祝3万PVエピソード 〜ベルドレッド公爵の気持ち〜
祝3万PVエピソードです!
私はベルドレッド公爵。
この国の数少ない公爵家の一つであり、旧体制派の筆頭である。
私には、妻と、子供が三人いる。
長男のヴィンセントは、学業も剣術も素晴らしい成績で、申し分のない公爵家の後継者だ。
長女のエルザは、妻に似た類稀なる美しさを持ち、兄に及ばずとも学院での成績は常に上位であった。
そして、次女のイザベルは…。
(大っ変申し訳ないことに、私の目つきの悪さが遺伝してしまったー!!)
ヴィンセントは若干吊り目気味だが、男の子は別に問題ない。
公爵家の跡取りと言わずとも、かなりモテるようだ。
エルザは妻に似てタレ目気味で、見ているだけで心が癒される。
だが、イザベルは猫のような吊り目なのだ。
タレ目好きな私からすると、異性からモテるのかどうか…。
心配で夜の眠りがたまに浅くなる…。
(自分に似てるから、私にとっては最高に可愛いのだが…。)
そして、一見キツイ見た目のせいか、少々性格が上の二人よりも曲がってしまったようにも思える。
(なんというか…、少し社会に疲れてしまったような雰囲気を醸し出しているのだ。
いや、末娘でまだ幼いのに、社会に疲れるわけがないか。)
そんな私の心配をよそに、ヴィンセントとエルザは、年の離れたイザベルのことをそれはそれは可愛がっているようだった。
かつてイザベルに婚約の話二つが持ち上がった際には、
「イザベルにはまだ早すぎます!」
「イザベルがいないとつまらなくなるわ!」
などと、必死になって妻を説得しようと試みていたほどだ。
私としては、婚約者が出来た方が、少しは角が取れて幾分やわらかい表情になってくれるかもしれない、と密かに期待していたのだが…。
現実は、私の想像の遥か斜め上を爆走していった。
なんとイザベルは、婚約者相手の領地へ赴き、あろうことか「領地改革まがいのこと」をしでかして帰ってきたのだ。
(ハム公爵家に信頼できる使用人と家臣を置けだと?!
まさか…あちらの内部を掌握したのか?!
えっ!
それどころか、アルケイデス伯爵家とケントール子爵家の小競り合いまで、解決しちゃったって?!)
書斎で報告書を読んだ時、本当に息が止まるかと思った。
そういった心臓に悪い案件が今までに何件かあり、今となっては私も慣れてしまった。
それと同時に、ヴィンセントとエルザが、なぜあれほどイザベルと一緒にいたがっていたのか、その理由も今なら少し分かる気がする。
あの子の周りにいれば、退屈しないのだ。
(ただ…、私の権力が必要になる時は、お願いだから前もって教えてほしい…。)
たまに事後報告で大きな爆弾を丸投げされることがあるのは、親として…いや、公爵として非常に胃が痛い。
と、つい最近までハラハラしていたのだが、どうやら最近のイザベルはヴィンセントと裏で密に連携しているらしい。
そのおかげで、私のところまで爆弾が降ってくることはなくなり、私の手間は全くと言っていいほど無くなった。
(…それはそれで、ちょっと寂しい。)
いや、いいのだ。
これでいいのだ。
おかげで私は、前よりも大好きな妻と過ごす時間が格段に増えた。
愛する妻と二人きりでお茶を飲む時間は、何よりも私を癒やしてくれる。
子供たちも私の知らないところで勝手に、逞しく成長してくれたことだし、これからは妻と二人で世界を旅する計画を立てるのも良いかもしれない。
(うん、もう私、隠居しちゃってもいいかな?)
現国王や革新派貴族が台頭してきた初期の段階では、「この国はどうなることか」と夜も眠れないほどハラハラしたが、ここ最近の彼らは見る影もなく権力が落ち、ずいぶんと大人しくなったようだ。
だが、なぜか王宮ですれ違うたびに、革新派の連中から異常なまでのドス黒い恨みの目を向けられている気がする。
まぁ、理由は予想がつく。
我が家の誇る優秀な長男ヴィンセントと、末娘のイザベルが、裏で色々と暗躍した結果だろう。
我が子ながら恐ろしい。
(イザベルは学院の成績こそ中の下だが、こうして公爵家に多大な利益をもたらしているのであれば、成績のことには目を瞑ろう。)
ただ、リュシアン殿下との婚約だけは、イザベル本人も含め、家族の誰もが心底嫌がっていることだ。
(どうか近いうちにいい感じの理由で婚約破棄されて、あの子の吊り目も丸ごと愛し、受け入れてくれるような、素敵な誰かと結婚して幸せな家庭を築けますように。)
ベルドレッド公爵は、今日も静かに愛妻とお茶を啜りながら、愛しい末娘の幸せを願うのであった。
イザベルの成績が中の下なのは、手を抜いてるからです。
成績良すぎて、誰かに目をつけられたら面倒なので。
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