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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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38.イーデルスイーパー

「良かったな! 食べられそうな魔物が見つかって!」


「植物系の魔物は初めてですね。気を付けて、戦わないといけません」


「どんな攻撃を仕掛けてくるか分からないからね」


 冒険者ギルドを後にした私たちは近くの森までやってきた。目的は食べられる魔物、イーデルスイーパーを倒すこと。


 どんな依頼を受けるのがいいかとボードを見てみると、魔物の情報が載っていた。そこに載っていたのが、その魔物だ。


 地中から飛び出た球根から茎が伸び、そこから蔦が生えている。その蔦に甘い香りを放つ実が生っているらしい。その実の匂いで生き物を誘い、蔦で絡めて捕食する。そんな魔物らしい。


 で、その実がとても美味しくて、高値で取引されるらしい。だから、自分たちで食べるのも、売り払うのも、どちらでも良い。


「そろそろ、森の奥まできたし。ここらへんで、ティナの新しい魔法の出番だね」


「はい。探知魔法ですね。これがあれば、広範囲の状況が掴めます」


「無暗に探さなくてもいいから、楽でいいな。早速、使ってくれなのじゃ!」


 リドートーを食べたことによって得た魔法だ。ティナは意識を集中すると、手を広げた。


「……どう? 感じる?」


「……はい。これは、凄いです。広範囲のことがよく分かります」


「やったのじゃ! これで、目的の魔物を探さなくて済むのじゃ!」


「ちょっと、待っててくださいね。目的の魔物を探します」


 探知魔法、すごく便利! これなら、探す手間が省ける!


 私たちはワクワクとして待っていると、フッとティナの手が下りた。


「見つかりました。あっちに一キロメートル行ったところにいます」


「そんな詳細なことまで分かるの? 凄い!」


「よし、なら現場に行くのじゃ!」


 ティナが指を差した方向にサリサが歩き出すと、私たちはその後を追っていく。しばらく歩いて行くと――。


「そろそろ、いる場所に着きます」


 その言葉に私たちは顔を見合わせて頷いた。


「相手は蔦て攻撃してくると言っていたな。だったら、わらわが蔦を防ぐのじゃ。その間にメルとティナは攻撃を仕掛けるのじゃ」


「えっ? 蔦の攻撃を防ぐのって大変な仕事だよ? 大丈夫?」


「ふふん。わらわは強いからな。それくらい、わらわだけでどうにかなるのじゃ!」


「今のサリサのレベルは110もあるので、凄く頼りになります」


「それを言う、ティナもレベルが26になったじゃろう? メルもレベルが30じゃ!」


 あれから、私たちのレベルも順調に上がった。これくらいのレベルがあれば中堅冒険者と言われる領域に達するんだとか。


 ただ、美味しくご飯を食べているだけなのに、簡単にレベルが上がる。何も力なかったから、こうして自分の身を立てる程度の力を得られるのは本当に助かっている。


「見えてきましたよ」


 すると、木に隠れるように地面の上にぷっくりとした球根みたいな植物を見つけた。その植物からは茎が伸び、そこから蔦が伸びている。


 そこには二つの赤い実がなっており、絵で見たままのイーデルスイーパーがいた。


「ほほう、あれか。じゃったら、わらわが引き付けている間にお主たち二人でトドメを刺すんじゃよ!」


 見つけると、すぐにサリサが駆け出していった。その気配を察して、イーデルスイーパーの蔦が俊敏に動き始めた。


 しなる鞭のように蠢き、駆け出していったサリサに叩きつける。その蔦を――拳一つで跳ねのけた。


「はっはっはっ! そんな攻撃じゃ、わらわは倒せんぞ!」


 ほんの数メートルまで近づき、その場にどっしりと構える。そのサリサに向かって、無数の蔦が鞭のように打ち付けていく。だが、どれも全てサリサの拳によって弾かれていく。


 この隙に私たちがイーデルスイーパーにトドメを刺さなくっちゃ。


「確か、本体はあの球根でしたね」


「うん。どうにかして近づきたいけど……蔦が縦横無尽に動き回っている隙をつくのは難しいなぁ」


「だったら、私の風魔法でメルを覆います。そうしたら、蔦から身を守れると思うんです」


「それ、いいね! じゃあ、やろう!」


 私は剣を構えて、走り出す準備をする。隣ではティナが詠唱を唱え、風魔法を発動させた。


「風よ、メルを守って!」


 私に向かって風魔法が放たれる。風は私の周りに台風のようにぐるぐると周り、触れると弾かれるほどに強力だ。


「これで、球根に近づけます。頑張ってください」


「うん、分かった。ありがとう」


 身体強化を発動した瞬間、世界がわずかに遅く見えた。


 地面を蹴る、爆ぜるような踏み込み。風を裂き、一直線にイーデルスイーパーへと突っ込む。


 迎え撃つように、残っていた蔦が唸りを上げた。


 ビュオッ!


 空気を叩き割る勢いで振り下ろされる一撃。だが、


「――遅い!」


 私の周囲で渦巻く風が、蔦を弾き飛ばした。


 バチィンッ!!


 衝突の衝撃が弾け、蔦の軌道が逸れる。その一瞬、わずかな隙を逃さない。


 踏み込み、さらに加速。視界いっぱいに広がる球根へ、剣を叩き込む。


「はああああっ!!」


 ズブリ――と、確かな手応え。刃は深く食い込み、ぬめりを帯びた体液が噴き出した。だが、まだ、動く……!


 蔦は止まらない。むしろ狂ったように暴れ、周囲を薙ぎ払う。ならば、終わらせる。


「これでっ!!」


 地面を蹴り、跳躍。空中で体を捻り、全身の力を一点に叩き込むように剣を振りかぶる。


 次の瞬間――ドォンッ!!


 振り下ろされた刃が、球根を真っ二つに叩き割った。裂ける音と共に、内部が崩れ落ちる。


 途端に暴れていた蔦が、糸の切れた人形のように力を失い、バサバサと、地面へと崩れ落ちた。


 静寂が、遅れて訪れる。球根を見下ろすと、ぐったりとして生気を失っていた。


「やったな、メル!」


「凄かったです!」


 声が聞こえて後ろを振り向くと、嬉しそうな顔をして二人が駆け寄ってきた。


「二人のお陰だよ。サリサは蔦を止めてくれたし、ティナの魔法がなければあそこまで深く入れなかった」


「ふふん! そうじゃろう、そうじゃろう! わらわのお陰じゃな!」


「私の魔法が役に立って良かったです」


 本当に二人がいてくれたお陰だ。手をスッと上げると、二人は嬉しそうな顔をして手を重ねてくれた。

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