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「先に結論を言うけど、私はこの世界で唯一ホワイトエンド事件の犯人がどこの組織の人間であるということは掴んでいるわ」
「何だって? 一連の事件は犯人どころかどこの組織がやったのかすらもわかっていなかったはずだぞ」
「そうでしょうね。だって情報は表向きどころかネットの裏サイトですら、まともに情報が流れていなかったもの。全く、恐ろしいほど完璧な情報統制よね」
情報がほとんどないことに不自然さを感じることは確かにあった。
だが、それはオレのような一般人が普通の手段では知ることのできない機密情報だというある意味で仕方のない要素のものだと内心はそう思っていた。
しかし、ベルティアの発言を聞いてすべてが変わった。
ホワイトエンド事件も自分の家族を奪われたあの事件も、まともに情報を得られなかったのではない。誰かが意図的にそれらの事件に対する情報を国家機密という形で外部に一切漏らさないようにした可能性が浮上してきたのだ。
これは今までずっと探し続けてきた真相の手がかりのきっかけになるかもしれない。
「その言い方だと、どこかの組織が意図的に情報を隠蔽していたみたいないい口だな」
「完璧な証拠まではまだ見つけられていないけどね。ただ、手掛かりを探していく上でこの学園に潜んでいる組織の名前の一部まではかぎつけたわ」
「その組織って言うのは?」
「先に行っておくけど組織は一つじゃないとだけ言っておくわね。今のところわかっている組織は死神の目(DADS)、四天王財閥のサルクレーン家、カリア家、ラグリア家、そして柳谷一族。四天王財閥は正確に言えば犯罪組織じゃないのだけれど、戦う可能性がある以上は候補に挙げておくわ。他にもかなり有力な犯罪組織の人間がこの学園に潜んでいるらしいけど私の調べた限りでは出てこなかった。いずれわかるでしょうけど」
ベルティアの口から出てきたいくつかの組織。
その内の一番初め以外の組織、つまりは四天王財閥には聞き覚えがあった。
「四天王財閥の人間もいたとは。確かに廊下ですれ違った人間に何人かはその関係者のような人を見かけたがやはりそうだったとは」
「えぇ。ただ、この四天王財閥はホワイトエンド事件関連はともかく、今回の石山、垣見内殺しとは関係してないでしょうね。なにせ、あいつらがほぼ一般人に近い石山と垣見内たちをわざわざリスクを賭けてでも殺す理由がないもの」
確かにベルティアの言う通り、ほとんど一般人に近い人間である石山と垣見内を釣ってまで殺す必要性も理由も見当たらない。
強いて言うなら、裏で実は糸を引いていたという可能性だがそれも垣見内と石山の資料を見る限りでは関係がある可能性はまずないと見ていい。
となればおのずと今回の殺人を行った組織の人間は一つに絞られてくる。
「となれば、組織は自ずと絞られる………か」
「えぇ。今回の殺人、組織的に関与の可能性があるとするなら死神の目だけでしょうね。一応、その根拠もある」
根拠というのは恐らく、ベルティアがオレを奇襲攻撃から庇った直後に攻撃のあった方へと見た時のことだろう。
彼女の目に死神の目が犯人であると決定づける何かを見たに違いない。
「何を見たんだ? あの襲撃の直後」
「私の目で確認できたのはほんの数秒。ただ、その数秒もあれば私には充分だったけど。死神の目には自らが組織の一員であるという勲章として体のどこかに死神の目が刻印されてるの。場所は個人によっては様々ね。そして、死神の目は常に行動をする際は死神の目が刻印された白いローブを身にまとっているの。私が見たのはその白いローブよ」
なるほどな。
だから自分の中で死神の目の犯行だと確信づけたのか。
オレの父親ですら、死神の目という組織の名前すらもたどり着けなかった。
しかしベルティアは死神の目を知っており、さらには簡単にではあるが特徴も掴んでいる。
これは、この学園に入学していなければつかめなかった一つの真実である。
「要するに、ここから先は死神の目の関係者を探し出す必要があるわけか」
「そうね。ただ、忘れてはいけないけど私たちの共通の目的は敵の組織、つまりはここで言う死神の目の関係者を見つけ出し、捕まえ次第私とあなたが聞きたいことを聞く。石山さんと垣見内君が殺された犯人を突き止めることが目的じゃないということを先に忠告しておくわね」
そうだ。
この学園に来た目的は家族を奪った犯人と組織を探すこと、そして父親が暴こうとしていた神の種に関する真実を探し出すこと。主にこの二つが最重要ミッションである。
つまりは極端な話、情に任せて石山と垣見内殺しの犯人を優先してはいけないということだ。それはあくまで死神の目の人間を探し出すためのきっかけの材料でしかない。
残酷な現実であると同時に、最初から覚悟していたことだ。
今は石山が殺された直後のような心の揺らぎもない。
「もちろんだ。そのためにこうしてお前と話しているんだからな。お前の話、乗ったよ」
「やっぱりね。そう言ってくれて少しホッとしたわ」
ベルティアの表情にどこか安堵という名のホッとした表情が顔に出ていたことをこの場にいるオレ以外は知るはずもなかった。
突然始まった石山、そして垣見内殺害事件は新たなステージへと移行していくことになる。




