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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
756/808

H-756 一気にゾンビを倒すなら地雷が使えそうだ


 指揮所に戻ると、直ぐにジュリーさんがハンドセットを渡してくれた。

 息を調えながら電話のように持つと、先ずは自分の名を告げる。


『忙しいような事をシグが伝えてくれたけど、そっちにも何か異常があったのかしら?』

 

 シグさんが俺が指揮所を不在にしていた言訳をしてくれたらしい。さすがに釣りをしていましたとは言えないから、マリアンさんの素朴な質問を聞き流して、用件を聞いてみた。


『州間高速道路35号線沿いに南下していた広域偵察ドローンが新たなゾンビの集団を見つけたの。位置はオースティン市南方15kmだから、テンプル市まで120kmと言うところね。次の集団がこれほど早く来るとは思わなかったわ。それに集団規模が50万体を超えているの』


 送って来た画像をジュリーさんがモニターに映してくれた。

 夜だからスターライトスコープで撮影したモノトーンの画像だけれど、高速道路の車線をはみ出す程の群れがずっと続いている。

 これと同じような群れを見たのはソルトレイク、ラスベガスそれにロサンゼルス辺りだな。3つの都市ともに都市のゾンビが一斉に移動した時だ。


「サン・アントニオ市からの大移動という事になるんでしょうね。その原因を考えてしまうところですが、それは後でも良いでしょう。先ずは爆撃を繰り返すことで集団の規模を縮小させるべきです」


『それが一番でしょうね。明日早朝に砲弾を送るわ。道路を破壊しても構わないから、集団を叩いて頂戴!』


「了解しました。ところでサン・アントニオ市にジャックを何個か仕掛けることが可能でしょうか? それでサン・アントニオ市に残ったゾンビを推定できそうです。さらに、フェニックス市の状況も気になるところです。あちらはペガサス型のドローンが状況を見てはいますけど、あれは地上監察のみですから」


『サン・アントニオ市に手を出したのがフェニックス市という事かしら? それは私の方で確認しましょう。フェニックスはペンデルトンが継続監察しているはずだから、そっちから情報が入るかもしれないわね。それ以外に確認したほうが良い場所はあるかしら?』


 強いて言えばヒューストンだけど、今でもクロード大佐が叩いているからなぁ。それに俺達がヒューストンにいた時に、ヒューストンから南進して行った群れがあったぐらいだ。ダラスに向かって北上する群れを作るだけのゾンビは残っていないだろう。

 となると……。


「マリアンさん。極めて可能性は低い能力ですが、メキシコとの国境が破られた可能性があるかもしれません」


『メキシコのゾンビが北上したという事? かつての不法入国ルートもあるし、いくつか大きな都市が川を挟んで作られているわ。リオグランデ川河口付近の都市はかなり大きいわよ。でもあの橋は封鎖してあるはずだけど……』


 破壊ではなく封鎖したということか。となれば少し可能性が高くなるな。

 メキシコのゾンビが南に向かってくれれば良いのだが、目の前に大都市があるなら北上するに違いない。

 待てよ……。まさかなぁ……。

 さすがに今話すのは止そう。少なくとも確認は必要だろう。


「それでは、俺達はこのまま作戦を遂行すればよりしいという事ですね?」


『こっちに来てくれると助かるんだけどなぁ。シグを連れていらっしゃい。ドーナッツを作って待っているわ』


 思わずシグさんと顔を見合わせてしまった。

 やれやれと言う感じで首を振っている。シグさんもマリアンさんは苦手なのかな?


「この位置ならゾンビに襲われる心配は無い。ジュリー、すぐにオルバンとエニーを呼んでくれ。2人にこの部隊を託さねばならん」


「砲撃だけだからなぁ。今度はあのドラム缶を相手に出来そうだから、私達もやることが沢山ありそうね」


 砲弾だけでなく、短距離ロケットや迫撃砲弾も沢山持ってきてくれるだろう。

 バッテリーや砲弾の再装填でオルバンさん達も苦労するんじゃないかな。


 やって来た2人に、再度広域偵察ドローンから撮影した映像を見せる。

 やはり2人とも、驚いているんだよなぁ。

 この間やって来たばかりだからね。


「少なくとも数倍の規模になりますね。今度は連続砲撃で対応するしかなさそうです」


「ハンタードローンも使えるでしょう。さすがに長時間の連続砲撃は砲身が持ちません」


「オルバンとエニーで調整して欲しい。私とサミーは本隊に移動だ。サミーの斜め向こうのアイデアが欲しいのだろう」


 それなら仕方がない、と言う顔をしているんだよなぁ。だけどずっと俺達と一緒に戦っているオルバンさんは、この部隊の指揮ぐらいは容易に出来るだけの技量を持っているんだよなぁ。いつまで俺達と一緒にいられるのかと、たまに心配になるほどだ。


「砲撃範囲に入るまでにかなり爆撃が行われますから、砲撃範囲に入ってくるゾンビの数はかなり減るでしょう。とはいえ半減することは出来ないでしょうね」


「最終的にはダラスのゾンビに委ねることになるだろうが、そうなるとダラス南部にダラス中のゾンビが集中しかねない。その後を叩くとなるとダラスを今年中に越えられるか分からなくなりそうだ」


 迂回するということも考えられるんだが、そうなると俺達の後を追い掛けてきそうだからなぁ。やはりダラスのゾンビを他の地域に移動しない程度に間引く必要がありそうだ。

               ・

               ・

               ・

 翌朝。砲弾を運搬してきたブラックホークに乗り込んで本隊に向かう。

 本隊の指揮所に入ると笑みを浮かべたマリアンさんが出迎えてくれたんだが、その隣にいたリッツ中佐は目にクマが浮かんでいる。あれからずっと対応策を考えていたのかな?


