47話 教員たち解雇
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こんな時、どんな顔をしたら良いか分からないので笑っておきます(ニコォ)
1万PV突破の記念話も書きたいと思っておりますので、お待ちいただけますと幸いです!
長くなり申し訳ありませんが、日々、読者の皆様に、ありがとうございます!!
加害生徒たちが、魂が抜けたような顔で学院長室を辞した後。
室内には、重苦しい沈黙と、場違いなほど優雅に茶を啜る私の音だけが響いていた。
「さて。学院長。」
私はバルカス学院長の前に、もう一束の書類を置いた。
それは生徒たちの供述書ではなく、彼らの「いじめ」を黙認し、助長した教員たちのリストである。
「担任。副担任。
そして備品管理の持ち回りを放棄し、結果として生徒の不正を招いた教員五名。
合計七名。
全員、今月中に解雇していただきます。」
「し、しかしイザベル嬢!
一度に六人もの教員を解雇するなど、学院の運営に支障が…。
それに、彼らは革新派の有力なコネクションを持っており…。」
「「運営に支障? 革新派に有力なコネクション?
ふっ。
私が入学する前のことだからと知らないと思っているのでしょうけれど、旧体制派の生徒が亡くなってますわよね?」
私の言葉に、バルカスがヒッと息を呑んだ。
「学院の運営に支障しか出していませんわよね。
しかもこの件、革新派生徒によるイジメだったと聞き及んでおりますが、調べられることもなく、旧体制派の両親は泣き寝入りだったそうじゃありませんか。
コネクションどころか、ただ圧力を受けているだけじゃないですか。
そんなもの、とっとと無くしてしまいなさい。」
私は立ち上がり、冷たく見下ろした。
「父様が今回の件を知ったら…ましてや、旧体制派の子が既に死んだ事例があると知ったら。
この学院も、あなたも、終わりますわよ?」
「…………。」
バルカスは、最早何も言い返せなかった。
「代わりの…いえ、彼らよりも優秀な人材は、ベルドレッド公爵家ですべて手配済みです。
ああ、それから。
彼らへの『退職金』は不要ですわ。
もし「退職金を寄越せ」などと戯言を抜かしてきたら、今回の件を世の中に公表して『社会的に抹殺する』と伝えてあげてくださる?
…まあ、お金なんてすぐ必要無くなるでしょうけどね。」
私は一度も振り返ることなく、学院長室を後にした。
◆
一人残されたバルカス学院長は、机の上のリストを眺めて頭を抱えた。
革新派への言い訳、そして強引すぎる人事。
学院長としての頭痛の種は尽きない。
「はぁ…。あのお嬢様は、私を殺す気か…。」
ツルツルした頭に手を乗っけたその時。
「おやおや、情けない声を出しちゃって。
せっかくイザベル様が革新派の教員を辞めさせる理由をくれたっていうのに。」
不意に、天井から軽やかな声が降ってきた。
バルカスが驚いて見上げると、天井裏からスルスルと、音もなく一人の少女が降りてきた。
「!? 君、いつからそこに…!」
「最初からですよ。私はイザベル様の護衛、兼、友人です。」
メリッサは猫のようなしなやかな動作で着地すると、机の上の「解雇リスト」を指先で弾いた。
「ほら、学院長。
あなたも、自分では解雇しにくかったでしょ?」
「それは、まあ……そうだが…。」
「一気に七人も一掃できたんです。
これからはベルドレッド家が選別した、実務能力ピカイチの先生たちに入れ替えていきましょうね?
