で捧げていることから名付けられた。
今も作品よりも自分に注目が言っていることに若干の不満はあるが、それでも世間から死神と恐れられるようになったのは実にありがたいことである。
私が正式的に死神という名前で知られた。
ある意味で死神の目に入って一つの目的は達成したのと同義であった。
しかし、その後は何度も人を剣の磔に吊るし上げても自分の理想とは程遠い作品ばかりが出来上がる日々が続いていく。
時間ばかりが過ぎていき、あっという間に九龍学園に入学まで時が進んだ。
最初の依頼は死神の目直々ではなく、H組の米沢君からの依頼だった。
依頼内容は
「T組にいる垣見内という男を殺してほしい。手段は問わない。報酬はKPTという形で学校側から別途支給させておく」
というものだった。
一応、死神の目からも学校でお前に依頼される殺しだけは必ず実行しろと言われていたので、私は彼の言う通りに垣見内殺害に実行。
ただし、この学園では表向きとはいえ試験外での殺し合いを基本的には禁止されていたのでまずは垣見内を殺人の犯人として吊るし上げ、規則違反として処刑もやむなしという状態にした後に垣見内を始末するという計画で動いた。
その際、依頼主の米沢もかなり協力的に動いてくれたこともあり、無能力者だった垣見内は人を一人殺せば神の種を特別に与えてやるという条件の下で、私の刃物を操る能力に利用されるようにその手で石山を十回近くナイフで刺して殺害。
その後は石山をいつも通り、自分の作品の一つとして剣の磔にした状態で自分が担当している図書館へと死体を置いた。
後は、事件の捜査に入ってきそうなT組の生徒に事件解決の協力と題してまるで私たちが既に全ての証拠を集め終わったので調べる必要はないと間接的に圧力をかけておき、一切他者に事件の深入りをさせることなく、学校側に垣見内が事件の犯人であるというこちらが用意した偽装工作の証拠を提出。
そして学校側から処刑の判決が下された後、垣見内を神の種を渡すという嘘で地下武器倉庫部屋へと呼び出した後、私の刃によって垣見内の身体を赤く染めた。
それで依頼は完了したはずだった。
こいつが首を突っ込んでくるまでは。
私たちの予想に反してT組の連中が一連の殺人を含めた死神の目について探りを入れてきた。
私は仕方なく、T組の連中を口封じで殺害することを決意。
手始めにT組だった美神を垣見内と同じように剣の磔にして息の根を止めさせた。
しかしそれでも彼らはゴミにたかってくるハエのようにしつこく迫ってくる。
これ以上は地下武器倉庫での殺人もバレるのは目に見えた事実だったこともあり、致し方なく決闘という形で鶴川を殺すことを決める。
決闘前日、自分を助けてもらった恩師から電話で私は鶴川に関する情報をもらう。
その際、男の方からかなりはっきりとした口調で
「あいつはいずれ、我々の敵となり、神にすら反逆の意を示す。だからこそ、お前の全力をもって挑め。そして、そいつの首は世界で一番の価値がある。お前の求めていた理想の作品ももしかするとついに完成するかもな」
そう言及した。
これまでどんな相手に対してもリリアナなら難なく対処できると言っていた恩師の男が、これほどまでにはっきりと警戒心を口にしたのはこれが初めてだった。




