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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-758 統合作戦本部に向かうことになった


 マリアンさんとの話は現在産休中の七海さんやレディさんの話になった。

 リンダさんが興味深そうに俺達の話を聞いているんだけど、そろそろ自分のことも考ええた方が良いと思うんだけどなぁ。

 とはいえそれを口にしたらセクハラになりそうだから、ここは黙っているしかないんだけどね。


「全く状況を伝えて来ないんだから困ってしまうわ。親心を理解していないという事なんでしょうけど……」


「こちらの任務が大変だという事を知っているからだと思いますよ。たまにメールをするんですけど、皆お腹が大きくなって来たとの事です。出産予定は9月ですからね。後2か月というところです。生まれたらすぐに連絡が来るでしょう。今度はどちらか楽しみです」


 七海さんの話では、生まれる子供の性別はすでに分かっているらしいんだけど、あえて教えて貰わないことにしているらしい。

 できれば教えてくれると助かるんだけどねぇ。でないと、男女別別の名前を考えないといけないんだよなぁ。

 

「クレディの生まれる前には性別が分かったところでパーティを開いたんだけど、今ではそんなことも出来ないのよねぇ。再びあのようなパーティを行う時代が来るのかしら」


「俺達の時代では出来そうにありませんけど、生まれる子供が大人になるころには再び出来るようにしたいですね。でも俺の住んでいた日本ではそんなパーティはありませんでしたよ。生まれてからが大変だったんです」


 お宮参りや七五三があるからなぁ。俺は男だったから簡単だったと親父が言っていたけど、女の子はそのための衣装でかなりの出費になるらしい。学校に行くようになれば制服を揃えないといけないし、二十歳になるとあの晴れ着だからなぁ。お袋の成人式の写真を見せて貰ったことがあるけど、その時に着ていた大振袖一式の値段で車が軽く買えると聞いて驚いたんだよなぁ。

 あの大振袖は持ってきていたはずだが、この騒ぎでどうなってしまったか……。


 雑談に興じていた俺達のところに通信兵が走って来た。

 マリアンさんの傍に立つと、しっかりと敬礼をして用向きを伝えている。


「……了解したわ。リンダ、準備をして頂戴!」


 直ぐにリンダさんが席を立つと、モニター近くの装置を動かし始めた。

 大画面の左にあるモニターがそれまで映していた地図から、会議室の画面に代わる。

 どうやらテレビ会議を行うようだ。

 リンダさんがマリアンさんと俺の前にマイクを置くと、自分の前にもマイクを置いて、会議の準備を始める。

 何度か相手先の統合作戦本部と通信状況を確認したところで、マリアンさんに顔を向けて準備完了を伝える。


「こちら陸上艦隊のマリアンです。お久しぶりですね。それで結論は?」


 いきなりだなぁ。それを聞いた本部長が困った顔をしているんだよね。


『直ぐに結論などでないよ。サミー君がそこにいるので安心しているんだが、当初の計画通りとはいかなくなったという事だね』


「遅くとも来年早々には、ヒューストンのクロード大佐と合流できるでしょう。こんな事態にならねば年を越すことは無いのですが……。とりあえずは、ヒューストンの航空部隊の支援で作戦の遂行は可能です。問題はメキシコからのゾンビの越境ですが、これを私達で食い止めることは出来かねます」


 しっかりと自分達の作戦範囲ではないと明言しているな。

 本部長がますます顔を渋くしている。


『広域偵察ドローンの画像を見てこちらも驚いたよ。航空宇宙軍の偵察衛星画像からでも確認できたのだが、向こうも人員不足、偵察は北米大陸とNATO基地ぐらいしか行っていなかったからね。そこは我等も反省しているところだ』


 航空宇宙軍の規模を縮小したことが裏目に出たという事かな? それに中南米のゾンビなら北の国境を越えるより、何もない南を目指すだろうという俺達の慢心もあったに違いない。


「少なくとも越境が可能な橋の爆破は行うのでしょう?」


『直ぐに空軍に指示を出したよ。ゾンビは水を嫌うという事が分かっているから、リオグランデ川の国境は問題なかろう。さすがに偵察位は行うつもりだがね。となるとリオグランデ川から逸れた直線部分の国境が課題になる。柵は設けてあるが、ゾンビの群れを食い止められるかどうかまでは分らんからな。ペンデルトンに指示を出して柵を越えるゾンビがいないかを調べさせている。だがこれも不定期に高頻度で行う必要があるだろうな。その上、万が一にも柵を越えられたなら対処する部隊がいないのも問題だ』


 本部長の悲壮な声を聞いて、マリアンさんがにんまりしているんだよなぁ。だから統合作戦本部から毛嫌いされているのだろう。


「さすがに対処部隊がいないという事では困るでしょうね。私もそこまでは考えいぇいたのですが、サミー君が面白いアイデアを出してくれたわ。各作戦部隊の指揮官を1度集めて調整したいと思うんだけど」


 マリアンさんの言葉に、沈み込んだ本部長の体がピンと伸びる。マイクを掴むと『本当だな? それで?』と問いかけてきた。


「もう1つの陸上艦隊を上手く使えば何とかなりそうね。でも2個中隊ほどの戦力増強は必要になるわ。新兵の訓練はしているんでしょうけど、次の新兵の派遣先を調整する前に新たな作戦を行う部隊の編成を行いたいわ」


『陸上艦隊だと? ……確かにあの荒れ地ではそうなるだろうな。ニューヨーク攻略に備えて機甲部隊を編制仲だ。その一部を転用することも可能だろう。マリアンの方に大きな動きが無ければ、すぐにこちらに来れないか? サミー君を連れてだぞ!』


「こちらはリッツがいるから問題は無いわよ。ダラスに向け数十万のゾンビが移動しているけど、迎撃策はすでに出来ているわ」


『さすがだと言っておこう。それでは待っているぞ。各作戦指揮官には直ぐに連絡する。他も今のところ大きな支障はないはずだから、早ければ2日後には会議を開けるはずだ』


 今度はドーバー行きか!

