41話 イザベル、ついに学校に!いざ参る!
新章となります。
二年後。
馬車の窓から流れる王都の景色は、公爵領に比べればどこか騒がしく、そして「異物」が混じっているように見えた。
歩く者たちの中に、不自然に深いフードを被った者や、人間離れした体躯を持つ者が紛れている。
大きな通りから見えるだけでも、これなのだ。
裏通りが、一般の人間にとってどれほど危険な場所になっているかは、見るまでもない。
革新派の進める「融和」の結果が、これだ。
「イザベル様。間もなく到着いたします。」
向かいに座るリルが、静かに告げた。
十七歳になった彼女は、平民向けの高等学院に通いながら、私の筆頭侍女としての務めを完璧にこなしている。
すらりと伸びた背筋に、瑞々しく整った容姿。
その輝きは、学院へ向かう貴族の子供たちをも圧倒するほどで、周囲からは密かに「ベルドレッド公爵令嬢の真珠」と称えられていた。
もちろん、その真珠が仕える主である私が、周囲から「真珠を転がす豚」などと陰口を叩かれていることも、アンリの報告書で把握済みだ。
(豚に真珠ってことよね…。ハハっ。
心が豚以下の連中が何か言っているわ。面白いわね。)
「イザベル様?」
「聞こえてるわ。ついに私もここに入学する時が来てしまったわね…。」
私は十二歳になり、ここ、アステリア王立貴族学院の初等部に入学することになった。
アステリア王立貴族学院は、初等部・中等部・高等部に分かれており、二年ごとの進級で十八歳で卒業となる。
これは平民の学校でも同じだ。
この学院は初等・中等・高等部に分かれ、二年ごとの進級を経て十八歳で卒業となる。
平民の学校も同様のシステムだ。
ここには、かつての縁があるエドモンとルーラが中等部に、クレスとミリィが高等部に通っている。
だが、初等部に知り合いがいないのだ。
前世の年齢プラス今世の年齢が四十二歳の私だが、ライフイベントはやはり緊張する。
ましてや、知り合いが全くいないとなると…不安だ。
私は手元にある、アンリとマユから届けられた最新の「新入生・在校生名簿(裏情報付き)」を閉じた。
この二年間、ノアのギルドは王都にまで根を張ることが出来た。
アンリとマユが出版している小説も好評で重版を重ねており、王都の本屋でも見かけるようになった。
さらに、二人が発行している新聞は急激な広がりを見せ、「社会的に抹殺できる手段」としての一翼を担い始めている。
(まずは芸人や役者のスキャンダルで認知度を上げ、それから新聞の隅に異種族や貴族の事件を小出しにしていく…。
アンリとマユは、相変わらず恐ろしい策士だわ。)
「イザベル様?また悪巧みしている顔されてますよ?」
「そんなこと考えてないわ。
それに、またって何よ。私がいつも悪巧みしているみたいじゃない。」
「フフ。冗談です。さぁ、イザベル様。
いってらっしゃいませ。」
ついに到着してしまった。
アステリア王立貴族学院。
いざ参る!
最近長めで重めの話が多かったので、今日は第二章のスタートということもあり、
軽めの内容にしました。
四月ですし、入園・入学・入社の季節ですし、明るいスタートを切りたいですよね。
皆様にもイザベルにも明るい生活が待っていますように。
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