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45話 イザベル、いじめられる

更新時間遅くなり、すみませんでした。

溶連菌に罹ってしまい…ストックもなくなってしまい…。

さっき書き上げました。

お待ちくださっていた方には大変申し訳ないです。



「あちゃーーーー。」



教室に入った瞬間、私の目に飛び込んできたのは、真っ白に汚された自分の席だった。

机の天板には、まるで黒板のように太々と、そして椅子の背もたれには座るのを拒むように、鋭い筆致でこう書き殴られている。



『旧時代の遺物』

『差別主義者』

(いにしえ)の脳みそ』



(い……古の脳みそ……。

一周回って「歴史ある賢者」みたいに褒められている気がする……!)



ちょっと笑いそうになっている私をよそに、どこかから声が飛んでくる。



「ふふ、よくお似合いだわ、イザベル・ベルドレッド。

その古臭い公爵家の誇りと一緒に、白い粉にまみれて消えてしまえばいいのよ。」



周囲の令嬢たちが、勝ち誇ったようにクスクスと笑う。

私が泣き出すのを待っているのだろう。



私はおもむろにその粉を指でなぞり、質感を確認した。


(粒子が荒い。昨年度の在庫処分品かな。

それとも、備品費を浮かせるために安価な輸入品に切り替えた?

何にせよ、チョークを無駄にしよって…。)



「メリッサ、チョークがもったいないわね。」



「イザベル様…。気付いているとは思うんだけど、これイジメだからね?」



隣でわざとらしく肩をすくめるメリッサに、私は真顔で返した。



「………気付いてたに決まっているでしょう。

ただ、もしかしたら、チョークで遊びたいお年頃なのかなとか、試し書きしたかったのかなとか、そういう可能性を考慮してただけであって、100%イジメだと断定できる客観的証拠が見当たらなかっただけよ。」



「いや…、古の脳みそは完全に悪口でしょ。」



「えっ!それは褒め言葉じゃなくて?」



「イザベル様、意外と天然なんすねー。ノア様に報告報告〜。」



「ちょっ、それはやめなさいよ。」



そんな朗らかな会話をしている様子に、クラスの連中はさらに腹を立てている様子だった。



(まあ、この程度は全然イジメだーって悲しくなるわけではないのだけど、やられたらやり返してあげなきゃね。

あぁ、それじゃ足りないか。

子供だからってやっていいことと悪いことがあるのは、人生の先輩がちゃんと教えてあげようじゃないの。)



私は、これは良い機会だと、クラスの連中に思い知らせることにした。



「メリッサ。この落書き、消さなくていいわ。」



「え、このまま授業受けるの? イザベル様メンタル強すぎん?」



「ふふふ。私はか弱き一人の生徒よ。もちろん、こんなことされて…本当に悲しいわ。

でも、とりあえずこれは『器物損壊』および『教職員による管理放棄』の現物証拠よ。

メリッサ、適当にあなたの知り合いに証言を複数取っておいてもらってちょうだい。」




派閥抜きに、イジメはいけないことなのだ。



そして「イジメのコスト」が、自分たちの家柄すら吹き飛ばすほど高くつくということを、徹底的に叩き込んでやる必要がある。



(イジメはね、した方が最初から負け確なのよ。特に相手が『私』ならね。)





放課後。



「ただいま帰りました。」


王都にあるベルドレッド公爵邸には、父様と母様が一緒に住んでくれている。

公爵領の方は、もうヴィンセント兄様にほぼ任せているらしい。



「きゃぁ!イザベル!あなたどこで遊んできたらそんなふうになるの?!」


母様が真っ白な私を見て叫んだ。

私が事情を説明すると、母様は納得したように頷く。



「なるほどねぇ……。それで? あなたはどうするの?」


「もちろん、やり返してあげようかと!」


「ふふ。それでこそ私の可愛い娘よ。明日からも楽しんでらっしゃい。」


「はい!」



自慢じゃないが、私は今まで結果を残してきた。

しかも、なるべく親に迷惑がかからないやり方で。

母様はそれを信頼してくれているのだろう。



(母よ! その思いに応えて見せようではないか!わっはっはっは〜!)



私はまず着替えをし、汚れた制服を洗わずに袋に詰めた。

これは「動かぬ証拠」になる。



ガチャ……。



「イザベル様……。これはどういうことでしょうか……?」



「り……リル……。早かったのね。おかえりなさい。」



リルの視線が、私の真っ白に汚れた制服に注がれる。

その瞳の奥で、どろりとした黒い執念が渦巻くのが見えた。



「何ですか、その制服…。まさか、いじめられ…」



リルの背後に、ゴゴゴと黒いオーラが見える気がした。



「……るわけないじゃない! 大丈夫よ!

何言ってるのよ全く、リルってば心配性なんだから~。

ほら! 早く明日の準備しましょう!」



「イザベル様。私の目を誤魔化せると思っているんですか?

ふふ、甘いですねぇ……。

イザベル様のことは、イザベル様から聞かなくたってなーーーーーーんでも分かっちゃうんですからね?」



「……。ハイ、ゴメンナサイ。ウソツキマシタ。」



隠し通すのは不可能だと悟った私は、白旗を揚げて正直に白状した。



(やっぱり、リルに黙っておくなんて無理だったんだわ…。

絶対これ、裏で加害者を『物理的に』消しに行くでしょ…。)



「……なるほど。状況は把握しました。では、消しましょう。」



「ほらぁ! やっぱりそうなるじゃない!」



「いえ、イザベル様。誤解しないでください。

私はただ、その制服の『汚れ』と一緒に、汚れの『原因』をこの世から抹消すると申し上げただけです。」



「なるほど…って結局物理的に消すのは同じじゃない?」



そんな楽しげな会話をする、ベルドレッド公爵邸の一場面であった。




ブックマーク、お気に入り、評価など、よろしくお願いいたしまう。

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