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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-774 テキサスシティに至るルート


 翌日はバッファローのジャンクションから州間高速道路45号線に乗って南下する。

 たまに放置車両があるけど、オルバンさん達の乗るフクスが斜めにぶつけて路肩に落とし込んでいる。

 フクスの重量が放置車両よりも数倍大きいからなぁ。衝突時のショックもあまり無いのだろう。


「このまま1時間だな。次のセンター・ビルにもゾンビの数が少なければ、ヒューストンは目の前だ」


「ヒューストンは昨年より砲撃を続けていますからねぇ。市の中心部からゾンビが周辺に移動している可能性があるます。そうなると市街地の迂回路をどちらにするか、かなり迷いますね」


「そうだろうか? 私は東周りだと確信しているぞ。西はサン・アントニオに近いからなぁ。余計な苦労をすることになりそうだ」


 センター・ビルの北5kmにフクスを停めて、最初から3個のジャックを仕掛けることにした。

 作動時間は各30分ずらすことで状況観測が出来るようにしたのだが、結果はバッファローと同じくジャックに集まるゾンビは30体にも満たない。

 これなら自走砲で砲弾を数十発も打ち込めば、難なくセンター・ビルを通過出来そうだ。

 そもそも市街地に入ろうなんて考えは無いからね。高速道路を使ってゾンビが移動するような事態が起こらねばそれで良い。


 拍子抜けした形で、再び45号線を北上し、バッファローの西にある鉱山跡地に再び戻って来た。

 すでに日が傾いているから、ジュリーさん達は夕食の準備を始めるようだな。

 俺とシグさんデ」マリアンさんへの報告分を作成し、画像を添えて送る。

 その返事が届いたのは、フクスの間に張ったタープの下でコーヒーを飲んでいる時だった。


「ダラスの北から移動するとのことだ。明日はここで待機することになるが、次の任務は面倒になりそうだな」


「東周りと、西回りの偵察でしょうね。レーヴァさん達がいますから、先行部隊を2つに分けての偵察という事になるでしょう……」


 その前に、ハンツビル市の偵察もあるんだよなぁ。かつての人口は数千人とのことだが、ヒューストンへの砲撃でゾンビが移動している可能性が高そうだ。

 先ずはジャックを仕掛けて状況を確認し、ノイズマシンでゾンビを一か所に集めて砲撃で殲滅することになるだろう。

 迂回路を選定する偵察はそれ以降になるはずだ。


「サミーは西の迂回路を使うこともあり得ると考えているのか?」


「さすがに可能性は少ないと思います。シグさんの言われる通り、脅威度は東周りの比ではありませんし、かなり遠回りになるんですよねぇ。でも、ヒューストンへの道を作れば、次の任務はメキシコからの越境ゾンビ対処でしょう? 西回りをするついでに偵察部隊を派遣して状況を確認するぐらいはマリアンさんの事ですから……」


 マリアンさんという言葉にシグさんが頷いているんだよなぁ。

 やはりかなりの問題児だと軍内部では認識されているようだ。


「となると、マリアン殿が全く何もしないでいるとは思えんな。このブラウンズビル市辺りにはすでに武装偵察部隊を送りこんでいるかもしれんぞ」

 

 テーブルに新たな地図を広げてシグさんが指さした場所は、メキシコ湾の西にある国境の都市だ。ヒューストン攻略時に一度様子を確認しているが、内陸奥まで石油タンカーが入り込めるだけの運河がある。その奥に広がった港であるなら、小型の軍艦を使って入りこむことは可能だろう。


「105mm砲にヘリの離発着台がある艦なら申し分ないでしょうね」


「クロード大佐はマリアン殿のかつての部下だ。ヒューストン開放は陸上艦隊に任せて次の任務に移るだろう。ならば使える内にという事になる」


 俺達が西に向かうのは来年のはずだ。その前にたっぷりと叩いてくれるならありがたい話だし、ドローンを使って着弾観測を行うはずだからどんな種類のゾンビがいるのかも分かるだろう。

 できれば自爆ゾンビに新たな種類が増えないで欲しいところだ。


「来年は越境ゾンビも考えないといけません。間違いなく自爆ゾンビがいるでしょうし、新たな戦士型がいることも推測されます。エディだけでなくもう1人にもバレットを使えるようにしてほしいですね」


「スナイパーをもう1人という事か。了解だ。サミーも短距離なら使えるのだから練習するが良い。200m先に当たるようになったなら、再度ペンデルトンで射撃訓練をしてバッチを貰うのだな」


 俺だけ射撃バッチを貰えなかったのを知っているんだよなぁ。

 機密漏洩は誰なんだろう?


「結構おもしろい銃ですよねぇ。あの反動を押さえられれば俺にだって当たると思うんでですけどねぇ……」


「反動抑制か……。確か、あったはずだな……。サミーの為に1丁手に入れてやろう」


 いかにも悪戯好きそうな表情で、そんなことを言っているんだよなぁ。

 1インチ口径の大型機関砲の中にはそんな機能が付いていると、ニックが教えてくれたけど、さすがにスナイパーライフルにはそれはないんじゃないか?

