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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-790 だいぶ計画と違ってきた


 ジャンクションからの車両撤去は順調に進んでいるようだ。

 シグさんがゾンビが接近している事を伝えると、アネッタさんが警護体制は万全だと応えてくれた。

 とは言ってもねぇ……。


「撤去作業か所に近付くゾンビは任せろという事だろう。トランシーバーに銃声が聞こえていたから、州間高速道路にまで足を踏み入れるゾンビは全て倒しているようだな」


「戦士型の接近も知らせたんですよねぇ?」


「ストライカーの屋根に設けたグレネードランチャーを使うようだな。そうなると……」


 シグさんがモニターにドローンからの画像を映して、アネッタさんの搭乗するストライカーの現状位置を確認する。

 作業場所からそれほど離れていないのは、放置された車両を牽引して撤去するブラッドレーを補助するからだろう。もう1両のストライカーはキャンピングカーを牽引しているようだ。路肩まで移動して路側に兵士達が力づくで転がすのかな? 力自慢が多いからねぇ。


「アネッタのストライカーの移動範囲はそれほど広くはなさそうだな。道路の南と南西はカバーできるが、西は難しそうだ。東は1チームがしっかりと見守っているな」


「戦士型は南西方向からの移動ですよね。このままでも十分に思えますが、方向を変えられると嫌らしいですね」


「その危惧は正解です! 戦士型5体の移動方向が変化しました。進行方向が北東から北に変わっています!」


 ドローンを操縦している女性兵士が大声で教えてくれた。

 思わずシグさんと顔を見合わせる。


「側面もしくは後方からの攻撃か!」


「戦士型ですからね。ある意味一騎当千の兵士という事になるでしょう。通常型ゾンビ10体を越える戦闘力は十分にありますよ」


 5体でも俺達を狩ることは出来る。ましてや元はステルス体質を持った戦士だからねぇ。気付かれないまま接近されて、部隊を殲滅することが出来るんだよなぁ。


「染料で姿を見ることが出来ることが唯一の救いだな。そうなると、上の連中に任せるしかないのだが……」


「バレットが2丁です。ジュリーさんに連続射撃は難しいでしょうけど、エディがいますからね。それにニックだって持っているライフルは7.62mm弾です」


「装甲型では無さそうだな。ある意味過大火力にも思えるが、屋根の上で待つよりも道路で迎撃態勢を構築したほうが良さそうだ。私が指揮するぞ。情報のバックアップはしっかり頼む!」


 えぇ! と驚いている俺を無視して、銃架から自分のマーリンを取るとキャビンから出て行ってしまった。

 とりあえずドローン操縦を行っている女性兵士に、常にジュリーさんと連絡を取り合っていて欲しいと頼んでおく。

 屋根の上から靴音が聞こえてくるのは、道路へと降りているのだろう。

 まぁ、シグさんがいるからね。姿を見ることが出来るステルスゾンビならば十分に対処できるに違いない。


 屋根に設けた集音装置が周囲のゾンビの声を拾ってくれる。

 テーブルに乗せたノートパソコンその声のスペクトルを表示させて、一服を楽しみながら眺めていると、急に戦士型の声が小さくなった。スペクトルを表示していたセグメントの輝点が段階を追ってバックグランド位置に低下する。

 どうやらシグさん達が戦士型を片付けてくれたようだ。

 

 フクスのキャビンに戻ってきたのは、ジュリーさんだけだった。

 どうやらこのまま放置車両に潜むゾンビの対処に移るようだな。


「サミーの出番よ。ここは私がいるからね。状況に変化があれば直ぐに連絡する」


「了解です。周辺の偵察はよろしくお願いしますよ。それとかなりステルス型がいるようですから、不安があるなら直ぐに染料の入った迫撃砲弾を投下してください」


「任せといて。スナイパーユニットも使ってみるね」


 既に色が付いているステルス戦士を狙撃するということかな? 銃弾の威力は今一なんだけど、装甲型でなければ使えるかもしれないな。あれは自爆型への対抗策なんだけどねぇ……。


 マーリンを担いで外に出た。

 エディ達が一服しながら休憩していたけど、笑みを浮かべて俺を見ているんだよなぁ。上手くステルスゾンビをし止めたという事かな。


「エディも十分に使えるな。ニックが隣にいるなら、中距離狙撃を十分にこなせるだろう」


 シグさんがそんなことを俺に言うから、ますますエディの笑みが深まっているんだよなぁ。


「上手く倒せたと?」


「あぁ、ジュリーの銃撃を免れたゾンビをし止めてくれた。400mほどの距離ならジュリーだけで十分だろうが、バレットは女性兵士が使うには問題があるようだな」


 ジュリーさんは数発も撃てないだろう。それに射撃の間隔も普段使っている狙撃銃より間が開くだろうからなぁ。その間に移動して来るゾンビを倒し切れないという事だろう。

 だけどシグさんが少し残念な顔をしているのは、担いでいったマーリンを使えなかったからかな?

