1-(14) 資料と危惧と事件と
しばらく後、私は大和兄とご飯を食べていた。
食後のお茶の時に、机の上に紙の束を置く。
「何だい?これ……」
「山田太郎の資料」
「早いね、もう調べ終わっていたのか。……情報料はいつも通り?」
「うん。美味しいケーキでも買ってきて」
大和兄からの質問を、甘い物好きな私のために夢路が作ってくれたお茶請けのショートブレッドを食べながら答える。
本来は情報料としてそれなりのお金を貰うところだが、大和兄は幼馴染という事もあってケーキでオッケーなのだ。それに大和兄の買ってくるお菓子は、どれも私好みのものばかりでとても嬉しい。
「大和兄、ちょっと気をつけたほうがいいよ」
紙をめくっている大和兄に言う。
「気をつける?」
「たぶんさぁ、山田太郎ごときを捕まえるくらいなら大丈夫だとは思うけど。……奴ら、魔法否定派と繋がっていたような跡があるんだよね」
「魔法否定派?!」
「そう、ここんところ全然姿を見せないと思ったらさ、あいつ等学生を引き込もうとしているらしいよ?どうせ蜥蜴の尻尾切りなんだろうけど、何が起こらないともいえないしね」
魔法否定派とは、読んで字のごとく魔法を否定している組織のことをさす。魔法師との給料の差額とかを気にする、いわば魔法の才能を持たない者達のやっかみのようなものだ。厄介なのは、その魔法否定派の中に、まだ自己責任を取れないような魔法師の卵が紛れ込んでいる事だろうか。
彼らは学生を脅迫したり、騙したりして自分達に従わせる。騙されているだけならばこちらも対処は楽なのだが、中には薬によって自己判断能力が欠如している者もいる。そういう人間は強制的に保護するか、抵抗する場合やこちらに甚大な被害を与えると判断された場合は殺す事が義務になっていたりするのだ。
魔法という異能が、使い方を誤れば強力な兵器にもなるということの典型でもある。
食事を終えた大和兄が帰るのを見送った後、私は自室に戻りヒロインについて調べてみる事にした。
◆ ◇ ◆ ◇
後で聞いた話だが、大和兄達生徒会は、特に妨害される事も無く山田太郎たちを捕まえるというか退学させる事が出来たらしい。
そして1週間がたったある日、事件は起こる。
第1章はこれで終わりです。次回第2章開幕。
プロットなしの見切り発車でどれだけいけるか分かりませんが、作者は文章を書き始めれば何とかなる類の人種なのでご安心ください。余程のことが無い限り書き続ける気でいます。
夏休みですので、なるべく早い更新を目指していたりいなかったり。
どうぞこれからもよろしく。
誤字・脱字・感想 お待ちしています。




