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傍観の人形使いと攻略対象の彼ら  作者: 朝霧波斗夜
第2章 黄昏の悪魔
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2-(9) 見え始めた敵の影 side三海

三海くん視点。

 「……分かった」


 少し離れた所で、大和先輩が電話しているのを聞く。相手は巷で噂の情報屋、『血塗れた人形使いブラッディ・マリオネット』。


 誰も姿を見たことがないから『幻影』等と呼ばれている彼女だが、実際は同い年の少女だと知ったのは、つい最近の事だ。

 櫛灘瑠那。毛先が少しだけ巻かれた黒の髪に、左右で濃さの違う紫の瞳が可愛い女の子。生まれつき右足に障害を持っているため普段は杖か車椅子を使用していて、目の色が左右で違うのも、小さい時に交通事故で右目の視力を失ったかららしい。


 右目も右足も不自由だと生き辛いんじゃないかと思うが、彼女自身そんな事はまったく思っていないようで、若干引きこもりの気があるが、至って普通の美少女だ。あれ、美少女は普通じゃないんだっけ?まぁ、いっか。



 そんな彼女がブラッディ・マリオネットの正体で、彼女はつい昨日大和先輩を素気無く突き放したらしい。先輩によるとこういう事は過去に何回かあったらしく、決まって先輩が彼女のもたらす情報に無意識に甘えてしまった時に発動するのだとか。幼馴染でも容赦なく突き放すのは、他人に利用されない為の、彼女の処世術の一つだそうだ。


 そんな訳で反省した僕たちは、自分たちで集めたものや今までに彼女に聞いた情報をまとめて話し合いをする事にしたのだけど、その最中に届いたのが『不審な動きをする生徒がいる』という通報だった。

 何かの手がかりか?と睨んで生徒会全員で現場に直行し、犯人を捕まえて問答無用で尋問をかまし、やっと出てきたのが『魔法否定派』の言葉。そしてその途中に出てきた、おそらく犯人にとっても無意識に出た『小鳥遊優』という名前に会長が反応した。

 会長によると、1年A組に同姓同名の女子生徒がいるようで、会長の「もしかしてあの子も関係者?」的な発言を受けて、大和先輩が今確認の電話を掛けている。


 「あれ?話し終わりました、先輩」


 端末を胸ポケットに仕舞いつつ近づいてきた先輩に声を掛ける。てか、そんな仕草も無駄にかっこいいよね、ここの先輩たち。


 「瑠那に裏を取った。小鳥遊優は灰色だ」

 「は?灰色ですか?」

 「瑠那に言わせると限りなく黒に近い灰色だとか」

 「はぁ」


 良く分からない解答に首を捻る。大和先輩は苦笑して続きを話してくれた。


 「小鳥遊優は脳死判定をされた妹の入院費と引き換えに、組織に入っているらしい。それで、これが問題なんだが。彼女は近頃、組織に対して反発的な態度をとっているらしくてね」

 「それって危ないんじゃないですか?ほら、その子の命とか」


 反発的な態度をとって組織に不要と言われ、命を狙われることなんか裏の世界の常識だ。否定派のボスが短気かどうかなんて知らないけど、少なくとも命令に従わない可能性のある部下を生かしては置かないだろう。

 そこの所をちょっと聞いてみると、大和先輩は少し厄介そうに頷く。


 「実際、彼女は命を狙われている。襲われる時刻は黄昏で、瑠那の予想だと、おそらく彼女は『黄昏の悪魔』事件初めての生身の被害者になるだろうって」

 「やばいじゃないですか、それって!」


 苦々しく頷いた先輩はすぐに会長と副会長にも話を通して、その『小鳥遊優』って子を監視するように手配した。僕たちもくっ付いていたいところだけど、「子供の本分は勉強」という古い言葉で諭されて、おとなしく授業に戻される。

