表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

6話 事の顛末

トバクたちが連行された後、広場には静寂が訪れた。


(これでタダ酒目的の集団は減るはず。

酒がなくなってもここへ来てくれるドワーフなら、真面目な商談を目的として来るはず。)


無作為に人を入れてしまった結果、管理能力を超えた流入がルールを壊す。

それは前世で嫌というほど見てきた光景だ。



後日、ヴィンセント兄様から「イザベルも気になってただろうから。」と、事の顛末を教えてくれた。

そこで判明したトバクの実態は、想像以上に醜悪なものだった。



一つ、酩酊したドワーフから技術を盗もうとしていたこと。

二つ、実は安酒で済ませて差額を浮かせていたこと。

三つ、その浮いた金でギャンブルと女に貢いでいたこと。


(本当に、救いようのないクズだったわけね。)


私は呆れてため息をついた。

一方、ドワーフのバクチは外交上の事情もあり、尋問できぬまま放免となったとのことだ。


だが、彼が「ここはタダで飲めるぞ」と触れ回ったせいで、質の悪い連中が集まっていたこと。

そして、そこでは最低な『娯楽』が行われていたことも判明した。


「彼らは最初、人間に酒を飲ませて情報を引き出すつもりだったようだ。

だが、実際には情報が出る前に人間が酔い潰れてしまう。

すると彼らは……吐瀉物にまみれ、泡を吹いて苦しむ人間を眺めることを、『見世物』として楽しむようになったらしい。」


話してくれるヴィンセント兄様の声にも熱が入り、憤りを感じさせた。


(情報収集が、いつの間にか人間を見下して笑う『拷問じみた娯楽』に変わっていたなんて。

トバクはそれを知りながら、自分の遊び金と保身のために、同胞である商人たちを差し出していたわけね。)


怒りと同時に、寒気がした。

人を見下して笑う奴は、どこにでもいる。

でも、それを『友好』という綺麗な言葉で包み隠し、見ないふりをして放置しているこの国王や貴族は、もっとタチが悪い。


(前世でもそうだった。

理想論を盾にして現場の悲鳴を黙殺する奴らが、一番残酷なのよ。)


バクチはこの領地の虹の広場への出入りを禁じられたが、あくまで「この領地」だけ。

彼はまた別の広場で、同じように人間を酔い潰して笑うのだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