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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-751 14号線を大集団が東進してくる


 ベルトン湖に浮かべた台船に移動してから数日が過ぎた。

 エニーさん達は、毎日数回の砲撃を行って、東の市街地を破壊している。ジュリーさん達は昼と夜にジャックを仕掛け、エディ達が釣り上げた魚の運び先を見つけては迫撃砲で建物の破壊を継続している。

 だが、相変わらず大きな枢要区域が見つからないんだよね。小さな建物ばかりだ。

 それでも建物から出てくる統率型を見つけては爆殺してくれているから、この町のゾンビの数はかなり減っているんじゃないかな。

 現に昨晩仕掛けたジャックに集まって来たゾンビの数は30体にも満たなかったぐらいだ。


「これなら歩兵を投入して一気に町のゾンビを駆逐するのも容易だろう。だが、周辺の状況を見る限りそれは出来んだろうな」


「大都市と高速道路で繋がっていますからね。町のゾンビを全て駆逐したとしても半年も経たずにゾンビの数が元に戻るような気がします。少なくともダラスの攻略が出来ていないと、町のゾンビを駆逐するのは無意味ですよ」


 俺の言葉にシグさんが渋い表情で頷いている。

 ゾンビは道路を使って大移動をするからなぁ。高速道路はゾンビにとっても良い移動経路に違いない。

 

「ところで、何を見ているのだ?」


 俺がずっとノートパソコンを眺めていたのが気になったのかな?


「これですか? オットーさんが製作した無人地帯専用ドローンです。移動速度はたいしてないんですけど踏破性能は優れていますし、少し武装もあるんですよ」


 パソコンの画面をシグさんに向けると、すぐに手元に引き寄せて画像と仕様を確認しているようだ。

 何度も頷いているところを見ると、ドローンの目的が利化できたのかな?


「これはあまりにも武装が貧弱に思えるぞ。それに1度使ったなら再装填が難しく思えるのだが?」


「そもそもゾンビがほとんどいないと想定される場所で活躍して貰うドローンですからね。それで十分だと思いますし、武装はユニット交換が可能ですから、撃ち尽くしたならヘリを使って再セットに向かえば問題は無いでしょう。それに、その武器を使う機会があることがあったなら一大事ですからね」


 首を傾げているシグさんに、ドローンの目的を説明する。

 やはり理解は出来ていなかったんだろう。俺の話を聞いて目を丸くしてるんだからなぁ。


「ゾンビの進化の方向が、必ずしも現在の状況とは限らないという事か!」


「ゾンビの正体はメデューサですよ。クラゲの遺伝子を元に、いろんな動物や植物の遺伝子を組み込んだキメラです。それで生命活動を始めたんですから、神の領域を汚した人類最大の悪行という事になるんでしょう。世界が滅びるのも無理はありません。そんな生命体ですから進化の方向性が定まらないんです。俺達は俺達に敵対活動をしているゾンビにだけ目が向いていますけど、動物的な進化ではなく植物的な進化を遂げたゾンビがいないとも限りません。もしそんなゾンビがいるのであれば、動物を狩ることが出来ないような場所になるだろうと、そのドローンを使ってロッキーの砂漠地帯を探して貰うつもりです」


 俺の話を聞いてシグさんが溜息を漏らす。


「全く、兵士と言うより学者の考えだな。サミーは生物学研究所の上級研究員の資格を持っている理解できる。そんな疑問を疑問だけで留めず行動に移すのだからなぁ。オリーと気が合うのも理解できる。だが、本当にいるのだろうか?」


「それが分からないから確認してみるんです。俺はいるんじゃないかと思っていますよ。でも通常の植物ではないと思います」


 どんな植物だと聞いてくるから大きな食虫植物だと答えると、それまで俺達の話をジッと聞いていたジュリーさんまでが驚いた声を上げる始末だ。


「そんな怪物がいるの? 映画でそんな植物の怪物を見たことがあるけど」


「その映画なら俺も見ましたよ。俺もそんな形態を想像してるんです」


 どんな怪物だと、シグさんがジュリーさんに尋ねると、すぐにパソコンで検索してシグさんに見せているんだよね。

 俺達のパソコンは軍のネットワークで繋がっているんだけど、軍のライブラリーにその映画の紹介があったことに驚いた。


「なるほど……。面白そうな映画だから、雑貨屋でDVDを探してみるか」


「ペンデルトンに頼めば基地のライブラリーにあるんじゃないかな。娯楽用に沢山DVDを集めているはずだから」


 映画1本分をファイルとして送ってもらうという事かな? それなら、エディ達の退屈しのぎに他の映画も送って貰った方が良いかもしれない。プロジェクターはデンバー空港のお店にたくさんあったし、100インチクラスの組み立て式スクリーンもあった気がする。

 ジュリーさんにそんな話をすると、すぐに頷いてくれた。

 士気を高めるという目的なら、ウイル小父さんだって協力してくれるに違いない。


 2日程経過すると、砲弾と一緒にプロジェクターと簡易スクリーンが届いた。ジュリーさんが皆から見たい映画の希望を聞いてペンデルトンから映画を取り寄せてくれたので、昨夜から映画の鑑賞が出来るようになった。

