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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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39.教会の孤児たち

 蔦から赤い実を二つもぎ取る。


「これが一つ五千コルトもするなんて……。それが二つもあるから一万コルトか。これは美味しいのじゃ!」


「いくつかは食べる用に置いておいて、残りは全部売りさばこうか」


「ですね。新しい能力を優先にしたほうがいいです」


 自分たちを強くする方を優先にした方がいいだろう。そんな話をしながら、赤い実をサリサのアイテムボックスに入れた。


「じゃあ、次のイーデルスイーパーを探しますね」


「今日は百体倒すのじゃ! 金をがっぽり稼ぐのじゃ!」


「百体は無理だよー」


「百体倒せば、百万コルトも夢ではない! そうすると食事はより美味しくなるし、お小遣いも増える! ここは欲を丸出しで行くのじゃ!」


 流石、サリサだ、欲深い……。でも、そんなに稼げたらいいなー。砂糖売りよりも稼げるようになれば、安定するんだけど。


「さぁ、ティナ! 次のイーデルスイーパーはどこにいるんじゃ!?」


「ちょっと待ってくださいね。えーっと……あっち側に……え?」


「どうしたの?」


「イーデルスイーパーを見つけたんですが、誰かが……捕まっている?」


 えっ? それって危ないんじゃない?


「二人とも、早く行って助けよう」


「おっ! メルのお節介が発動したのう!」


「もう、茶化さないで! 走っていくよ!」


「私は走るのは苦手で……」


「わらわが背負っていく。それでいいじゃろう?」


 サリサがティナを背中に背負うと、私は身体強化をして走り出した。車が走るようなスピードで走っていくと、その後ろをサリサが追っていく。


「そこをちょっと右に行ってください!」


「分かった!」


 ティナの指示を受け、私は進路をわずかに切り替える。迷っている暇はない。そのまま一直線に駆け抜けた先で視界に飛び込んできたのは、最悪の光景だった。


「は、離せ……っ! このっ!」


「デルマお兄ちゃん! 助けてぇ!!」


「やだ……怖い……苦しいよぉ……!」


 甲高い悲鳴が森に響く。イーデルスイーパーの無数の蔦がうねり、絡みつき、幼い子供たちの体を締め上げていた。小さな体は宙に吊り上げられ、逃げ場もなくもがいている。


 その足元で一人の少年が必死に食らいついていた。


「くそっ……! 離せって言ってるだろぉ!!」


 短剣を振るい、何度も何度も蔦を切り裂く。だが、上手く断ち切れずに絡みつき、押し返す。


 数が違う。力が違う。それでも少年は退かない。息を荒げ、歯を食いしばり、ただ必死に刃を振るい続けている。


「サリサ!」


「うむ!」


 ティナをその場に置くと、私たちはイーデルスイーパーに駆け寄った。子供を吊るし上げている蔦に向かって剣を振るった。すると、蔦は力を失い、子供たちが落ちていく。


「よっと!」


 それをサリサがキャッチした。すぐにその場から離れようとすると、無数の蔦が襲い掛かってきた。


「風よ!」


 その時、ティナの詠唱が聞こえて、風が吹いた。無数に蠢いていた蔦は切り裂かれ、地面に散らばった。これなら、球根に近づくことが出来る。


 体に力を入れて、一気に距離を縮めた。球根の目の前に行くと、剣を深く突き刺した。


 すると、蔦がビクリと弾け、力なく地面に落ちていった。本体は倒した、これで大丈夫なはずだ。


「ノノ、スコット! 大丈夫か!?」


 その時、デルマと言われた少年がサリサに駆け寄った。サリサがその子たちを下すと、その子たちはデルマにしがみついた。


「うぅ、怖かったよぉ……」


「ごめん、無理して……」


「いいんだ。助かっただけで、それで……」


 そう言って、デルマはその子たちを抱きしめた。そうして、しばらくするとデルマがこちらに顔を向ける。


「助けてくれてありがとう。お前たち、強いんだな。こいつらと年齢が変わらないと思うのに……」


「ふふん! わらわたちは超強い子供なのじゃ! じゃから、あんな魔物なんて敵じゃないのじゃ!」


「でも、戦えないのにここまで来るのは危険だと思うよ」


「……分かってる。だけど、こうするしか……」


 注意をすると、苦し気に顔を歪めた。どうやら戦える力がないのに、ここまで来てしまったみたいだ。


 私たちと年齢が変わらない子供たちがどうして? そんなことを考えていると、あることを思い出した。


「もしかして、君たちって教会に住んでいるっていう子供たち?」


「……そうだ」


 やっぱり、当たっていた。戦えない子供たちがお金を稼ぐために、危ない冒険者稼業をしている。それを目の当たりにして、胸が痛んだ。


 もし、私が前世を思い出さなかったら、この子たちと同じ状況になっていただろう。それを思うと、放っておけなくなる。


 目の前の子供たちは、どう見ても戦いに慣れているようには見えなかった。細い腕、擦り切れた服、手入れの行き届いていない靴。必死に生きてきたことは分かるのに、そのどれもが守られる側のものだ。


 本来なら、こんな場所にいるべきじゃない。魔物と命を削り合うような場所に、立っていい年齢じゃない。


 それでもここにいるのは、そうしなければ、生きていけないからだ。


「……こんな危ないこと、続けてたら……いつか、本当に取り返しがつかなくなるよ」


 思わず、言葉が零れた。自分でも分かっている。そんなことは、きっとこの子たちだって分かっている。それでもやめられないから、ここにいるのだ。


 けれど、言わずにはいられなかった。


「そういうお前たちはどうなんだ? 子供だけでここに来て、危ないじゃないか」


「じゃから、わらわたちは強いからここにいるんじゃ。戦えない子供は来たらダメなのじゃ!」


「こんな危険な場所で戦わないで、町でお仕事をしたらどうですか? そちらの方が安全ですよ?」


「でも、みんなを養うには到底足りなくて……」


 デルマはそう言って悔しそうに俯いた。今、教会が困窮しているのは確かだ。それで、そこで暮らしていた孤児たちの生活が圧迫されている。


 支援金を渡せばいいのだが、それだと一時しのぎにしかならない。だから、この子たちで稼ぐ手段を得ないといけない。


 何か手助けは……そうだ! 私の料理を食べて強くなってもらえば、自分たちで稼げるようになれるんじゃない!?


 私はデルマの前に行き、その手を握った。


「私に協力させて!」

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