学院長が『正常な運営』を目指すなら、今のうちにイザベル様に恩を売っておくのが良い選択ですよ。」
メリッサはニヤリと笑い、バルカスの肩をポンと叩いた。
「あ、ちなみに。
解雇される先生たちは色々脅し文句をぶつけてくるかもしれないけど、彼らが学院を一歩出た瞬間に私が適切に『処理』する予定なので気にしないでくれていいです。
学院長は、ただ書類にサインするだけでいいっすよ。」
その瞳に宿る、冷酷なまでの「プロ」の光。
バルカスは悟った。
この学院は、根本から書き換えられようとしているのだと。
この件は、きっとベルドレッド公爵本人が動いていることなのだろうと。
そう考えれば自分が連れ去られた理由を、この少女が知っていてもなんら不思議ではない。
公爵家はついに、旧体制派を動かし、革新派と真っ向から対決しようとしているに違いない。と。
「(全て)理解した…。手続きを進めよう。」
「いい返事です! じゃ、私は次のお仕事の準備があるんで!
あ、学院内で見かけても反応しないでくださいね〜!」
メリッサは影に溶けるように、学院長室から姿を消した。
こうして、学院の教職員名簿からは不要な名前が消え、新しい秩序が静かに、そして確実に組み込まれていくのであった。
「それにしても…どこかで聞いたような喋り方だったような…。」
メリッサが消えた後、バルカスは首を傾げた。
それが自分を拷問した恐ろしい声だとは、変幻自在な声色を操るメリッサの前では気づく由もなかった。
◆
ドンドン!
「学院長!失礼します!」
解雇リストに載った七名が怒号とともに乗り込んできた。
「なぜ我々が解雇されなければならないのですか?!」
「こんなの不当解雇です!」
「旧体制派の…イザベル・ベルドレッドのせいですか?!」
「なぜ小娘の顔色を伺う必要があるんですか!」
「革新派を舐めているのでしょうか?」
言い分は様々だが、皆解雇に怒っているのは同じようだ。
「いやぁ…。そうだな…。うん…。
隠しても仕方ないことだから言おう。
その通り。
イザベル・ベルドレッド嬢に、貴殿らを解雇しなければ公爵家から援助を打ち切ると言われてな。」
バルカス学院長は適当に責任を転嫁して突き放した。
「とりあえず今月中に解雇。これは決定事項だ。
私もベルドレッド公爵を敵に回したくはないのでね。」
すると、教員の一人が口を滑らせた。
「なぜだ…!旧体制派の生徒が死んだ時は、革新派を守ってくれたじゃないか!」
「そうだ!
あの時だって革新派の生徒が旧体制派の生徒を袋叩きにして、気付いたら息をしていなかった…。
あれは本来事故ではなく事件だったんだ!
このことが学院外にバレても良いのか?!」
「えぇー…。うーん…。まぁいいよ。好きにしなよ。」
バルカスの投げやりな態度に、教員たちは激昂した。
「この無能ハゲ学院長め! 退職金はしっかり払ってもらうからな!」
「あー、それは出せないんだわ。ゴメン。」
「「「「「「「 はァ?!?! 」」」」」」」
「イザベル嬢が、今回の件を公表して社会的に抹殺すると脅してきたんだよぉ。」
「なんだと…!!」
「やはりあのイザベル・ベルドレッドは、あの死んだ生徒のように事故に見せかけて殺しておくべきだったんだ…!」
「早くやっていれば…!」
ドスン!!!!
天井から凄まじい衝撃音が響き、一同が静まり返る。
「なんだ?」
「上の階の荷物が落ちたんじゃないか?」
「上の階ないぞここ。」
「じゃぁ何かが風で当たったのでは?」
「そうか。そうだな。」
教員たちが納得し合っているが、バルカス学院長だけは知っている。
メリッサが天井裏に潜んでいて、猛烈に激怒してるということに。
「とりあえずもう、君たちの用は済んだだろう?
早くお帰り。」
「くそッ!また来るからな…!」
捨て台詞を吐いて出ていく彼らの背に、バルカスは小さく呟いた。
「…また会うことがあれば。な。」
翌日。
彼らの解雇は学院に通達され、受理された。
学院の門を出た七名の行方を、知る者は今のところ誰もいない。
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(メリッサのセリフ「イザベル様の護衛、兼(略)」の部分、のが二つあったので修正しました。2026/4/13)