 使わなかったことを神に感謝しようなんて考えないようだ。


「さて、始めるか。終わりは無いが、ジャンクション近くはなるべくゾンビをじゃ意所しておきたいからな」


 確かに終わりはなさそうだ。ジャンクションへと続く道路も放置車両で埋まっている。

 車両の撤去作業を邪魔しないように、俺達の任務を始めることにした。

                ・

                ・

                ・

 昼前にジュリーさん経由で州間高速道路45号線が通れるとの連絡が入ってきた。

 ここで2日半を費やした感じだが、次もあるからね。まだまだ肩の荷が重いと感じてしまう。

 俺達の作業を此処までにして、再び南へと車列を進める。

 3kmも進真まずに、再びジャンクションの放置車両の撤去が始まるが、このジャンクションにはそれほど放置車両が無い。

 カロリーバーとコーヒーの昼食を取ったところで、直ぐに放置車両の撤去が始まった。

 俺達もジャンクションの乗り口と降り口の放置車両に潜むゾンビの駆逐を始める。


 始めて1時間も過ぎた時だった。

 ジュリーさんから、ゾンビが動き出したとの連絡が入ってきた。

 作業を切り上げてフクスに戻り、ドローンの画像を眺める。


「ノイズマシンで西に追いやったのだが、再び集まってきたようだな。ジャックをもう1度仕掛けるか?」


「西1km先に仕掛けましょう。このままアレフさん達が撤去作業を進めれば2時間は掛からないでしょう。その間にゾンビのラッシュが起こらなければさらに先へと進めます」


 地図を見てシグさんが頷くと、直ぐにジュリーさんにジャックを仕掛ける位置を伝えてくれた。

 後はお任せしよう。

 それにしても、昨夜からだいぶゾンビの動きが活発になっているんだよなぁ。

 この先にあるジャンクションは200台を超える放置車両があるけど、マリアンさんのおかげで既に半分近くの車両が爆風で移動している。残り半分として、ここのジャンクションでの作業時間を考慮すれば、何とか1日で撤去出来そうに思える。

 とはいえさらに都市の中心部になるからなぁ……。ゾンビが向かって来るかもしれない。

 事前に仕掛けたノイズマシンが未だ3個残っているから、残ったジャックと上手く組み合わせて作業期間を乗り越えたいところだ。


 どうにか夕暮れ前にジャンクションの放置車両を撤去して、再び野営地へと戻ることにした。

 そのまま南進して次のジャンクション手前で野営をする予定だったのだが、ゾンビの動きが活発化している。あえて危険に飛び込むこともないだろう。

 野営地に戻ると、士官達を集めて継ぐのジャンクションの映像を眺めながら明日の作業について話合う。

 次のジャンクションを過ぎれば放置車両で塞がれたジャンクションは無いし、目的地であるテキサスシティまで50kmほどだ。

 とはいえ途中には装甲の邪魔をする放置車両が結構あるようだから、さすがにジャンクションの放置車両を撤去しても1時間でテキサスシティに到達することは出来そうにないな。


「次のジャンクションは作戦前と比べてだいぶ車両が無くなりましたね。とはいえ100台以上撤去しないといけません。市街地に中心部ですけど、ゾンビが集まってくることはありませんか?」


 アレフさんの言葉に、皆が一斉に俺を見るんだよなぁ。

 集まってくる可能性があるというより、集まってくるに違いない。その為にノイズマシンを事前に設置してあるんだからね。


「作業開始前に東西1km付近にジャックを設置する。この音でしばらくはこちらの作業音を紛らわせることが出来るだろう。とはいえ、ジャックの作動時間は40分程度だからね。持ち合わせているジャックを次々と仕掛ける必要がありそうだ。次のジャックを作動させるのは先に仕掛けたジャックが炸裂した30分後で良いだろう。この30分間を利用してアネッタ少尉達に迫撃砲による攻撃をして貰う。これで少しはゾンビが散会してくれるに違いない……」


 ジャックに搭載された爆薬はそれほど威力は無いからね。せっかくゾンビを集めるんだからできれば全て倒したいところだ。4門用意している60mm迫撃砲から20発程放ってもらえばかなりのゾンビを倒せるだろう。


「迫撃砲による追撃だが、何発か染料入りの砲弾を放って欲しい。ヒューストンにはかなりのステルスゾンビがいるようだ。周辺を監視する部隊も集音装置のスペクトル画像をしっかりと見て欲しい。スペクトルの輝点が高くなった方向にゾンビが見えない場合は、そこにステルスゾンビがいるはずだ。音声映像装置を使ってその位置を掴み、グレネードランチャーもしくはミニミで始末してくれ」


 シグさんの言葉にしっかりと頷いているんだけど、俺も外で監視をした方が良さそうだな。

 シグさんに全体の情報を集約して貰えば、俺が指揮所に詰めていなくても何とかなりそうだ。


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