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屍者の国  作者: ふるか162号
1章 魔王城再建
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4話 コボルト殲滅


「み、みぎゃああああああああああああああ!!!!」


 ベルの悲鳴に、犬人達の視線が一斉に集まる。

 村長が慌てて俺に、何が起こったのかを聞いてきた。


「か、カイル様。これは一体?」

「あぁ、これが魔王だ。魔王ベルゼブブ、俺が十年前に討った魔王だ。今は復活して縮んでいるがな」

「離せ―。みぎゃああああああ!!」


 俺が魔王だと言っても、犬人達は信じようともしなかった。

 魔王ベルゼブブと言えば、亜人達も恐れていた存在だったというのに、今、目の前にいるのは、俺に頭を鷲掴みされた幼女でしかない。

 これを魔王と言っても誰も信じやしないだろう。そう考えたら、エリアル達魔族は、よくベルを魔王と信じたよな。

 ベルを虐めていたら、後ろから叩かれた。

 誰だ? と思い振り返ると、そこにはメリアがいた。

 どうしてここにいるんだ?

 そう困惑していると、手の力が抜けたのかベルが逃げ出し、メリアの後ろに隠れる。


「どうして、カイルはベルちゃんを虐めるかなぁ……。私が来て良かったよ」


 メリアはニコニコしているが、これは本当に怒った時の顔だ。

 俺はメリアに謝る。すると「謝るのはベルちゃんにでしょ?」と言われた。

 こいつに謝るのは正直嫌だが、まぁ、仕方が無い。謝っておくか。


「済まんなベル。それよりもだ、お前が何故ここにいる? お前には、魔王城のことを頼んでいたはずだが?」


 そう聞くと、ベルがない胸を張る。


「襲撃祭ももっと後じゃし、基本は地下に隠れておる。万が一があったとしても、エリアルは優秀な魔法使いじゃ。逃げることくらいはできる。それに、今のわしがいた所で何の役にも……たた……ないし」


 そう言いながら、ベルは落ち込んでいった。それをメリアが慰めていた。

 確かに、転移魔法も俺の魔力を使わなきゃ使えないくらいだ、って、こいつどうやってここに来たんだ?


「おい、今のお前の魔力では転移出来ないんだろう? どうやって、ここまで来た?」

「あぁ、それはね」


 何故かメリアが説明してくれた。

 ここに来れたのは、さっき俺から奪った魔力の残りを使ったらしい。帰りも俺の魔力を使う予定だそうだ。

 メリアがベルに付いてきたは、ベル一人では、俺が話を聞かないと思ってのことらしい。

 確かにベル一人なら話も聞かなかっただろうな。しかし、俺に会いたくて来てくれたわけじゃないのが少し寂しいが、ベルに用事があったのならば仕方が無い。


「で? ベル、お前がここに来た理由はなんだ?」

「あぁ、お前に屍者を復活させる魔法は教えたが、再び殺す魔法は教えてなかったじゃろう? 屍者にたいして再び殺すとは変な話なんじゃがな」


 再び殺すか。

 そんなものが、なぜ必要なのかと思ったが、復活させても嫌がった場合、再び眠らせてやった方が良いかもしれないし必要と言えば必要かもしれないな。

 俺はベルから『リオ・ベール』の魔法を教わった。

 この魔法は、屍者蘇生を無効化する魔法だそうだ。ただ、使用された本人が本心から望まないと効果はないらしい。

 魔物に関しては、問答無用で効果があるそうだから、使い勝手は良さそうだ。

 まぁ、一度使ってみないとどうとも言えないがな。

 ついでに、顔も何も知らない者の復活方法も聞くことにした。


「それならば簡単じゃ。復活させてほしい者の顔を知っている者に触れて、カダ―ベール・レスレクシオンを使えばよい。お前の屍者蘇生能力は異常じゃからな、意思に関しては問題ないじゃろう」