 シグさんにオルバンさん達に状況を連絡して貰おう。長くても1週間にはならないだろうし、俺達の任務はダラスに移動するゾンビの集団への砲撃だからなぁ。あの台船から動かない限り危機的状況にはならないはずだ。

                ・

                ・

                ・

 ブラックホークでヒューストンへ移動し、ヒューストンからホンダジェット機でドーバー市の海軍飛行場へ降り立つ。

 海軍基地内の海兵隊宿舎にシグさんと移動して、ここで会議の準備が始まるのを待つことにしたのだが、すぐに海兵隊中将から呼び出されてしまった。

 状況を知りたいという事なんだろう。シグさんと一緒に出頭すると海兵隊の重鎮だけでなく、統合作戦本部長まで会議室のテーブルに着いていた。

 少しは軍隊生活に慣れてきたから、ぎごちない敬礼をして将官達を前にしたテーブル席に着く。

 コーヒーが運ばれてくると、中将がコーヒーを一口飲んで俺に状況説明を求める。

 シグさんが俺に顔を向けて小さく頷くと、将官達を前に口を開いた。


「私がサイカ大尉に代わって状況を説明いたします。質疑応答はサイカ大尉が行いますのでご了承ください。最初に異変に気付いたのは陸上艦隊の指揮所でした……」


 広域偵察ドローンがダラスから伸びる州間高速道路を北上する大規模なゾンビの集団を発見した。距離は200km近く離れているがそのゾンビが移動元はサン・アントニオ市であること。その移動原因はサン・アントニオ市の南方にあるラレド市にメキシコ側から大規模なゾンビの攻勢が行われたことによるものと推測できること……。


 俺と違ってシグさんやレディさんは状況説明が上手く出来るんだよなぁ。隣で聞いていて感心してしまう。


「なるほど……。かつてサミー君が、メキシコ国境に留意するよう具申してくれていたのだが、それほど速く事態が動くとはなぁ。その為の対応策についての協議となるわけだ。当然対応部隊を作らねばならんが、マリアンの事だ。既に考えを持っているのだろうし、その対案を進言したのはサミー君ではないのか?」


「当初4つの作戦でしたが、現在は2つの作戦が追加されています。戦力不足はどこも同じでしょう。新たな部隊を作るだけの戦力は無いと推測します。とはいえ、2千kmを越えるメキシコ国境の監視と防衛部隊は北米大陸で行われている作戦の妨げどころ作戦そのものを瓦解されないとも限りません。その為にも、部隊創設は必要不可欠と推測する次第です。その部隊ですが、マリアンさんの指揮する陸上艦隊は来年早々までにはヒューストンへの道を開くことは確実です。その後は内陸の地方都市に巣食うゾンビの掃討となるのでしょうが、その役目をデンバーの部隊に任せるということは可能に思えます」


 本部長が渋い顔を崩してニヤリとした顔を浮かべているんだよなぁ。

 海兵隊中将が少し困った表情に変わっているのは、ウイル小父さんからの増援要請にどうこたえるかで迷っているに違いない。


「だがマリアン達の部隊で、2千kmを越える国境の防衛が出来るとは思えないのだが?」


 その問いに、しっかりと頷いたところで口を開く。


「旨い具合に国境の半分はリオグランデ川沿いに敷かれています。ゾンビは川を越えることがありません。その間に設けられた橋を全て破壊すれば、リオグランデ川沿いから離れてロサンゼルスまでの直線区間は1200kmほどです。さらに西のロサンゼルス近傍はペンデルトンに任せることが出来るなら、陸上艦隊の守備範囲は1千km程度でしょう。

 巡航速度が50kmほどの車両で構成したならその間を1日で踏破できます」


 うんうんと本部長が頷いているのは、マリアンさんとの事前会議で状況を知っているからだろうな。この場にいるのは海兵隊の反応を見るのが目的に思える。


「我等の南進速度が問われそうだな。だが時間を要しているとメキシコからゾンビが北上してくるのは厄介だ。国境近くのメキシコの都市を空爆することで少しは抑えられそうに思えるが?」


「空軍に指示を出したよ。偵察と爆撃の両方だ。とは言ってもB52が4機だからなぁ。都市爆撃でどれほど効果があるか、あまり期待はしない方が良いだろう」


 中将の問いに、本部長が即答してくれた。B52ならかなり効果があると思うんだけどなぁ。だけど4機と言うのがねぇ……。可動機が無いのかそれとも爆弾が枯渇してきたのかのどちらかだろう。


「現在ロサンゼルス攻略に向けて作戦が進行している。ロサンゼルスのゾンビはかなり削減しているかそれなりに南進が出来ているのだが、そこに南からゾンビがやってくるとなると面倒というか、作戦が瓦解しかねんぞ」


「航空母艦の戦力も使えるだろう。燃料が枯渇しているとは思えんが?」


「あまり頼りたくは無いのだが、ここは頭を下げるしかなさそうだな」


 軍内部の対立がまだ残っているのかな? ここはオールアメリカという事で対処していきたいところだけどなぁ。


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「ヘイ、オールメリケンボーイズ&ガールズ!アンタ達の敵は軍服を着ているのかい?それともゾンビと呼ばれている奇妙な奴らなのかい?頭を下げる必要なんてないだろう」 と言ってやれば妙なセクショナリズムなんて…
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