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屍者の国  作者: ふるか162号
1章 魔王城再建
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5話 犬の狂人 カサドール


 カサドールと呼ばれた犬人……。

 こいつの見た目と威圧感、とてもじゃないが犬人には見えない。こいつは本当に犬人なのか? 


 俺が知る限りなのだが、犬人の平均伸長は一メートルくらいで、大きくても百二十センチくらいだ。しかし、目の前にいるカサドールと呼ばれた犬人は、人間である俺よりも大きい。

 筋肉も肥大化しているので、何かの強化魔法でも使っているのか? とも思ったが、カサドールから特別な魔力を感じない。


「か、カサドール様が何故コボルトの巣にいるのですか!!」

「答えてやる必要性を感じぬな。ただ一つ、コボルト共はわしの命令を聞くとだけ言っておこうか」


 やはり、こいつがコボルトを操っていたのか。

 しかし、どういった方法で魔物を操っていたんだ?

 その辺りも詳しく聞く必要がありそうだな。

 俺はあのカサドールという犬人のことをよく知らない。ノービスなら知っているだろうか?


「ノービス。アイツはどういった犬人なんだ?」

「はい。あの方はカサドール様。長老であるペロドール様の弟様です。あの勇ましい姿で力もあったので、族長候補に選ばれていたのですが、粗暴の悪さから逆に追放されたのです」


 成る程ね。

 要するに、自分の普段の行いの結果が、今の自分を作ったということに気付いていない愚か者なのか。


「で? アイツにはコボルトを操る力があったのか?」

「いえ、あの方は身体能力もそうですが、犬人の特別な力を身体の強化に使われているので、そのような力は持っていなかったはずです」


 ノービスの奴、随分と詳しいんだな。

 どのみち、こいつにはコボルトをどうやって操っているか、口を割らせるために生かしておく必要があるな。


「で? その族長崩れがなんだってコボルトを使役しているんだ? コボルトなど低級の魔物だ。それを使ってお山の大将にでもなったつもりだったか?」


 俺は、カサドールの意識をこちらに向ける為に、わざとらしい挑発をする。


「人間か。人間が犬人の問題に口を出すな。喰い殺すぞ?」

「へぇ、出来るモノならやってみろよ。逃げ出しただけの糞犬が偉そうな口を聞くんじゃねーよ」

「か、カイル様!!」

「どうかしたか? こいつは敵だぞ? こいつのせいで犬人はあんな目に遭ったし、お前達も死なずに済んだんじゃないのか?」


 俺の言葉に、犬人達が困惑している。

 こいつらにとって、カサドールは怖いのだろう。

 犬人は、基本大人しいし、強いモノに尻尾を振るのは、弱肉強食の世界ではおかしなことはない。

 だが、今は俺がいる。


「おい、ノービスに他の奴も。お前達は俺の仲間だ。こんな奴に屈することはないぞ。俺とこの老犬のどちらが怖い? どちらの方が強そうだ?」

「「「「「カイル様です!!」」」」」


 むず痒いが、これでいい。

 こいつが犬人を恐怖のどん底に落としたのは間違いないのだ。遠慮なんてする必要も、同情してやる必要すらない。

 ノービス達が槍を構える。

 犬人達が戦う意思を見せたことにカサドールは驚いている様だ。


「グハハハハハ。貴様等の様な貧弱な犬っころがわしに逆らうのか? 良かろう。人間共々ここで殺してやろう!!」


 カサドールは笛を取り出し、一気に吹く。

 すると、ノービスたちが膝をついた。どうしたんだ?


「大丈夫か?」

「はい。カサドール様が吹いた笛の音に耳をやられました。僕達はすぐに再生するみたいで一瞬だけでしたが……」

「じゃあ、問題は無いんだな? キツかったら言えよ」

「はい」


 しかし、今の笛は犬笛か何かなのか? 俺には何も聞こえなかった。

 犬人だけに聞こえる笛ということか? 

 いや、違うな。

 もしかして、アレがコボルトを操っていた道具か?


「グハハハハハ!! わしの配下がここにいたコボルトだけだと思ったか!! この森全てのコボルトを操ることも可能なのだ!! 今その全てをここに集結させた!!」


 そうか。

 こいつが余裕ぶっていたのは、コボルトの増援があったからなのか。

 今集まっているだけでも数百、もしかしたら千を超えるかもしれんな。


 こちらは俺を入れても七人。数だけは圧倒的に不利だ。

 さすがの俺でも千を超える低級魔物に勝てるとは思えない。どうする?

 

 いや、手頃な兵士がいるじゃないか。

 俺の力を使うと思わなかったが、アロガンシアの軍と戦うのならば実験(・・)はしておいた方がよさそうだな。

 しかし、以前の俺ならばこんな考えはしなかった。これも屍者になったからなのかもな。


「カダーベール・レスレクシオン!!」


 俺は足下で死んでいるコボルトに屍者蘇生の魔法をかけた。

 すると、死んでいたはずのコボルトが復活する。しかも、俺の命令に従う死なない屍兵だ。

 ノービス達は少し驚いていたが、お前達も似たようなモノだろう?


「ノービス!! ここはコボルト屍兵に戦わせる!! お前達は俺の所に集まっておけ!!」

「「「「「はい!」」」」」


 ノービス達を下らせ、コボルト屍兵に命令を下す。


「コボルト共を殲滅しろ!!」

「「「「「ぎゃぎゃぎゃーーーーーー!!」」」」」


 コボルト屍兵達が、散り散りになってコボルトを殺しに行く。

 戦力の差は明白だ。

 元は同じ強さかもしれないが、片方は洗脳されているだけの低級魔物、こちらは死を恐れない、死なない低級魔物。

 どちらが強いかなど考える必要すらない。


 戦闘はあっという間に終わった。

 千を超えたコボルトが、全滅した。

 俺は、再び屍者蘇生の魔法を唱える。これで千を超えるコボルトも復活した。

 これで、俺の屍兵は千を越えた。


 後は、カサドールただ一人だ。

 カサドールは既にコボルト屍兵に捕らえられている。


「さて、大人しく話をするか、それとも勇敢に俺に挑み死ぬか選べよ」


 カサドールはアッサリと笛を手に入れた経緯を話し始めた。

 笛は、餌を狩っている時に魔族から貰ったそうだ。

 その時「これで犬人に復讐しろ」と言われたらしいが、カサドールは普段から犬人と関わりを持つ気にならなかったらしく、これを断ったそうだ。

 しかし、その直後に魔族に何かをされたらしく、犬人への復讐心が芽生えていったらしい。 

 復讐か。ということはその魔族は、こいつらの過去を知っていたということになるな。


「で? そいつの顔や匂いに心当たりは?」

「いや、ない」


 知り合いでもないか。

 どちらにしても魔族が関わっているのなら、一度ベルに相談した方が良いだろうな。


「俺達は魔王城へ帰るが、お前はどうするんだ?」

「わしは処刑だろう?」

「いや、もし俺達に協力するというのなら、命までは取らない。ただし、俺の配下になってもらう」


 カサドールは少し考えた後、「忠誠を誓います」跪いた。

 俺達はコボルト屍兵千以上を連れて、魔王城へと帰った。


ブックマークの登録、評価ありがとうございます。

もしよかったら、感想などを書いていただけたらなぁ……と。

ぜひよろしくお願いします。


新作始めました。

『どうか命だけはお助け下さい!! 勇者様!!』

https://ncode.syosetu.com/n1126fi/

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