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クスッと笑えるコメディ短編集  作者: 秋月心文


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学校あるある?

「これが約束のブツだ」


「こ、これが……」

 ヤツは、うれしそうにしつつも、

 それを使うことにためらいを感じているようだった。

 状態が保存しやすいように、ふた付のものを渡している。


「報酬をいただこうか?」

「待て、これが本物だという証拠が欲しい」


「ふっ……。当然の反応だな」

 俺は、ヤツに証拠写真を見せた。


「ブツにはシリアルナンバーが記載されている」

 ヤツは、写真とブツを見比べた。


「よくわからないな」

「ん?」

 写真はブレていた。


 だが、問題ない。こんなこともあろうかと、写真は何枚も撮影していた。

 しかし……


「ちょっと待て! この写真は、さっきのと季節が違っているぞ」

 1枚目には雪が。2枚目のはサクラが写っていた。


「ほら、シリアルナンバーが同じだろう」

 2枚目の写真を拡大して、最初に渡したものと見比べさせる。


「た、確かに……」

「さぁ、報酬をいただこうか?」


「そもそも、これってシリアルナンバーが書かれているものなのか?」

「レアなシロモノだからな」


 ヤツは、くしゃくしゃに丸めた紙を差し出した。


「これで取引成立だな」

「足がつくとヤバいので、取引はこれっきりでお願いしたい」


「あぁ、わかっているさ」

 そう言った途端、ヤツは、ブツに口をつけた。

 ゴクリッ。そして飲み込んだ。


「ちょっと待て!」

 それは、1年も前のものだった。

 このクラスのマドンナ玲子ちゃんが口にしたジュースだ。

 1年前の天然果汁100%だ。


 腐っていて当然だった。

 ヤツは、腹痛を訴え早退した。


 俺は、そこから足が付くことを恐れながらも、自宅に帰り報酬のブツを使った。


 それは、ヤツの100点満点の答案だった。

 鉛筆で書かれたそれは、名前の書き換えが可能なのだ。


 そして、この数学教師は、赤ボールペンで採点する。

 そう、答えまでも、自分の字に書き換え可能なのだ。


 俺は丁寧に書き換えた。

 名前も、答案の答えも、全て自分の字に書き直した。


 完璧だ。


 俺は、それを得意げに母親に差し出した。

 速攻、平手うちされた。


 え?


 母親の手には2枚の答案が握られていた。


 あれ?


 しまった。

 0点だった自分の答案と、偽造した答案を一緒に渡してしまっていた。


 こうして、俺たち2人の野望は、苦い結果で幕を閉じた。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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