 一番最初の上映が、シグさんの希望していた肉食植物の怪物映画だ。

 ジッと無言で見ていたんだよなぁ。俺は映画よりもシグさんの表情の方に目が向いていたんだよね。


 22時過ぎに上映が終わり、シグさんが指揮所に戻って来た。

 俺は何度も見た映画だから途中から釣りをしていたんだけど、今夜の魚はお休みみたいで全く当たりが無いんだよね。

 諦めて指揮所で一服していたところだ。


「なるほど、サミーが危惧するゾンビが理解できた。さすがにあのように簡単に倒せるとは思えんが対処方は考えているのだろうな」


「植物なら焼き払うのが一番でしょう。あのドローンの武装は火炎放射器と焼夷ロケット弾です。根まで何とかしたいところなんですが、それは焼き払った後で、マジックハンドを使えば掘り起こせるかもしれません」


「なるほど、少し変わった武装はそういう理由だったのか。だが、出来ればあんな姿で現れて欲しくはないな」


 シグさんの言葉に、しっかりと頷いた。

 俺だって遭遇したいとは思わないからね。単なる植物に進化してくれたなら問題は無いんだが、メデューサの進化は通常の進化ではないからなぁ。環境条件に合わせてどんどん変異していくだろうから、しっかりと根を張ってその場に留まることは無いように思える。


「とりあえず探して貰うつもりですが、必ずしもそんな存在がいるというわけではないですからね」


「サミーの考え過ぎと笑いたいところだが、戦場ではどんなことだって起こるものだ。案外サミーは良い指揮官になれるかもしれないな」


 シグさんの言葉に慌てて首を振った。

 そんな事になったら、何時までも軍に留まることになりそうだ。

 早めに大統領から牧場を頂いて、のんびりと家畜の世話をしながら過ごしたんだけどなぁ。

                ・

                ・

                ・

 その夜の事だった。突然の通信機の呼び出し音に跳び起きると、直ぐにヘッドセットを点けて用向きを尋ねる。

 相手はリッツさんだった。どうやらここに居る本来の役割が出てきたようだ。


『14号線の起点となるジャンクションが、そこから西に45km程にある。かなり大きなゾンビの群れが東進中だ』


「地図で位置を確認しました。かなり大きいというと、3万体程でしょうか?」


『いや、それ以上だ。サンディ嬢は、推測で5万と報告してくれたよ』


 5kmほど長さで高速道路を東進しているということだな。さすがにベルトン市の南にある35号線を南下するとは思えないから、群れの向かう先はダラスに違いない。


「それでは予定通りに砲撃で数を減らします。ゾンビが進軍する35号線5kmの区間を砲撃できますから、かなりの数を減らせるでしょう。統率狩りと戦士狩りも合わせて実施します」


『頼んだぞ。状況は逐次知らせてくれ。以上だ!』


 時計を見ると、3時を過ぎたところだ。

 真夜中も良いところだな。今起こすより普段通りに目が攻めるまで待つことにしよう。

 45km先なら、少なくとも砲撃開始は12時間後だろうからね。明日の昼過ぎの砲撃なら、ゆっくりと眠らせてあげよう。


 だけど俺が寝ているかもしれないからなぁ。簡単なメモを書いてテーブルに乗せておいた。指揮所にやって来たシグさんもしくはジュリーさんがメモを読んだら、直ぐに起こしてくれるだろう。

 出来上がったメモをテーブルの上に置いて、どこかに飛んでいかないように灰皿を乗せておいた。

 再びブランケットに潜り込み、目を閉じる……。


 コツン! と頭を叩かれて目が覚めた。

 直ぐ傍にシグさんの顔があるんだけど、ニヤリと笑みを浮かべているんだよなぁ。その表情が御祖父さんの実家にいた飼い猫のタマに似ているんだよね。正しく肉食獣の微笑みという感じがしてならない。


「起きたか? これを読んで直ぐに広域偵察ドローンの画像で確認したぞ。いよいよ出番ということになる」


「35号線を北上するでしょうから、長く砲撃を続けられるでしょう。でも、まだ8時ですよ」


 まだまだ時間はたっぷりとあるんだからなぁ。

 ジュリーさんから、コーヒーの入ったシェラカップを受け取り、とりあえずコーヒーの苦味でぼんやりした頭を何とかしよう。


「時間はあるだろうが、準備は早めに越したことはない。さすがに今すぐにとは言わずに、朝食をとってからだとエニーには伝えてある。オルバン達は直ぐに準備を始めたから、とりあえず魚を10匹釣り上げておくように言っておいたぞ」


 ジャックは使うかなぁ? まぁ、釣れたなら日干しを作って貰っても良いだろう。少しは保存も効くんじゃないかな。


「サンディの推測では5万体だそうです。出来れば半減したいところですね。最初は一か所に集中させずに広範囲に着弾するように指示してくれませんか。集団がばらければ集団を作るゾンビの種類が少しは分かるでしょう」


「了解だ。となると、またジュリー達の出番がありそうだな。何時でもバッテリーとユニットの交換が出来るように、オルバン達に伝えておこう」


 大砲を持った戦士型や自爆ゾンビもいるだろうからな。エニーさん達以上にジュリーさん達も忙しくなりそうだ。


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― 新着の感想 ―
あの映画、もしかして最後海水をかけて退治する映画ですか? 原作を読んだ事があったので、最後は拍子向けしてしまいました。
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