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何でも屋の誓約  作者: 紫月 凛
一章〜何でも屋と元若頭様の世話係〜
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7

「ロライは最近できた集団で主に麻薬の取引をしている。あくまでただの寄せ集めの集団だ。それなのに、短期間で規模が大きくなりすぎだ。背後に何か大きな勢力がいないと成立しない。」


(ふ〜ん…気づいてたのね。なら、これは受けるか。)


 セナは凪がバカではないため、依頼を受けることにした。裏では些細なことで命を落とす。バカと取引などセナは絶対にしない。


「だから貴方は私に依頼したいのね。もし、大きな力を持つ勢力がロライのバックについていたら後が面倒になる…(何でも屋)に依頼を回したほうが色々な意味で安全だものね。」


「あぁ。受けるのか?」


「ええ。」


 セナは依頼が成立するとすぐに立ち上がる。この場に用がなくなったからだ。


(面白くなりそうだしね…それと、自衛のためにもこの件に関する情報は集めようとしていたから丁度いいわ。)


 セナは部屋を出る時、凪に黒いカードを投げた。そこには地図と住所が印刷されていた。


「三日後、そこの住所の建物に来て。前金もその時に貰うわ。」


 セナは一方的にそう言ってさっさと部屋を出た。


「了解した。」


「気ぃつけて帰ってな。」


 凪と夏弦の言葉は聞こえていなかったのか、無視したのか、セナは振り返ることなく屋敷を出た。

 セナ達三人は月守組の屋敷を出て海外とも取引を行っている都内の港の近くにあるセナの拠点に入った。その拠点への入り口は使われていない廃ビルに隠されている。拠点は地下にあり、入り方はセナ達だけが知っている。


「ロライと取引をしている子供達が使っている倉庫に行くんですよね?明日は学校をお休みになられるということでよろしいですか?」


「ええ。光明学園は出席日数が一桁でも実技、筆記の試験結果がよくて、生活態度に問題がなければ留年しないもの。この条件なら授業を受けなくても余裕で進級できるわ。」


 セナ達が通っている光明学園は小中高一貫の私立だ。光明学園は試験結果がよければ出席日数が進級、進学に影響しない。セナ達のように出席日数に関係なく進級、進学できるというメリットを狙って入学する者が多い。そのため、光明学園では成績がトップ十以内の者は基本、試験の日以外は学校に来ないのだ。


「セナ様、着替えの準備は整っております。」


「ありがとう。じゃ、二人は麻薬がどこから流れてきたものなのかの調査をお願い。学校は好きにして。」


 ルランはセナが変装に使う道具の準備をしていた。裏社会以外の場では髪色も瞳の色も隠している。セナが銀髪に紫色の瞳を晒したまま活動するのは裏社会でだけなのだ。


「ユウリ、ルラン、貴方達はこれでいいのね?これ以上関わったらもう、戻れないわよ。」


 セナは飄々とした雰囲気を消し、珍しく真剣に二人に問い掛けた。ユウリとルランはすぐにセナの意図を察し、真っ直ぐに自分達より視線が高いセナを見上げる。


「はい。僕の命はセナ様に()()()()()()()()ものですので。セナ様が僕を不要と判断するその時までお傍にいさせてください。」


 セナの問いにまずはユウリが答えた。


「私もです。この命はセナ様に()()()()()()()()ものです。その恩に報いるためにも貴方様のお傍にいさせてください。」


 ルランもユウリと同じようにハッキリと答えた。二人の琥珀色の瞳には意志が宿っている。命が尽きるまで、命が尽きようとセナの傍に居続ける、という意思が。裏で一生を過ごす、という覚悟はセナに()()()()時に決めていたのだ。


(ユウリとルランは私が気まぐれに拾った…だから、最後まで責任を持つ義務が私にはあるわ。)


 セナの裏で死ぬ覚悟はあるか、という問いにユウリとルランは迷いなく答えた。セナの傍に居続けることを選んだ。セナにはそれを断る権利も停める権利もなかった。


(大丈夫、()()貴方達を拾ったことに責任持つから。)


「そう。なら、好きにして。」


 セナはいつの間にか真剣な雰囲気を消し、いつもの飄々とした雰囲気に戻っていた。顔には人間が警戒できない微笑みを貼り付けている。


「「はい!」」


 ユウリとルランはセナの言葉に嬉しそうに返事をした。そして、セナから頼まれた仕事を遂行するために拠点を出ていった。

麻薬に手を出すのは絶対にやめてください。

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