「A-10とコイン機が交互に爆撃をしているわ。それでも目に見える程に減らないのよねぇ……」


 マリアンさんの言葉に、リッツさんがどちらも2機ずつ出撃していると教えてくれた。A-10はMk81と呼ばれる120㎏の爆弾を4発とナパーム弾2発を落としているそうだ。コイン機は手製の爆弾と言っていたから、火薬を詰めたパイプ爆弾の導火線に火を点けて落としているのだろう。あれも結構威力があるからね。ゾンビの群れに沿って落として行くんだからそれなりの効果はあるだろう。

 だけどゾンビの数が尋常ではないからなぁ。焼け石に水という状態なのだろう。


「全く困ってしまうわ。サンディの推測では40万体を越えているとのことだけど、すでに5階爆撃しているにも関わらず群れの大きさに変化が無いんだから」


 そんな事を呟いているマリアンさんは全然困った顔をしていないんだよなぁ。困った顔をしているのはリッツさんとマリアンさんの副官のリンダさんだけだ。


「それでサミー君には、何かアイデアは無いのかしら?」


「急には出てきませんよ。でも距離が未だ離れていますから、地上での対応は可能でしょう。とはいっても、周辺状況はあまり良いとは言えません。直ぐに出来てそれなりの効果が期待出来るとなれば、地雷という選択が出来そうです。でも通常の地雷ではありませんよ。爆弾を道路に沿って1kmほどに並べて同時爆発をさせるなら、その区間のゾンビを倒せると思うんですが……」


 俺の言葉亜が終わると同時にマリアンさんがリッツさんに顔を向ける。驚いたような顔をしていたリッツさんがマリアンさんの視線に気付くと、しっかりとマリアンさんに視線を向けて大きく頷いた。


「その考えはありませんでした。地雷と言えば対人地雷もしくは対戦車地雷が頭に浮かびますからね。サミー大尉のアイデアならば砲弾や爆薬が使えますし、同時爆発は無線で信管を作動させることで対応可能です。1kmという事でしたが、地雷原を長くする、さらに距離を置いて別の地雷原を作る等でゾンビの数を劇的に削減できるでしょう。現状の資材で足りなければダンバー、ヒューストンから調達します。それでは、失礼します!」


 一気に話をすると、直ぐに席を立って指揮所を出て行った。

 俺とシグさんが唖然として見送っているのを見てマリアンさん達が笑いを漏らしているんだよなぁ……。


「やはり呼んで正解という事ね。後はリッツに任せておけばしっかりと作戦と資材の調達が出来るでしょう。2日で作戦が実行できそうね」


「とはいえ全滅させることなど不可能です。それまでは現状の爆撃を継続しませんと」


「もちろんよ。でも、他の部隊に全てを任せるというのはねぇ……」


 マリアンさんの矜持が許さないということかな?

 まぁ、俺だって他人まかせにしたくはないけどね。


 俺達に可能な対処法が出来そうだということで、次は急なゾンビの移動何故起こったのかが話題に上がる。

 でもその前に、ということでマリアンさん特製のドーナッツがさらに山盛りになって出てきたんだよね。

 俺好みのコーヒーと一緒に頂くドーナッツは格別だ。この味をしっかりとレディさんに教えておいて欲しいんだけどなぁ……。


「私が今まで見た中で一番の甘党だ。少しは遠慮をするものだぞ」


「そうは言っても、レーションばかりでしたからね。チョコは自前で持ってきましたけど、だいぶ少なくなってきたのでこの頃控えているんです。そこにこのドーナッツでしょう? やはり『甘い』は正義だと思いますよ」


 こればっかりはねぇ……。出来れば 皿の上のドーナッツを全て頂きたいところだけど、俺にだって少しは遠慮があるから、3個食べたところで我慢しているんだけどなぁ。


「沢山作ったから、全部食べても良いわよ。それでね……。ペンデルトンの話では、フェニックスに大きな動きは無いということなんだけど」


 急に現実的な話になったから、食べていたドーナッツが気管支に少し入ってしまったようだ。咳き込む俺を見てシグさんが背中を叩いてくれたんだが、トントンではなくドンドンなんだよなぁ。叩かれる度に息が詰まってしまう。

 どうにか息を調えて、コーヒーを飲む。大きく深呼吸をしたところでマリアンさんに顔を向けた。


「もう1つお願いしたと思うんですが……」


「まだ情報が入って来ないんだけど、もう直ぐ届くでしょう。でも、もしそうならばノーススター作戦全体が大きな影響を受けることになるわ」


「規模に寄るかと。とはいもしそうであるなら、今ダラスに移動しているゾンビの数を超える集団となりそうです。少なくとも旅団規模の部隊が必要になるでしょうね」


「急にそんな部隊は作れないでしょうね。統合作戦本部が悩み事になりそうだわ」


 そうかなぁ? 案外容易に思えてしまうんだよなぁ。そもそもマリアンさん指揮下のこの陸上艦隊は大隊規模だからね。2個中隊程の増員を行えば、小さな旅団になりそうなんだけどなぁ。


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旅団より小さくて大隊より大きいなら連隊と呼べば良いかと。
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