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人類を否定し、神に成り代わる  作者: 雨結 廻


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10-2

そして時は過ぎ、決闘当日を迎える。

リリアナの果たし状は絶対に勝負をしにこいという強制力があるわけではない。

かといってこのままあいつを放っておくのは今後に行動に支障をきたす可能性もある。

ここは死神の目に関する情報を手に入れるという目的も同時並行で進めつつ勝負を引き受けることにした。

「相変わらず朝比奈はこういうところもちゃんとしてるな」

携帯のメール一覧を確認すると朝比奈が応援エールのメッセージを送ってきていた。

他にも、ベルティアとミケもスタンプだけではあるが健闘を祈る意味が含まれたメッセージが送られている。

最初はまともな交流相手すらできないのではないかという不安もゼロではなかったがなんだかんだ仲のいい仲間は出来るものだとしみじみ思う。

「さてと。いくか」

最終準備を終え、オレも覚悟を決めて決戦地へと足を進めていく。

リリアナは第1体育館にあるこの学園に複数存在する中で一番デカい武器倉庫で待っていると言っていた。

この学園が揃える武器倉庫の武器の種類には毎度驚かされるばかりだが、昨日事前に視察しに行ったときは今までのような狭いスペースに武器がずらりと並べられているのではなく、武器はそれぞれの武器種ごとに小さな部屋にごとに揃えられていて、それでいて実戦でお試しができるだけのスペースが他とは違い、体育館並みのデカさを誇っていた。

こういうところも国が莫大な税金と資産をつぎ込んだだけのことはある。

そうこうしている内に、決戦に場となる武器倉庫部屋に到着する。

ここでもったいぶって変に緊張感を高める必要性もないので、間を開けることなくゆっくりと武器倉庫の扉を開く。

そして、武器倉庫部屋の奥にはリリアナが腕組みをして静かに目を閉じた状態で奥に待機していた。

「やっぱり来たのね。まぁ来ないと思う方がおかしいか」

リリアナはもはやオレがここに来ることをわかっていたかのような口ぶりで余裕の態度を示している。

自分の方から勝負を仕掛けておいて、この態度はやはりこの場所が自分のホームだという自負があるかなのだろう。

「戦う前にいくつか聞いておきたいことがある。まずお前がこんなイカれた殺人を行うようになった理由を聞かせてくれ」

まずはリリアナが殺人をするようになったきっかけを知っておきたい。

殺人鬼=悪だとしてそのまま勝負に持ち込めば、凶悪な殺人鬼を殺せるかもしれないのだからそれでいいと思う人もいるのかもしれない。それは人それぞれだし咎める気もない。

それでも、人を剣の磔にして残忍に殺しまくる彼女の本性を知っておきたい。

「なんだ。そんなしょうもないこと聞いてくるんだ。まぁ別に隠すようなことでもないしいいか。自分の理想の作品を創りたいから。かな。後は自分の過去の憂さ晴らしも兼ねてるよ。人を殺すようになったきっかけは父親が死んでからだよ」

ということは、剣の磔は自分が理想的な作品を創るための手段に過ぎず、自己満足のために垣見内や美神を理不尽に殺したというわけか。

ラニエクの過去などもう少し具体的に聞いてもいいが、この質問の内容は一旦保留。

「そうか。なら次だ。お前はどうやって垣見内と接点を繋げたんだ? 先に言っておくが死神の目とお前が繋がっている情報は既に持っているからな」

事件に関する情報は聞かなくてもいいがこのまま何も知らないでいるよりは情報の重要性の優劣を抜きにして聞いておいて損はない。情報の鍵というのはどこに隠れていてもおかしくはないからだ。

リリアナは笑顔を絶やさない状態でスカートに隠していたナイフを時々空中へと投げながらゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

「やっぱり気づかれちゃってたか。まぁいずれはバレると思ってたし、話してもいいか。めんどくさいからまとめて話すけど、まず初めに私が殺したのは垣見内君と美神さんの2人であって最初の石山さんは殺してないよ。あくまで垣見内君の石山さんの殺人に協力してあげただけ」

垣見内と美神の殺害はそうだと思っていたが、最初の石山の殺人はやはり本当に垣見内が実行したものだったのか。

となると、リリアナは垣見内と石山の遺恨を知っていた上で利用した可能性も十分に考えられる。もちろん、リリアナ自身が駒として動いているだけの道具で、遺恨も依頼主から聞かれた上での犯行の可能性も十二分に残されてはいるが。

「垣見内を計画に利用したのはなぜだ? その気になれば、こんな遠回しなことをしなくても人を殺すのは可能なはずだろ」

「そうだな~。それに関しては私の方にもいろいろと諸事情があってね。詳しい内容は流石に言えないけど、強いて言うなら、垣見内を何としてでも先に始末する事情があったから……かな。まぁ実行役の私にとっては少し誘惑したらあの男はすぐに従ってくれて助かったけどね。すぐに壊れるおもちゃにしてはよく持った方だよ。本当はさっさと作品として始末したかったし」

この言い方を推察するに、垣見内を始末しておきたい別の人間がリリアナに頼み込み、彼女が垣見内を殺害するためにまずは犯罪者として吊るし上げて、逃げ道を防いだ上で最後は口封じで殺害したというわけか。

美神は自分の今後の計画に支障をきたす可能性があったからこちらも口封じで殺したといったところか。

「ということは、お前を操っている人間がいるということは確定というわけか」

「まぁそこから先は私の方からは名言できないけどね~。で、話は終わり?」

オレの質問攻めに飽きたのか自ら話を終わらせにきた。

今のところ、リリアナは父親が死んだことをきっかけに殺人鬼の道を辿り、この学園に入学後は誰かの命令によって垣見内を始末する必要があり、ただ殺すだけでは自分が犯人にされるリスクもある。

そこで、リリアナは垣見内が以前に石山と遺恨があることを利用して垣見内に石山を殺さないかとそそのかし、垣見内に石山を殺させることに成功。

その後はオレ達に犯行の全てがバレるよりも先に犯人が垣見内であるということを自分たちが用意した証拠を持ってきたうえで垣見内単独の犯行だと錯覚させ、学校側にも垣見内が犯人であると証拠を突き付けた。そして校則による処刑を決定させた上で殺されても仕方のない状況を作り、最後の仕上げに垣見内を殺害。

多少雑なところもあるが、割とよくできた計画ではある。

感心してはいけないのかもしれないが。

本来であればもっと厳しく聞いたり細かく聞いたりしてもいいが、リリアナの方が話したがらない気がしたので話はここで打ち切っておくか。

「あぁ。今のである程度大まかな状況整理は出来た。感謝するよ」

「この程度でいいなら問題ないよ。それに、そろそろ私の中の殺人本能が抑えきれそうになかったからちょうど良かったし。いずれはあなたも含めて私たちの敵は全員始末するのみだからね」

その瞬間、リリアナの表情がより狂気的な笑顔に変わり、空気が一気に一変する。

これまでの彼女の雰囲気からは想像もつかないおぞましい殺気が武器倉庫部屋を襲う。

これが本物の殺人鬼の殺気か。

「始めようよ! 君は私が追い求める理想の作品にどれだけ近づけるかな!」

殺人鬼ラニエク・ソード・リリアナとの決闘がついに幕を開けた。




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