 僕達の代わりの監視員は千葉先生っていって、学園のOBであり特待生の監督教師だ。先生は近接戦闘クロスクォーターコンバットの使い手であるため、護衛などの『守る』仕事は比較的得意なのだそうだ。




 そして夕方、学校の終わった僕達も千葉先生に合流して守りを固める。

 護衛対象の小鳥遊優という女生徒は、可愛いというより綺麗って言葉が当てはまる美少女だった。少し幅広のカチューシャに、長い黒髪。同じく漆黒の瞳は容姿に似合わず好奇心旺盛で、本人の明るい気質を映してか、心なしかキラキラと輝いている。こんな子が犯罪組織に関わっているなんて、と思うような真っ直ぐそうな少女だ。


 静かでどこかミステリアスな雰囲気を持つ櫛灘さんとは正反対だなぁ。とか思っていると、小鳥遊さんが人通りのなさそうな道に入った途端、彼女に数人の男達が襲いかかった。


 「きゃぁぁっ?!」


 悲鳴を上げる護衛対象に、智也先輩と駆け寄る。「何です、あなた達は?!」という驚くような声が後ろから聞こえたけど、緊急事態だから無視をした。

 補助魔法が得意な智也先輩が結界を張り、その後ろで僕が、結界が破られた時に備えて構える。


 この配置(ポジション)は、授業中に先生の目をかいくぐって密かに打ち合わせをしたもので、他の先輩たちも各々が決められた役割を果たしていく。

 僕と智也先輩は後衛および小鳥遊さんの護衛で、会長と大和先輩、千葉先生の3人が前衛として襲撃者を“狩る”。


 3人は襲撃者を三角形に囲むように立ち、大和先輩がお得意のマインドコントロールで誘導、それを後の2人が倒していく。背後関係を聞き出すために殺しはしないと決めていたので、会長はいつも腰に下げている刀で峰打ち、千葉先生は手刀で相手の意識を刈り取っていた。


 少々過激な手段で強制的に意識を失ってもらったお兄さん(・・・・)たちは、僕たちが構えを解いた後に現れた櫛灘さんの手の者に引き取ってもらう。前に櫛灘さんの車椅子を押していた男の子が、尋問に掛けて何かを情報を吐いたら教えてくれると約束してくれたので、ひとまず安心だ。


 僕たちは混乱のためか、さっきから何かを喚いている小鳥遊さんを「事情を説明するから」と言って生徒会室に連れて行った。



 さぁ、これで敵が見え始めた。これからは気を引き締めて、いかに効率良く敵を叩くか考えよう。

 投稿直後に見てくれた人はこんばんわ。次の日の朝に見てくれた人はおはようございます。昼に見てくれた人はこんにちは。波斗夜でーすっ!


 ……すみません。暑さに負けてテンションが振り切れてました。わざとじゃないんです。お願いだから、そんな冷めた目で見ないで。


 うぅ、改めまして波斗夜です。

 今回の話は三海くん視点。三海くんは今のところ瑠那にそれほど興味を持っているわけではないようです。どちらかと言うと志斗の方に興味を持ってそう。

 ヒロインは無事に助けられ、仲間に襲われて敵に助けられるという事態にパニックを起こしております。美人なのに落ち着きがない;


 さて、次回ですが。

 今の所の予定としては、瑠那の尋問コーナーと生徒会ズの説明会なんてのを考えています。お楽しみに。



 最後に、短編のリクエストは2章終了まで受け付けていますので、ぜひぜひ読者の意見を聞かせてください!

 『性転換』でも『パラレル』でもいいですよ。作品の設定ぶち壊しなネタでも私は構いません。ただできれば、ちょっと詳し目に、お馬鹿な作者の理解できる範囲の説明を簡単にでも良いので書き添えてもらえたらなと思います。



 ドジ……じゃなかった。(←まじでタイピングミスしまして、面白いからそのまま載せてみました)

 誤字・脱字・感想 お待ちしてます。

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