表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/61

52話 レタソク伯爵令息の変化と、トミーシャへの社会的制裁の末路



王立植物園の報道から、早くも一週間が経とうとしていた。

私は第一王子・リュシアン殿下と直接話す機会を伺っていたのだが…。

これがなかなか、お目にかかれない。



(会いたいって思ってると、会えないもんだなぁ。)



ただ、殿下の周囲が騒がしくなっているのは確かだ。

あの「校外学習」で私を陥れようとしていた彼らは、今やパニック状態にある。



その象徴とも言えるのが、私の目の前を通り過ぎようとしている一人の生徒。

ーーーレタソク伯爵令息だった。



「ごきげんよう、レタソク伯爵令息。お忙しそうですね?」



私が声をかけると、彼はビクッとするわけでもなく、定規で測ったような完璧な角度で足を止めた。

そして、これまた完璧な一礼を私に返したのだ。



「ごきげんよう、イザベル様。

はい、これまでの私は時間を浪費しすぎておりました。

失われた教養を取り戻すべく、一分一秒を惜しんで勉学に励んでいるところです。」



(…。本当にこいつ、あのクソッタレな性格したレタソク…?)



以前の「王子の金魚の糞」としての面影は微塵もない。

瞳には正義感が宿り、衣服の乱れ一つない姿は、まるで歩く道徳教科書のようだ。



(植物園に行った二日後には登校して学院に来ていたのは知っていた…。

彼の性格が劇的に変わったという噂も耳にしていた…。

でも、それにしたって………!特効薬の効果、エグぅぅうう!)



ジンバイ経由で入手したあの薬は、どうやら彼を『真面目すぎて融通が利かない人格者』へと作り替えてしまったらしい。



聞けば、彼は登校するなりリュシアン殿下に対し…


「他者を陥れるための陰湿な企ては即刻中止すべきです。

それは王族としての品位を欠く卑劣な行為です!」


…と、堂々と説教をかましたらしい。



当然、王子からは「何だこいつ。ウザ。」と即座に切り捨てられたそうだ。



(それだけで済んで良かったわね。

きっと関わるのも億劫に感じさせたんでしょうね。

それにしても、この特効薬…効果が抜群だぁ!

ノアにたくさん持たせてあげたいのは山々なんだけど…。)



如何せん、この特効薬はバカ高いのだ。



「では、私は予習がありますのでこれで。失礼します。」



爽やかな(そして、どこか人を寄せ付けないほど潔癖な)笑顔を残して、彼は颯爽と去っていった。



王子たちからすれば、悪巧みの駒としては完全に「無能」…失礼、戦力外。

だがレタソク伯爵令息は、登校してから授業態度が良くなり、劇的に賢くなっているらしい。

素行も良くなったが、あまりの正義感の強さに王子派の誰も彼に近づけなくなっている。



(自業自得とはいえ、あそこまで変わるとは…。)



レタソク伯爵令息にとって、今回の件が吉と出るか凶と出るか…今はまだ、誰にも分からない。

けど、きっと、生まれ変わった彼は良い方向に行くと私は信じている。



ーーー(レタソク伯爵令息)の正義感に救われた者が、彼の本当の友人となるのは、また先の話になる。




(そういえば、あの蟲が入った巨大魔植物に食べられちゃった後遺症とかって、ないのかな?

なさそうなら、まぁラッキーだったってことかなぁー。)




ーーー(レタソク伯爵令息)の将来が、今世紀No. 1の男娼として開花する話も、また別の話になる。




 ◆




一方、王立植物園の統括者であるトミーシャも、順調に「詰んで」いた。



新聞『インダクシア』が連日、中抜きやファシネフルールの密売を報じたことで、植物園の入場者数が劇的に減り、植物園に出資していた貴族や商会も手を引いたため、資金難に陥っていた。


問題が沈静化しないどころか、国民の関心の元になったことで、王国からの補助金も来月から減らされる方針が決定した。



「デタラメよ! 全部全部全部…私の責任ではないわ!

そうよ、管理責任者は別にいるのよ!?

何で私だけが非難されなきゃいけないのよ!!!!

何も悪いことなんてしないわ!

私はただ、この王立植物園を発展させるために心血を注いできただけなんだから!」



往生際悪く叫ぶトミーシャ。

だが、問題は沈静化とどころか日々炎上が増すばかりだ。



トミーシャは全責任を負わされる形で、伯爵家の名を汚した罪、および国家補助金の横領、ファシネフルールの違法栽培と売買、その他、数えきれないほどの余罪(中には身に覚えのない冤罪すら含まれていた)をすべて被せられ、警備隊によって連行、収監されることとなった。



実際、彼女の犯した罪を細かく上げればキリがないほどなのだ。

国家としても、これ以上の火種を残さぬよう、彼女一人を「すべての悪の根源」として処刑台に上げることで、国民の怒りを鎮めようと判断したのだろう。



だが、世間が事件を風化させ、トミーシャの罪状が密かに軽くなるようなことは万に一つもあり得ない。


アンリとマユが、このまま彼女が完全に社会から抹殺されるまで、徹底的な追及の手を緩めないと宣言しているからだ。



今後、彼女は裁判にかけられることになるが、こうなってしまっては誰も彼女に手を差し伸べはしない。

仮に服役を終えて釈放されたとしても、彼女の顔は似顔絵付きで国中に知れ渡っている。

彼女と関わろうとする者は、この王国のどこにも存在しないだろう。



文字通り、トミーシャは社会的に『詰んだ』のだ。




――後日、彼女には懲役十五年と、家財をすべて没収しても足りないほどの多額の罰金刑が言い渡されることになるが、それはまた別の話である。




今日の更新ギリギリでした…!

毎日更新するよう努めてますが、できないことがあるかもしれません…!

是非ブックマークだけでもお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