VS.厨二病③
「あんだテメェ今なんつった!? ドワーフさんをジジイ呼ぼわりするなら俺らが黙っちゃねーぞ!」
そーだそーだ! と荒々しい雄たけびを上げたのはその気性の粗さを目に宿した、派手な服装の男たち――なぜかドワーフさんを尊敬する様子を見せ、相変わらずカミラには熱い視線を送っている堕流救世主の皆さんだ。
……ん? ちょっと待って。カミラはともかくなんで堕流救世主の人たちとドワーフさんがお知り合いなの? なんか接点あったっけ? まさか「友達の友達は親友だぜ!」みたいなよくある話なんじゃ……
「ドワーフスマホの連絡先から知り合ったんじゃが、バイクの話になったら非常に盛り上がってのう。そこで『不正改造』と言われないギリギリな感じをチョップするバイクカスタムをしてやったら、なんだかものすごく感謝されたのじゃ」
「いや本気ドワーフさんはスゲーですから! 俺らの中の神! ドワーフさん最強! 最強さんです!」
結構ちゃんとした理由があった。
人の輪はどこで繋がるものかわからないなぁ……なんて思っていると堕流救世主の頭が黒服の少年少女たちに「ゴルァ!」と凄んでみせる。この時点で、異世界からの勇者たちは既に涙目だ。強がってみせても、堕流救世主の人たちみたいに本気の人間ではないのだろう(なったらなったで問題な気もするが)。
カミラやヴァルキリー様を追い詰めていた威勢はどこへやら、おろおろとする少年少女たちに堕流救世主のリーダーは意外に落ち着いた様子で口を開く。
「テメェらイキがってっけど本気の喧嘩やったことねぇだろ。その姿見てたらわかるぜ。悪いことは言わねぇ、自分を貫く覚悟がねーんなら強がんのはやめな。じゃねーと、痛い目見るぜ」
言いながら堕流救世主の総長は袖をまくり、自分の腕を見せる。そこには火傷や打撲、刃物で切り付けられたらしい傷跡がいっぱいあって……息を飲む異世界の勇者たちと、私にドワーフさんが「その通りじゃ」と話を受け継ぐ。
「中途半端な力を振りかざすと、自分も周りも不幸になる。ワシは匠として最高の創造力があるが、それを上手く使えるかどうかは常に使い手へ委ねることしかできんのじゃ。若い少年少女諸君、君たちにはまだまだ伸びしろのある力がある。じゃが、それを見誤ってこんなところで振りかざすようじゃいかんぞ。背伸びしたい気持ちはわかるが、現実と自分から目を背けてはいけんからな」
それだけ言うとドワーフさんはヴァルキリー様に向かって、目で合図してみせる。ヴァルキリー様はすぐ、言わんとしたことがわかったのだろう。魔法円に力が流し込まれると、黒い服を着た少年少女たちの姿が消える。
そうして、先ほどまでの騒々しさはあっという間に消え去り――神殿には私とカミラ、それからヴァルキリー様。そして堕流救世主を引き連れたドワーフさんだけが残った。




