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39話 子爵邸の様子と孤児たちのその後と、孤児院の処遇



ケントール子爵に酷い言葉を投げつけられ、すぐに邸へ帰ることができなかったミリィ。

一日だけアルケイデス伯爵領に身を寄せ、それから帰宅した彼女が目にしたものは――!!



驚くほどに、いつもと変わらない子爵家の日常風景だった。


変わったことといえば、ただ一つ。

父イワン・ケントールが自室に引きこもり、滅多に顔を出さなくなったことくらいだ。



それも無理はない。

ノアたちが仕掛けた工作は完璧だった。


深夜、衛兵やメイドたちが各々夜食や飲み物で一息つくタイミングを見計らい、催眠効果のある香を併用して深い眠りへと誘ったのだ。

翌朝、目を覚ました者たちは「仕事中に熟睡してしまった」という罪悪感から、上司への報告を怠り、互いに口をつぐんだ。



数が減った衛兵に関しても、増員直後だったこともあり「また子爵の気まぐれで解雇されたか」程度にしか受け取られなかった。

あるいは、子爵の横暴に耐えかねて逃げ出したという内容の書き置き(ノアによる偽造)が、あまりに自然な理由として受理された。


貴族に仕える者は、多かれ少なかれ逃げ出す者がいるのだ。



プライドが高く、常に権力を誇示していた父のことだ。

イザベル様に赤恥をかかされたショックで引きこもったのだろう。


そう推測したミリィは、母や使用人たちに「そっとしておいてあげて」と伝え、それ以上の干渉を禁じた。


たまに部屋から這い出してきた父と顔を合わせることもあったが、あの傲慢さは微塵も消え失せていた。

もともと誰からも好かれていなかった男だ。

心配する者など一人もおらず、彼はただの「引きこもりの主人」へと成り下がった。



そんな父を、ミリィは多少心配したが、今の彼女には父に構う暇などなかった。


目の当たりにした子爵領の惨状、そして異種族との共生がもたらした歪み。

クレスと共にそれらを学び直し、領地を立て直すために奔走しなければならないからだ。


前を向く彼女の瞳は、以前よりもずっと逞しく、輝いていた。





伯爵領から保護した孤児たちに関しては、公爵領の孤児院で引き取った。

無念にも命を落とした子たちは、バラバラだった臓器をできるだけ集め、それぞれ一人の人間として丁重に埋葬した。



アンリとマユは今回の件に激昂し、即座に『アヴェンジャー新聞』を発行。

ただし、それは彼らが心から信頼する者たちだけに手渡された。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【貴族の蛮行!!】


虹の広場にて、複数の孤児が奴隷売買される事件が発生。

臓器売買の犠牲者も多数。

異種族との「養子縁組」を悪用した計画的犯行。

孤児院の院長も関与。


周辺の孤児院に異変がないか、各自確認を徹底すべし。

発生場所はアルケイデス伯爵領だが、主犯は別貴族。


――当該貴族は、すでに制裁済み。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


主犯の名は伏せられているが、察しの良い者なら、公の場から姿を消したケントール子爵を思い浮かべるだろう。

情報は信頼できる者から、さらに信頼できる者へと口伝で広められた。


急速な拡散は情報の真偽を疑わせ、為政者に混乱の隙を与える。

今はただ、信頼の輪を強固にすることが最優先だった。



「ねえ、マユ。

イザベル様のお考えも分かるけど、僕たちは僕たちのやり方で、自分たちを守る輪を広げていこうよ。

その方が、お忙しいイザベル様の手を煩わせずに済むと思わない?」



「良い考えね。アンリ。

それなら、最近設立した平民向けの新聞社と商会を、もっともっと大きくしなければいけないわね。」



二人はとても楽しそうに今後の話をした。





断罪は、子爵だけで終わったわけではない。


養子縁組をした異種族たちを見つけ出し、リル経由ジンバイ行きというルートで人身売買(ほぼ臓器)されて()った。

既に国に帰られてしまって、手が出せなくなった者たちに関しては、他の領地で悪事を働けない様にするために、旧体制派や中立派の領地に情報を流しておく。



幸か不幸か…最近、異種族が増えすぎて、異種族が消えても分からないという状態に陥っているので、処理しやすくなっている。



人身売買の拠点だった孤児院の院長にも、ノアと暗殺部隊による「尋問訓練」を兼ねた苛烈な拷問が執行された。



分かったことは、院長が子爵の差し金ではなく、教会から派遣された者だったということ。

闇は教会にまで根を張っている。

その事実を知ったノアたちは、さらに熾烈を極めた。

院長の髪は、一夜にして総白髪に変わったという。



子爵が引き篭もりになったことと、院長が廃人同然になってしまったことで、孤児院での人身売買はできなくなった。

だが、その結果。孤児院も取り壊されることになった。



今後数年は伯爵領の施設で子供を受け入れることが、ミリィとアルケイデス伯爵の間で取り決められた。

父が使い物にならなくなったことで、ミリィは皮肉にも、自立した一人の女性として覚醒を遂げたのだ。




ーーー数日後。



私は執務室の窓から、穏やかな外の景色を眺めていた。



「はーーーっ!ひとまず今回の件はこれでおしまいね。

ノアたちが集めて来てくれた情報は、また後で整理しましょう。

さて、クレス様との婚約も白紙に戻したことだし…。」



私は椅子に深くもたれかかり、大きく伸びをした。



「婚約はまた今度かなー。」



その言葉を聞いたリルが、いつになく可愛らしい、だがどこか逃がさないと言わんばかりの笑顔を向けてきた。


「今度と言わず、永遠にしなくていいですからね!」



彼女の真っ直ぐな言葉に、私は苦笑いするしかなかった。



皆さんは、ウルトラの父と母(ウルトラマンタロウの両親)に、名前があるって知ってましたか?

父はケン。母はマリーっていう名前なんですよ。


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