2-(11) スキンヘッドの男
「失敗しただと?!」
学園都市内部、とある廃工場に怒声か轟いていた。
怒鳴っているのは高級スーツに身を包んだ男、魔法否定派のボスである。
今日もシルバーグレイのスーツを隙一つ無く着こなしたボスは、真っ白な手袋に包まれた手を苛立たしそうに組む。そんなボスの様子に取り巻きの側近達が非常に居心地悪そうに身動きしている。
「あの小娘の得意魔法は拘束系統だけで、攻撃魔法には向いていなかったはずだが?」
「それが、援護に入った者達がいた様で」
「援護だと?」
「はい。学園の高等部生徒会と、特待生監督教師が我々の行動を読んでいたようです」
「忌々しい」
小鳥遊優の始末を命じていた側近の言い訳をばっさり切り捨て、ボスは今にも土下座せんばかりの側近を尻目に、他の部下を呼ぶ。
「泰蔵、誰を使ってもいい、相手の情報源を探り抹殺しろ。もちろん、あの小娘もだ」
「了解」
泰蔵と呼ばれたその部下は、白い歯を光らせて笑う。
任務に失敗し、今まさにボスの目の前に立たされていた男は戦慄した。
泰蔵はボスのお気に入りだ。そこらの魔法師が及ばないほどの魔力を持ち、その圧倒的な出力に物を言わせて戦場を蹂躙する。普段はスキンヘッドの頭を撫でながら笑っているような穏やかな男だが、いったん牙をむくと任務を達成するまで止まることは無いやっかいな男でもある。
男はボスの前から逃げるように退き、これから泰蔵に狙われるであろう者達に手を合わせた。
◆ ◇ ◆ ◇
「瑠那、明日は学校に登校しなよ」
晩餐の席でいきなりそう言い出した大和兄に首をかしげる。
「なんで?」
「なんでって瑠那、入学してから片手の指で足るほどしか学校に行ってないでしょう。もう少し外に出ようとしなよ」
えー、ヤダー。
内心を顔にこれでもかと言うほど出すと、大和兄は苦笑したけど譲ってくれるつもりも無い様で、「じゃぁ、明日迎えに来るから」とのたまった。
大和兄の馬鹿。
とりあえず、明日登校することは確定のようだ。
新たな敵登場。泰蔵さんです。
仲良くしてやってください。