 成る程、それだけでいいのか。

 俺は、犬人の戦士の身内の者に身体に触れて貰う。戦士は五人。

 一人一人生き返らせては時間がかかるため、一気に生き返らせようとした。

 母親の一人が頬を赤らめている。照れることか? まぁ、こういう反応をされるのも男としては嬉しいモノなんだがな。


 うっ!? メリアの視線が痛い。

 ち、違うからね。これは必要なことだからね。


 あらぬ誤解を受けたくなかった俺は、さっさと屍者蘇生を使う。

 すると、地面が盛り上がり、五人の犬人が復活した。

 はて、死体はここに埋めてあったのか? そう思ったのだが、どうやらこの『カダ―ベール・レスレクシオン』には特別な効果があり、魂と一緒に死体をも転送してくるらしいな。てっきりその場で生き返ると思ったのだがな。

 なんて都合のいい便利な魔法だと思ったが、これも俺の力だからどうも言いようがない。


 俺は五人の戦士の前に立つ。

 五人は困惑しながら俺に聞いてきた。


「あ、あの。俺達は死んだんじゃ……」

「後で詳しく説明してやるから、今は家族との再会を素直に喜んでおけ」


 五人の戦士は家族との再会を喜び合った後、俺の下へと駆け寄って来たので、屍者についての説明と今後どうするかを聞いてみる。

 家族がどんな反応をしようと、本人が復活を嫌がれば、再び眠らせてやるつもりだ。

 しかし、俺の心配をよそに、犬人の戦士達は再び戦士として戦うことを決めた。

 自分達で同族を守りたいらしい。


 犬人の戦士を復活させた後、ベルから通信魔法を教えてもらった。これがあれば、遠くに離れていても会話ができるそうだ。

 ベルが「最初っからお前が知っておれば、わしはここまで来んで良かったんじゃ」と愚痴ってやがったので、頭を叩いておいた。


「で? カイルはこれからどうするのじゃ?」

「そうだな。犬人の協力を得ることは出来たが、どのみちコボルトの問題を放っておくわけにもいかないだろう?」


 俺がそう言うと、ベルが偉そうに「カイルに命じるぞ。愚かなコボルト共に鉄槌を与えて来い!!」と言ったので、もう一発しばいておいた。



 この後、俺とノービス、それに生き返った戦士達と共にコボルトの巣へと移動した。

 他の犬人達は、俺の魔力を使った転移魔法で、ベルと共に魔王城へと転移した。


 コボルトの巣は、崖の下の広場にあった。数は数百はいるだろう。

 俺達が崖の上からコボルトの巣を見下ろす。

 あの程度の低級魔物なら、数百程度なら問題はない。


 さて、戦闘に入る前に、犬人達に言っておかなければいけないことがある。


「ノービスにも言ったことなのだが、お前達は俺が死なない限りは死にはしない。ただ、勘違いはするなよ。お前等は一度コボルトに殺されているんだ。怖くなったり、逃げられないと思ったら、迷わず俺を呼べ」

「「「「「はい!」」」」」


 五人は、勇ましく返事をする。しかし、結構な大声だな。気付かれたらどうするんだ?

 俺は少し呆れつつコボルトの巣を見た。やっぱり気付かれたみたいだ。


「気付かれたから、行くぞ」

「「「「「「はい!!」」」」」」


 俺達はコボルトの巣へと強襲する。

 一匹一匹はどうということも無いが、流石に数が多いと倒すのも苦労する。

 まぁ、俺は今は力を失ったとはいえ、元は勇者だった男だ。この程度ならば、何の問題もない。


 一時間もしないうちに、コボルト達は全滅した。

 犬人の戦士も決して弱くはなかった。それでも殺されたということは、殺されたときは数の暴力でどうしようもなかったのだろう。

 俺は、コボルト共の死体を調べる。何か操っている奴の手掛かりは無いか……と思ったが、まぁ、ないだろうが。

 そう思っていたのだが、一匹のコボルトが俺達の前に現れる。

 そいつは、他のコボルトの二回りほど大きく、壮観な顔つきの犬だった。

 コボルトキングか? しかし、コボルトキングには自身の配下を操る能力は無い筈だ。

 そう思っていたのだが、戦士の一人がコボルトキング? を見て驚いている。


「か、カサドール様!!」


 カサドール様? 知り合い? まさか犬人か!!?


 まさか、犬人が黒幕とはな……。

感想やアドバイスなどがあれば、是非お願いします。

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