 そんなことをしたなら、バレルが安定しないだろうから命中精度が低下するはずだ。

 素朴な疑問をシグさんに尋ねてみたら、試作銃の中にそんな品があったとのことだ。

 正式採用する前にいろんな銃がトライアルを受けたんだろうな。

 でもそんな銃なら、それこそオンリー・ワンという事になるのだろう。

 手に入ったなら、エディ達に自慢できそうだな。


「休暇に入ったなら、ペンデルトンの兵器庫で探してみよう。無ければバレットで我慢するのだな」


「期待していますよ。もし見つからない時には、バレットよりもバルカン砲の銃弾が使える銃が良いですね」


「そっちもあるはずだ。それなら、最初から20mm機関砲弾が使えるライフルを見付けてこよう。さすがにあの試作品を持ちだす奴はいない筈だ」


 見たことがあるらしい。20mm弾なら炸裂弾や焼夷弾、さらには徹甲弾まであるからなぁ。装甲が厚いゾンビが出てきたとしても、十分に対処できるだろう。

 さすがに、それ以上となると装甲車の砲塔に搭載した機関砲になってしまうからね。人間が自由に扱えるライフルの上限は20mm弾までじゃないかな。

                 ・

                 ・

                 ・

 翌朝。朝食を終えた俺達はしばしの休憩だ。

 たまにドローンで周辺を探索しているけど、ゾンビの姿は南方数km付近に数体の通常型ゾンビがいるだけだ。

 狩りをしているのかもしれないな。


「もうすぐ先遣隊が来るだろう。レーヴァ大尉達だろうからマリアン殿の指令を持ってくるかもしれん」


「ここに駐屯地を作るなら俺達は邪魔でしょうからね。となると、150kmほど南のハンツビル偵察という事になりそうです」


 さすがにバッファローから比べれば大きな町だからゾンビの数は大いに違いない。輸送路の脅威を低減するためにも早めに数を減らさねばならないだろう。

 だけど、その数十km先にあるコンロ―の町はもっと大きいんだよなぁ。

 コンロ―を過ぎれば直ぐにヒューストンの住宅地が広がる。

 コンロ―市街を囲んでいる環状線を使って国道105号線に乗りヒューストンの市街地に入らずにテキサスシティに向かう事になるのだが、西回りなら300km、東周りなら200kmだ。

 距離は短い方が良いんだけど、そうなるとヒューストンの市街地にかなり接近するし、そもそも住宅地が密集しているんだよねぇ。

 西回り歯かなり大きく迂回することになるんだが、道路はかつての農地を通っているからゾンビの脅威は少ないだろう。とはいえ、西のサン・アントニオ市に接近することになるし、テキサスシティへ西から回り込む道路はかつてヒューストンから南に移動したゾンビの移動経路でもある。

 移動したゾンビのその後を確認していないけど、今でもヒューストンからのゾンビの移動経路となっているのであれば、何時ゾンビの集団が現れないとも限らない。

 クロードさんがだいぶ叩いているからなぁ。ヒューストンのゾンビは市の中心部から周辺に移動している可能性が高いんだよねぇ……。


「ところで、フクスは戦場での補給を容易にするためにつくられたんですよね?」


「今更の話だが、それがフクスの本来の役割だ。キャビンが大きいことから移動指揮所や負傷者搬送用にも使われているが、キャビン本来の用途は荷物室だ。5tの荷が搭載できるぞ。装甲はストライカーから比べれば薄いという事になるだろうが、5,56mm弾であれば弾くことが可能だ。さすがに7.62mm弾なら貫通してしまうがな」


 更にオルバンさん達が車両前部の補強をしているからねぇ。放置された車なら容易に弾いているのはその装甲があっての事だろう。

 レーヴァさん達が乗るストライカーは、フクス以上に頑丈だという事は……。

 テキサスシティへのもう1つ経路があることに気付いたけど、さすがにそれをやるかなぁ?


「どうした? まさかゾンビの集団に突撃しようなんて考えているのか? 日本人だけならそうするかもしれんな」

 

 ここはアメリカだぞと言いたげだけど、俺に向けたシグさんの顔は何時やるんだ? という期待が籠っているんだよねぇ。

 海兵隊ってシグさんみたいな人が多いんだろうかと考えてしまう。


「コンロ―からヒューストンの市街地を迂回するのが正攻法でしょうけど、クロードさん達がヒューストンを1年以上叩いています。となれば、このまま45号線を南下するのもあり得るかと……」


 俺の言葉に、シグさんが直ぐにタブレットを取り出してヒューストンの最新の画像を確認しだした。

 ジッと画像を眺めていたが、突然立ち上がると俺の腕を掴んで指揮車へ足早に歩きだした。

 

「急にどうしたんですか?」


「サミーの話……、あり得るぞ! クロード大佐はテキサスシティへ至る道路それに橋を一切破壊していない!」


 マリアンさんはこのための布石を打っていた……ということか!

 指揮車のキャビンに入ると、すぐにシグさんが通信機とノートパソコンを繋いでモニターにヒューストンの映像を映し出してくれた。

 なるほど、道路に放置車両や瓦礫が転がってはいるが、道路自体は破壊の跡がない。

 道路の両側は300m以上にわたって建物が破壊されているし、何度もナパーム弾で焼かれた痕跡があった。


「だが、フクスだけでの突破は難しいな。かなり大きな瓦礫が幾つかあるようだ」


「エイブラムに廃土板を取り着ければなんとかなりそうですね」


「あれは60tはあるからなぁ……。せめて20tぐらいの戦車なら使えそうなんだが……」


 アメリカは重戦車ばかりだからなぁ。30t以下となれば装甲車ぐらいになってしまう。

 装甲車に道路の邪魔物を排除させるのはさすがに無理がありそうだ。

 良い案だと思ったんだが、実行するには少し問題がありそうだな。


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普通にブルドーザーで排除しては?
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