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「愛や多様性の犠牲者が誰になるか分かってんのか!」悪役顔の公爵令嬢イザベル、綺麗事で国を壊すバカどもを現実でボコす内政改革  作者: 猫目こね
アステリア王立貴族学院編(イザベル十二歳。初等部一年生)

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74話 リュシアン殿下との茶会…? 1

長くなったので1と2に分けました。



楽しかった休日が終わり、現実は非情にも私を元の場所へと引き戻した。

新学期が始まる学院生活まではまだ少し先だというのに、その間も容赦なく過酷な王妃教育が王宮で続けられているのだ。



そんなある日のこと。



あの王妃様から、直々に「親睦と交流を深めなさい」という名目で、リュシアン殿下とのお茶会を勧められた。



…勧められた、といえば聞こえはいいけれど、実質的な強制命令だ。

婚約者という立場上、断る権利なんて最初から存在しない。



ちなみにこのお茶会は「婚約者同士の親睦の場」という建前があるため、アニエスは来ないとのことだった。



(アニエスが来ないのは救いだけど、あのバカ王子と一対一でお茶って…。

何の罰ゲームぅ…?

バカ王子って人間と会話できるOS搭載されてんの…?)




行きたくない。

本っ当に行きたくない。

もの凄く行きたくない。


…けれど、行くしかないのだ。




私は渋々、本当に嫌々ながら、重い腰を上げて王宮のサロンへと足を運んだ。




―――だが、そこで私を待っていたのは、さらなる不条理だった。




約束の時間を過ぎても、リュシアン殿下が一向に現れない。

結局、殿下がサロンにやってきたのは、約束の時間から丸々一時間も遅れてのことだった。



どうやら、私の時とは違って息子の身勝手さをあらかじめ心配していた王妃様が、自身の付き人を隠れて潜ませ、お茶会の様子を見に来させていたらしい。

案の定、殿下が来ていないことを知った付き人が王妃様に報告し、裏から手を回して無理やり引っ張って来させたようだった。




そこまでされてやってきたというのに、リュシアン殿下には悪びれる様子など微塵もなかった。


あろうことか、王族にあるまじきだらしない姿勢でドサリと椅子に座り込む。

そこには品性のかけらも、洗練されたマナーの欠片も存在しなかった。




「おい。来てやったぞ。

お前がどうしても私と話をしたいということでな。」




開口一番、盛大な勘違い発言が飛び出してきた。

私は持っていた扇子をパチリと閉じ、口元に極上の、そして最高に冷ややかな笑みを浮かべた。




「ふふ、殿下。

面白い冗談を仰るようになりましたのね。

私が殿下とお話をしたいなどと、()()()()()、これまでの人生で微塵も思ったことはございません。」



この時、私の生まれ持った吊り目が存分に威力を発揮して、最高に相手を見下したような微笑みになっていたに違いない。

鏡を見ずとも分かる。


今、私は最高にいい悪役令嬢の面構えをしているはずだ。



「貴様…私をバカにしているのか?

私を誰だと思っているんだ!!」



どうやら私がバカにしていることが伝わってしまったらしい。

殿下はすぐに顔を真っ赤にして立ち上がろうとする。



「あら? 殿下。

一時間も遅れていらしたばかりですのに、もうお帰りになりますの?

ふふ、すぐに感情を露わにして怒ってしまうなんて、殿下は()()()ではなく、まるで駄々をこねる()()()のようですわね。」



「貴様っ……!」



「あぁ、それと…あちらの入り口をご覧になってくださいます?

あそこに王妃様の付き人が控えておりますから、この場で起こったことはすべて王妃様に筒抜けですわ。

殿下が私を置いて先に席を立たれたりすれば、即座に報告がいくでしょうね。

それに殿下、ここが王宮であることを王子であるあなたなら、理解しておりますでしょう?

いつ、どこで、誰が私たちのことを見ているか分かりませんのよ?

もし殿下が今ここで帰られてしまえば…『リュシアン殿下は、年下の婚約者に言い負かされて逃げ出した』と、皆がそう思って噂にするやもしれませんわ。

私としては…ふふっ。

そんな噂が流れたらと考えたら…今からとても楽しみですわ。」




私はこれでもかと、殿下を挑発してやった。




(いや…、別に挑発する気はなかったんだけどね?

でも、なんかこのバカの顔を見てるとイライラが込み上げてきて、つい口が滑っちゃうんだよね。

ははは…これでも抑えている方なんだけどー。)




「お前…!私を侮辱するのも大概にしろよ!

お前なんか、私がその気になればいつでも処け…」



「殿下。」



私はスッと声をワントーン落とし、殿下の言葉を鋭く遮った。



「その先の言葉はおよしになってくださいね。

ここには誰の耳があるかも分からないのですから。

その先の発言は、私個人ではなく、我が公爵家に対する宣戦布告と受け取れますわ。

…ご自分が口にしていい言葉と、悪い言葉の区別くらい、いい加減につけてくださいます?」



「……ッ!」




私の放った冷徹な威圧感に気圧されたのか、殿下は言葉を詰まらせ、これ以上ないほど不貞腐れた様子で大人しく椅子に座り直した。


完全にマウントを取り終えたところで、私はふっと表情を和らげ、これみよがしに小さく息を吐いてみせる。



「私も言い過ぎてしまったことはお詫び申し上げますわ。

殿下と二人でお話しできることがあまりにも嬉しくって、つい、気持ちが昂ってしまいましたの。」



あまりにも心にもないことを言ってしまったので、棒読みになってしまった。

だが、バカ王子は「ふんっ」と言って一応私向き合ってくれた。



ひとまず静かになったところで、私は再び上品に紅茶に口をつけてから話をし始める。




「せっかく王妃様が設けてくださった機会ですもの、少しお話しましょう。

殿下、大体の予想はついておりますけれど…。

なぜ、私を婚約者になさったのですか?」



「ふんっ、お前が一番嫌がりそうなことをしたまでだ。」



「あら、ずいぶんと素直に教えてくださるのね。

ありがとうございます。」




一応はお礼を言ったものの、私の内心は呆れ返っていた。




(うん、知ってた。

そんなクソガキみたいな嫌がらせだろうなとは思ってた。)



内心の凄まじい呆れを完全に覆い隠し、私は深く憂うような視線を殿下に向けた。




「そんなことだろうと思っておりましたわ。

ですが殿下、婚約は国の一大事です。

このように顔を合わせる機会も増えますし、この先、もし結婚してしまえば…。

あなたはいずれはこの国の国王に。そして私は王妃となるのです。

…それを全て承知の上で、あえて私を婚約者に選んだのでしょうか?」




「ふんっ、そんなこと言われなくとも分かっている!

私には、私なりの高貴な考えがあるのだ。

だが、その考えをお前のような奴に言うわけがないがな!」




どこまでも中身のないプライドを振りかざす殿下に、私は小さくため息をついた。




「そうですか。

ところで、最近私、学院でお友達が増えましたの。

ティア・ミストレイという伯爵令嬢なのですけれど、ご存知かしら?」



「……あぁ。」




ティアの名前を出した瞬間、殿下の目がわずかに泳いだ。




体調を崩してしまい、水曜日と木曜日の更新をせず

申し訳ありませんでした。

一応活動報告に更新の有無を報告しておりますので、

今日更新ないなー?って思った日には活動報告の方を覗いてみてください。



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